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マーラー:交響曲第 7 番/アバド [DG]
交響曲第 7 番
クラウディオ・アバド指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
DG 471 623-2
先回に引き続きアバドのマーラーです。'01/5 にフィルハーモニー・ホールでのライヴ録音。シカゴ響との旧録は '84 です。
まず第一印象として、編集点が露骨に判りすぎる録音です。1 楽章の冒頭だけでも 00'17", 00'42", 01'05" と、1 拍くらいずつパッチを当てたようなところがあります。それも単に不連続なだけでなく、音場も定位も音質もガラリと変わるのです。そういうポイントが数えればきりがないほどあり、聴いていてだんだん不快になってきて、演奏に没頭できません。上記の冒頭部分は演奏上のミスを修正しているようにも思えますが、先に進むと音楽的表現にまで修正を加えているようで、ようするに必要以上のミキシング操作を加え、スコアの要所要所をミキシングにより浮き彫りにしようとしているように思えます。そういう操作は、このようなマルチ・モノ録音では当たり前の作業、というよりそういう風にトラックダウンをしていくものなのでしょうが、ここまで滅茶苦茶にバランスをいじった録音は初めて聴きました。
補助マイクの音質があまりにも違ったのか、それとも技術的なミスなのか、とにかく音場感や定位や音質がガラガラ変わります。特に木管や低弦などの音を拾っている部分は、音が埃っぽくて死んだ響きになりますし(実際 S/N が悪い時もある)、弦楽器のレベルも安定せず、痩せたり太ったりふらふらします。バランス未調整の仮編集の段階のもの (そんなものがあるのかは知りませんが) が世に出たのかと思えるほどです。木管が主体の部分でタイトな音響だったのが弦楽器が入ると急にゴージャスな音響になったり([1] 07'07" 周辺)、再現部での「ベルを上げろ」というトランペットの決定的なクレシェンドの最後の最後で、急にトランペットが霞みノイズのような音にしか聞こえなくなったり ([1] 15'54")、枚挙に暇がありません。特に 1 楽章が酷いです。編集という行為自体は否定しません。しかしこう一貫性の無い音質で、しかもエンジニアの趣味でバランス・レベルを上げ下げして、演奏を改悪されているんじゃないかと思えるようなものは、はっきり言ってプロの仕事では無いと思います。センスのないシロートが自分の趣味でいじったシロモノにしか聴こえません。まともなバランスで聴いていられる部分もありますが、「ここは先輩エンジニアがリテイクしたのでは」と勘ぐってしまうほどです。それほどやばいです。ひょっとしてアバドの指示か? いや、3 番はマトモでしたので違うでしょうね。
私はオーディオにちょっとはこだわっていますが、それなりにコンポを組んで真剣に聴いている人ならまず聴き取れると思います。それでも装置によって、はっきりと聞き取れる装置となんとなく感じる程度の装置と、向き不向き(?)はあるようです。CD ウォークマンでは音楽に没頭すれば気にならない程度でした。PC で聴くと、ひょっとすると気が付かないかもといった程度です。見方を変えれば装置のテストに使えそうです。いずれにせよヘッドフォンを使えば容易に聴きとれることと思います。それでも世の中は広いですから、「大したこと無いじゃん」とか「良い録音だ」と思う人もいるかもしれませんが、これを無惨だと感じないのなら、それはそれで結構な事です。
と、これで終わってしまいたいところですが (^^;、気を取り直して、演奏についても軽く触れておきます。
シカゴ響との無機質で安定感のある演奏と対極的な、有機的で放埒と思えるほど威勢のいい演奏です。シカゴ響との演奏では、実に良く統制がとれており焦点もはっきりしていたので物語的な面白さがありましたが、ベルリンとの演奏ではその点は曖昧になり、反面、交響的な面が強く出てきていると感じました。ベルリンが好き勝手に派手派手でやっているようですが、崩壊することは決して無いし冷静さも保っているので、そのハイテンションに安心して付いていけます。しかしあまりにも解放的なため、音楽的な集中度、深さはあまり感じられません。雰囲気などはシカゴ盤の方が良いと思います。ベルリン盤で雰囲気が散漫なのは、無論録音の安定感の無さも大きく影響していると感じます。シカゴ盤を改めて聴くと実に安心出来るのですが、今度は安定して完璧なので物足りなさも感じなくはありません。ベルリンとの新盤はシカゴ盤+αの演奏ではなく、まるっきり別物。顕微鏡と望遠鏡を比べるようなもので、優劣を付けること自体ナンセンスでしょう。絶対的な基準の中でベルリン盤をみると、こんな豪快な 7 番はそうないので、編集さえまともであったなら十分推薦できると思いますが、絵に描いた餅を評価しても仕方ありません。
わたし的に言ってこれは欠陥商品だと思います。もし映画 DVD の映像がこの品質だったら、色んなところでクレームが上がるでしょうね。しかし映画はフィルムというオリジナルが存在しますが、クラシック録音にはそういう意味でのオリジナルというものは存在しませんので (例えライヴの一発録りであっても聴く場所によって音は違いますから)、これは欠陥でないと言われればそれまでです。もしも誰かが品質の悪さを認めて、リマスターするようなことがあれば、あらためて評価したいと思いますが、現状では耳が受け付けないのでこれ以上の評価は無理です。
さて次の 9 番はどうでしょうかね。この 7 番が凄かったら 9 番は国内盤でも買おうと思ってましたが、やっぱり輸入盤が入るまで待つことにしました。来月には入るでしょうからそしたらまたここに書きたいと思います。
2002.5.24
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2002年5月24日 11:29
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