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ハワード・ハンソン交響曲全集/シュワルツ [DELOS]
交響曲全集
ジェラルド・シュワルツ指揮
シアトル交響楽団/ニューヨーク室内交響楽団
キャロル・ローゼンベルガー(p) 他
DELOS DE 3150
- 交響曲第 1 番 ホ短調《ノルディック》
- 交響曲第 2 番《ロマンティック》
- 交響曲第 3 番
- 交響曲第 4 番《レクイエム》
- 交響曲第 5 番《交響的聖礼》
- 交響曲第 6 番
- 交響曲第 7 番《海の交響曲》
- セルゲイ・クーセヴィツキの思い出によるエレジー
- 若き頃の主題による幻想的変奏曲
- フルート、ハープと弦楽器のためのセレナード
- ベーオウルフの嘆き
- オーボエ、ハープと弦楽器のためのパストラーレ
- 歌劇《メリー・マウント》組曲
- モザイク
- ピアノ協奏曲 ト長調 op.36
ハンソンの CD はそんなに出ているわけではないですが、交響曲を聴いてみたいという分には、DELOS よりリリースされている交響曲全集が、演奏・録音ともに満足できる内容ですので困りません。CD 4 枚組ですが値段は 3 枚分というリーズナブルな価格設定も嬉しいですし、1 枚ずつでも買えます(もともとは 1 枚ずつリリースされて、後に BOX になったわけですが)。今は Music of Howard Hanson vol.1 & 2 という 2 枚組セット× 2 でも手に入ります。
ハンソンの交響曲は特に《ロマンティック》が有名ですが、極彩色のオーケストレーション、派手なブラス、濃密な和声、映画音楽なみの甘美な主題と、同じ《ロマンティック》でもブルックナーの 4 番とは大いに違います。雰囲気でいうと、ヴォーン=ウィリアムズ、スクリャービン、シベリウス、バーナード・ハーマン、ジョン・ウィリアムズのあたりに近いと言えるでしょうか。映画音楽的というのは根拠のある話で、実際に《エイリアン》のエンディングでこの曲が使われているほどです。循環主題ということなのか、度々気安く同じ主題が出現するので折角のドラマ性が安っぽく感じられ勿体ないのですが、それだけ親しみやすい曲ではあります。
《ロマンティック》以外の作品も魅力的で、聴き込めばそちらの方が好ましく思えてくるのはブルックナーに似ています(汗)。1 番の《ノルディック》と 3 番は「気質的に密接な関係」(ハンソン)があり、ともに民謡的な主題が多く使われています。北欧的な曲想ながらシベリウスのように荒涼としてないのは、根本的にハンソンがアメリカの作曲家だからなのでしょう。オーケストレーションも凝っていて、3 番の 3 楽章ではティンパニが第一主題を提示するなど面白いことをやってます(CD にはティンパニ奏者名がクレジットされていたり)。4 番の《レクイエム》はミサ曲の体裁を採っていますが、父親の死を受けて書かれた個人的な鎮魂曲で、その深い悲しみが痛いほど心に迫ってきます。私も最近父を亡くしたのですが、終楽章の "ルクス・エテルナ" で自分自身救われる思いでした。ハンソンはこの 4 番でピューリツァー賞を獲っています。5 番《交響的聖礼》はキリストの復活を題材にしてますが、ストーリー性より精神や雰囲気を表現した単一楽章の作品です。この頃からハンソンの過度なロマン性は少なくなり、表現が締まってきたと感じます(それでも十分にロマンティックですが)。中間部の暴力的な描写などは充分なエモーションを与えつつもコンパクトにまとまっており見事です。6 番もロマン的な作風を残しつつも、より不協和で引き締まった曲調になります。2 楽章では左右でスネアが掛け合い、激しい闘争が繰り広げられたかと思うと、次の楽章でハンソン的な牧歌性に満ちあふれるなど、緩急を自在に使い分けた作品です。7 番《海の交響曲》はウォルト・ホイットマンの『草の葉』をテキストにした合唱付きの作品です。晩年の作品で見せ場は少ないですが、ハンソンの集大成と言うべき内容で、最終楽章では《ロマンティック》からの引用がおぼろげに聴こえます。
ハンソンの曲はオーケストレーションが常に重厚で聴き疲れしそうになりますので、充分な体力と精神力のあるときに聴かないと、あまり印象に残らずに終わってしまうかもしれません。BGM 的雰囲気を漂わせていますが、良さを理解するにはやはりじっくりと味わわないと駄目でしょう。
この他の管弦楽作品まで紹介しきれませんが、ピアノ協奏曲なども是非とも聴いて頂きたい作品です。しかし終楽章の主題が「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン」と聞こえるのは私だけでしょうか(笑)。
ハンソンの交響曲の CD には他には自演盤などがありますが、これは全曲は無いようです。《ロマンティック》ならスラトキンの演奏もあります。また NAXOS からもハンソンの作品集がリリースされている最中ですので、この辺を狙ってみるのも良いかも知れません。いずれにせよ、もっと演奏・録音されても良い作曲家であろうと思います。楽譜を手に入れて MIDI で演奏というのも有り難がられるかもしれませんね。
2001.11.3
2005年6月16日 11:29
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