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ブルックナー:交響曲第 9 番/ジュリーニ [DG]

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ブルックナー:
交響曲第 9 番

カルロ・マリア・ジュリーニ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
427 345-2 [DG]

 イタリア人の指揮者カルロ・マリア・ジュリーニ氏が 6 月14 日にイタリアで逝去されました。91 歳でした。私はジュリーニの録音はあまり持ってないのですが、その中から一枚、ブルックナーの 9 番を取り上げご冥福をお祈りしたいと思います。

 1988 年 6 月、ウィーン、ムジークフェラインでのライヴ録音。しかしまるでライヴ録音とは思えない音の抜けの良さと、響きの豊かさに驚かされます。ドンシャリ傾向で音の固さも感じられますが、ジュリーニの演奏に相応しい音質と思いますし、グラモフォンのムジークフェライン録音でも最良の部類に入ると思います。

 異論も多いかと思いますが、私にとってジュリーニの演奏は、一言でいってサウンド派な演奏です。サウンド派と言うと大音響が命という印象を受けるかもしれませんが、ジュリーニはオケをガンガン鳴らしてもがっちりとした渋い音響を指向し、賑やかとかうるさいという感じはありません。渋い音はなにも大音量だけでなく、1 楽章冒頭の D の音からして、硬質な音でゾクゾクします。もうその瞬間から曲の性格を明確に描出するのです。しかしそのすぐ後に現れるヴァイオリンの艶やかで柔らかな音の美しいこと。この変化は実に鮮やかで、ブルックナーの音楽の本質をいとも容易く突いてきます。しかも背後にあるバスが一本通った音で、控え目ながらも知覚レベルに実に明瞭に訴えてきます。ベースラインの動きがはっきり聴こえることで音楽も引き締まり認識しやすくなるのです。これはおそらくコントラバスが最後列に一列に陣取っているのだと思いますが、屋台骨として実に効果的に機能しています。

 音に対するこだわりの肌理の細かさは枚挙に暇が無く、そういう意味を込めて「サウンド派」と言うのですが、私がこの演奏を聴くとそういう部分にばかり耳がいき、ブルックナー音楽に関する哲学など眼中になくなってしまいます (つうか、作品に内在する思想ってそもそもあまり興味が無い訳なんですが…)。ブルックナーが書いたのは思想ではなく音である。もちろん音を聴くと印象は生まれますが、それは副次的なものでしかないと思えてきます。この演奏を聴くと、ちょっとした音の動きにまで敏感になります。第 1 主題由来の「タターー」という音形も、アウフタクトが八分音符のものと十六分音符のものの 2 つのパターンがありますが、それをかなりのこだわりを持って明確に演奏し分けているのも目を引きます。ジュリーニの音楽はそういう細かいこだわりの徹底的な積み重ねで構築されていると思います。

 かなり歩調の遅いブルックナーですが、忍耐を必要とするようなものではなく、実に心地よい時間が流れています。それは磨き込まれた音による密度の濃さと、それに相応しい時間のバランスの心地良さなのでしょう。ブルックナーの書いた音色の重なり具合と、それの変化の過程が全てを語ってくれるのであって、とにかく音を感じなさいと示されているような演奏です。ブルックナー好き必聴のディスクでしょう。

Executive Producer:ギュンター・ブレースト、Recording Producer:ハンス・ウェーバー、Balance Engineer:クラウス・ヒーマン

関連記事を検索: DG ウィーン・フィル ジュリーニ ブルックナー 交響曲

2005年6月18日 12:08

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