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バーンスタイン:《キャンディード》/スタール [Capriccio]
バーンスタイン:
《キャンディード》
ベルリン・ドイツ交響楽団、ベルリン・エルンスト・センフ合唱団
ロリオ(語り手)、ジェリー・ハドレイ(テノール)、シルヴィア・コーク(ソプラノ)、トーマス・ガツェッリ(バリトン)、マリヤナ・リポヴシェク(メゾ・ソプラノ)、ロベルト・シャフィン(テノール)、ロビン・ヨハンセン(ソプラノ)、ライムント・ノルテ(バリトン)
CAPRICCIO 71 056 (2 SACD Hybrid)
SACD によるオペレッタ《キャンディード》全曲盤です。2 枚組で 5,500 円程度と高かったですが、バーンスタイン盤以外はまともなものが無いので買ってみました。
《キャンディード》はその風刺的な内容とオペラ級の歌唱力が必要な作品で、ブロードウェイでの評価は低いものでした。また作者の預かり知らないところで改作が進められ、単なるコメディー作品として上演されていたということです。以前から発売されていた《キャンディード》は改作された状態のもので、完全ではありません。1993 年、バーンスタインが自作を演奏・録音するにあたり、作品をオリジナルの姿に戻すべくコンサート・バージョンとして仕上げました。このときの上演は LD として発売され、演奏会形式上演で各ナンバーの間をアドルフ・グリーンがウィットに富んだ調子でストーリーを語っていく様子が見られます。しかし同時期に録音された CD では語りは省略されました。
今回のこの CD はコンサート・バージョンを踏襲した内容です。語りも入った完全なライヴ収録です。聴いてみて判りましたが、この CD の目玉はロリオの語りにあるようです。私はよく知らないのですが、ロリオ (ヴィッコ・フォン・ビューロウ) はドイツのマルチタレントらしく、コメディアン、イラストレーター、映画監督など様々な肩書きを持つ人ということです。オペラにも造詣が深く、演出も手がけたことがあるようですしガイド本も出しているらしいです。そもそもスコアには語り用のスクリプトは無く、この CD の語りもロリオ作で、曲の合間合間の語りが観客の笑いを誘っており、ほんとに楽しそう。しかしロリオの語りの部分はドイツ語のため何を喋っているのか全く判りません (^^; (歌は英語です)。同封のブックレットにスクリプトは載っていますが、それもドイツ語のみ。肝心な部分が全然楽しめませんでした。
演奏はバーンスタイン/ロンドン響のものほど派手ではなく、ベルリン・ドイツ響らしい重厚で渋いサウンド。だからといって不粋な演奏ではなく、歯切れも良く、悪くはありません。しかしあまり自己主張のない演奏で、バーンスタイン流のデフォルメが刷り込まれている耳にはオーケストレーションの面白い部分もあっさりと流してしまっているように聴こえます。これがケント・ナガノの指揮だったら違ったんでしょうが。ライヴらしく精度の悪い部分もちらほら。バーンスタイン盤では演奏されなかったアンダースコアの音楽も入っているかと期待したのですが、それはありませんでした。
歌唱の方は、キャンディードはバーンスタイン盤でも同役を歌ったジェリー・ハドレイ。10 年前とあまり変わらぬ歌唱を聴かせてくれます。もうちょっと変わっているかなと期待したのですが…。クネゴンデ役のシルヴィア・コークは有名な「着飾ってきらびやかに」の hi-Es もサインカーブの様な安定した音波を発生させ、見事に歌いこなしています。オールド・レディはマリヤナ・リポヴシェクですが、クリスタ・ルードヴィヒの方がやはり上手いか。
録音はナチュラルなバランスで実に聴きやすい。マルチマイクらしい遠近感なのですが、音像は小さくハッキリしており、濁りも少ないです。最近の CAPRICCIO はやはり良いです。
演奏水準は決して低くは無いと思いますが、音楽的な表現力ではバーンスタイン盤の方が勝っているよう思いますし、バーンスタイン盤では聴けなかったものがあるとも言い切れません。そういう意味でもこの CD はやはりロリオの語りとの両輪で楽しめないと、魅力は半減でしょう。ロリオは話芸というより内容の面白さで笑わせていると思えますので、せめて英語対訳でも付いていてくれれば良かったと思うのですが。バーンスタイン好きや SACD の良コンテンツをお探しの方、もしくはドイツ語に堪能 (あるいは勉強中) の人向けのディスクでしょう。
2006年2月 2日 17:03
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