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バーンスタイン:ミサ (DVD)
バーンスタイン:ミサ
ダグラス・ウェブスター(執行司祭) 他
聖チェチーリア音楽学院管弦楽団、合唱団他
TOPPAN DIBC-38007 (DVD)
117min/片面 1 層/LB 収録
2000 年 6 月、パウロ 6 世謁見ホールでのライヴ収録。ローマ法王の前で上演したいというバーンスタインの願いを受けての公演ということである。ジャケットをみると、バーンスタイン指揮による収録のような印象を受けてしまうが、実際の指揮はバーンスタインのアシスタントも務めたというポリス・プロット。紛らわしいジャケットである。また「バーンスタインのミレニアムミュージカル 新世紀への歌声」という副題を付けられているが、これも語弊のある副題と思う。内容的には普遍的なものなので、なにもミレニアムにこだわる必要はない。またこの作品は《ミサ曲》と呼ばれることが多いが、この舞台がひとつのミサとして執り行われるものなので、《ミサ》と呼ぶ方が相応しいと考える。この DVD では同じような意味でからか、"MASS" という表記で通している。
ともかく、この作品が映像で見られることは感謝したい。よくぞ発売してくれた。が、それほど面白いものではなかった。舞台セットとしてはバーンスタインのト書きにほぼ忠実のようにも思えるが、自演時の写真と比べると雰囲気が違いすぎる。もうちょっとセットとして凝って欲しいが、まあこれは場所柄仕方ないとしよう。オーケストラの配置も違う。ト書きでは、弦楽器と打楽器と 2 つのオルガン(コンサートオルガンとロックオルガン)がピットに、管楽器とエレキギター、キーボードなどが出演者と同じコスチュームをして舞台上で演技をすることになっているが、この公演でのオーケストラは全員普通にピットに入っている。また "街路の人々" のなかにはダンサーも配置され、ダンス的なシーンもあるはずなのだが、この舞台ではそういう演出は無い。歌手たちの演技はそれなりにあるものの、全体としてコンサート形式上演っぽく、ミュージカルというには動きの少ない舞台である。その代わりカメラはよく動く。クレーン撮影で舞台全体を舐め回すようなパンを多用していて、プロモーション・ビデオのような安っぽいカメラワークが目に付く。しっかりと出演者の演技をとらえた見応えのあるカメラワークの合間に、そういうパンが挟まるので、そこで醒めてしまう。演出者としては舞台と会場の連続性、歴史的公演としての "場" を映像に盛り込みたかったのかもしれないが、舞台から一歩引いた視点を挿入されてしまうと、そこで舞台への集中が途切れてしまう。またこれはハプニングの部類に入ることだが、"XV. 神の子羊" のクライマックスで司祭が「平和を!」と叫び、もっとも緊張感のあるパウゼが入る部分で、終わったと思ったのか盛大な拍手が入ってしまっている。良いシーンだけに残念だ。
演奏は、オーケストラがいまいち迫力ない。特に金管がショボい。オルガンもよく聞こえない。第 2 メディテーションでベートーヴェンの《第九》が一瞬現れるが、ほとんど聞こえなくて、宗教上の問題でカットされてしまったのかと思ったほどだった。アンサンブルもかなり雑。合唱も似たようなもので、揃えることに神経を使ってないのかも知れない。人数の割には声も地味。反面、ソロ歌手たちは歌も演技も非常にうまい。歌だけ比較すれば、バーンスタインの自演盤を越えて感動的である。主役である執行司祭のダグラス・ウェブスターに始まり、ブロードウェイで鍛えられている歌手たちと思われる。歌唱力、演技の見せ方など、彼、彼女らの存在の御陰で、この舞台は一流のものとなっている。 映像が付いていることによって、音だけで聴くよりも、執行司祭、街路の人々、合唱、少年合唱などそれぞれの役割がより明確になる。また、字幕の存在も有り難い。今までは "音楽" としてしかこの作品を楽しんでなかったのだが、映像で見ることにより、その意味についても理解しやすくなった。執行司祭は始めツギだらけのジャケットを着て現われ、ギターを弾きながら賛美歌を歌うたんなる青年でしかなかった。その彼がアレルヤのアンサンブルの中、聖歌隊の子供たちから法衣(?)を与えられ司祭としての役割を担うことになる。司祭は初めから司祭として存在していた訳でなく、たまたま選ばれただけと言えるだろう。その司祭も最後には迷い、消えてしまう。そして再び青年の格好に戻り全員で祈りを捧げて終わる。この作品の結びは「これでミサは終わりです。平和の中へ進みましょう」というセリフなのだが、本来テープの声とされているものを、ここでは司祭役の青年(ウェブスターは青年と言い難いが ^^; )が語っている。司祭としての役割が継続しているよう解釈されるので、ちょっと違うんではないかと思った。
映像はナロウ気味で、鑑賞には問題無いが格別素晴らしい画質でもない。音質も、よくある映像ソフトのサウンドトラック並みで、音だけで楽しむソフトとは同列に論ぜない。またこの作品は、会場の四隅に置かれたスピーカーより流れる 4ch ステレオテープが重要な役割を演じるが、特にそのことを意識される音作りにはなってない。まあこれは、録音では表現困難な課題であるが。
バーンスタイン好きには貴重なソフトなのでお薦めできるが、そうでもない一般のファンや、ミュージカルだと思って買ってしまった人には、舞台としての見所が少ないので、それほど面白みを感じないソフトかもしれない。この作品を知っている人は、もうちょっと本格的な舞台を見たいと思うかもしれない。しかし素晴らしい音楽と素晴らしい歌手を堪能できる点で、価値あるソフトと思う。
演奏 : ★★★☆☆
録音 : ★★☆☆☆
画質 : ★★★☆☆
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新世紀への歌声「MASS」(廃盤)
2001年5月15日 11:11
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