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ショスタコーヴィチ:交響曲第 4 番/ゲルギエフ [Philips]

gergiev_dsch4.jpg

ショスタコーヴィチ:
交響曲第 4 番
ワレリー・ゲルギエフ
キーロフ歌劇場 (マリインスキー劇場) 管弦楽団
Philips UCCP-1094

 以前ゲルギエフのショスタコーヴィチ第 5, 9 番のコラムで、これからは先行発売だからといって高い国内盤は買わないと書いたのですが、性懲りもなくまた高い国内盤で買ってしまいました。4 番の誘惑には勝てなかった。

 宣伝文だか提灯記事だかを読んだところ、ゲルギエフはこの第 4 番も「戦争交響曲」として捉えているとのこと。で、かなりの爆演であることを期待させる内容でしたが、私が聴いたところ、普通の 4 番の演奏と特に変わったところはなかったです。ま、「第 4 番はディズニー音楽だ」とか言うのならまだしも、「戦争交響曲」だという程度では本質的な解釈は一般的な演奏とあまり変わらないでしょう。それでもゲルギエフにしか出来ない解釈を期待していた部分もあるのですが、あまりにも必要十分的で正攻法な解釈で、拍子抜けしてしまいました。

 解釈もさることながら、それよりいただけないのは録音です。録音は 2001 年 11 月 20-22 日となっており、2002 年録音の 5, 9 番より前に録られております。音の調子としては 5 番などと似ているのですが、それよりも悪い音です。音場感は薄っぺらでステレオ的な広がりに欠けます。身は詰まっているもののこもりぎみな音は、活きが悪いです。4 番はショスタコーヴィチの中でもサウンド的な要素が強い作品なだけに、このような死んだ音では魅力が激減してしまいます。例えば 2 楽章のお終いの打楽器アンサンブルなど、リズムパターンとして聞こえるだけで、サウンドとしての不気味さは何一つ伝わってきません。これならもっと物理的な特性の悪い EMI やメローディアの録音でさえ、伝えるものが多いと思います。

 録音の悪いところには耳をふさいで聴いてみても、激しい部分は激しく、弱い部分は弱くと、そつの無い演奏ですが、その間を埋める階調がないというか、曲想を変化させる部分でのドラマ性が欠如していると思えます。ハイライトシーンは派手でかなりの怪演であるにもかかわらず、ちょっとした部分でのこだわりを感じられず、その辺の地味な部分での磨き残しが、上滑りの原因と思います。ゲルギエフとしては入魂の演奏かもしれませんが、その割りにはオケに音楽を丸投げにしている部分もあるように聴こえ、結果、芸風にバリエーションがなくワンパターンのように聴こえます。あえてワンパターンを狙っているのかもしれませんが。

 私は別にゲルギエフに特殊な演奏をして欲しいと望んでいる訳ではありませんが、ゲルギエフという指揮者は特殊な解釈を披露したときに真価を発揮する指揮者であることが判ってきました。この 4 番でも、ちょっと変わったことをしているところは、面白く聴けました。普通の解釈で人を唸らせるだけの音楽を紡ぎ出せなくともいいです。おりこうさんにならずに、徹底的に暴れてください。

関連記事を検索: ショスタコーヴィチ

2004年9月 2日 12:09

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