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ショスタコーヴィチ:交響曲第 6・9 番/バーンスタイン [DG](DVD)
ショスタコーヴィチ:
交響曲第 6 番 ロ短調 Op. 54
交響曲第 9 番 変ホ長調 Op. 70
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
DG 00440 073 4170 [DVD]
バーンスタイン/ウィーン po. によるショスタコーヴィチの映像ソフトが登場。1987 年に同コンビによるショスタコーヴィチの交響曲 6 番 9 番が CD 発売されましたが、これはその時の映像となります。こんな映像があったんですねぇ。クラシカとか NHK とかで放送されたことがあるのかもしれませんが、私は初めて見ました。
収録は第 9 番が 1985 年 10 月 23-28 日、第 6 番が 1986 年 10 月 4-10 日、ウィーン・ムジークフェラインにて。CD と同時期の収録です。
6 番は CD に収録された演奏とほぼ同様の内容。バーンスタインらしい彫りの深い演奏です。第 1 楽章はウィーン・フィルの郷愁をさそう音色が良いわびしさを醸し出します。バーンスタインの「貯めて吐き出す」その独特のタイミングも、劇性を出しており良いです。第 2 楽章は落ち着いたテンポ設定で、1 楽章よりは早いけど 3 楽章よりは遅いという構成を際だたせています。第 3 楽章でバーンスタインは眼鏡を着用。変拍子が多くスコアを見る必要があるからでしょう。それでもスコアにかじりつくことはなく、結構適当に振ってました。バーンスタインのこの楽章は、中間部 (基本拍子が 3 拍子になる部分) でテンポを落とすのが特徴的。違和感を憶えるほどのブレーキングですが、シロフォンが入る部分になると《バビ・ヤール》を先取りしたような音楽が聴こえ、これがピタッとはまるのです。この後、ソロが続く変拍子部分で、フルートが音を間違えているのは CD と一緒でした。
9 番は CD とは若干違う印象を受けました。第 1 楽章は CD より流れが自然と思えます。掛け合いの度にカメラが切り替わる演出はくどい。第 2 楽章は Moderato ですが、バーンスタインの演奏は Largo と言う感じ。ちょっと間延びした印象を受けます。しかしコーダでさらにテンポが落ちると音楽が引き締まり、良い雰囲気になっています。第 3 楽章も Prest というよりは Allegro 程度。しかしがっちりした音楽となっており、あっという間に消えて終わるこの曲は、このくらい存在感があっても良いかも知れません。第 4 楽章はトロンボーンとソロ・ファゴットの為の曲で、がらりと雰囲気が変わります。演奏会場では如実に伝わるこの質的な変化は、音だけの CD では伝わりにくいものですが、映像があるとそれなりに伝わってきます。第 5 楽章は早めのテンポ。バーンスタインだとスイング感がありノリは良いですが、ショスタコーヴィチの場合はもうちょっとかっちりした演奏が望ましい気もします。
映像アスペクトは 4:3。もとはフィルム素材のようですが、残念ながら 60i 収録でした。初ソフト化なので 24p 収録を期待したのですが、テレビ放送用にテレシネしたマスターを使ったのでしょう。片面 2 層のためビットレートはかなり高くとられていますが、unitel らしくフィルムグレインのかなり残る素材のため処理がそちらに取られてしまうようで、かなりざらついた画で、それほど綺麗には見えません。それでもマーラー全集などよりは安定した画質でノイズ感も少なく、バーンスタインを捉えた若干引き気味の映像などは、階調も豊かでなかなか綺麗に見えます (違う感度のフィルムを使っているのか ?)。
編集としては、別撮りしたと思われる素材も含むクローズアップのモンタージュが多用されていて、鼻につきます。その辺の見せ方も unitel ライク。プロジェクターで見ていると、あまりにもクローズアップが多いので気持ち悪い。大画面向きの映像ではありません。
音声は PCM 2ch ステレオと、DTS 5.1ch サラウンドを収録。音質的には CD レベルになりました。過去の映像ソフトには、テレビでの視聴を意識してか、音場感を無視したようなミキシングを平気でしているものが多かったですが、このソフトは安心して聴けます。
DVD にはボーナストラックとして、バーンスタインによる各曲のイントロダクションが収録されています。輸入盤なので日本語字幕は無いですが、結構判りやすい内容を喋っていますし、ついでに中国語字幕を表示しておけば、ほぼ内容は理解できるでしょう。ちなみに 6 番では、同じロ短調の曲であるチャイコフスキーの 6 番との関連性や、当時のロシア情勢と絡めた曲の解説をしていました。9 番では、ベートーヴェンやマーラーなどと絡めて「第九」であることの期待 (さらに戦争終結という祝賀ムードを音楽で後押ししてくれるだろうという期待も) と、それに対しショスタコーヴィチは風刺的内容で応えたという話を紹介。またハイドンとの比較や各楽章の音楽理念的特徴などを語っています。特に第 1 楽章展開部の最後でトロンボーンが 4 度の信号を 7 回演奏することは「ラッキーセブン」に引っかけているという解釈や、第 4 楽章のファゴット・ソロの入りの部分はベートーヴェンの「第九」の引用であること (これは該当箇所を聴かせてくれます)、次のフレーズはマーラーの 9 番の引用 (「亡霊」という言い方をしたようですが) という解釈を披露してくれて (トロンボーンはスターリンだそうだ)、思いもしなかった解釈で鳥肌がたちました。
実は私はクラシックの DVD を買っても全編観ないことが多いのですが、この DVD はひとつのコンテンツが短いこともあり、じっくりと堪能できました。まあ同内容の CD もありますので、音楽を聴こうというならそちらがあれば十分ですが、バーンスタインのノリノリの姿や演奏会の雰囲気を楽しめるなど、CD とは違った臨場感があります。ショスタコーヴィチ・イヤーということでこのソフトが発売されたのでしょうが、ならばショルティ/CSO の第 1 番も出して欲しいです。これはクラシカで観ましたが、CD のコンセルトヘボウとの演奏より良い内容でしたので、これは是非とも出して欲しいですね。
Directed by: Humphrey Burton
Audio Producer: John McClure
一応、オリジナル CD のジャケット。ただし現在廃盤のようで、下記の complete recordings on DG の BOX でないと聴けません。
2006年5月24日 09:16
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