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ワーグナー:序曲・前奏曲集/レヴァイン [DG]

Levine_Wagner.jpg

ワーグナー:
序曲・前奏曲集

ジェームズ・レヴァイン指揮
ザ・メト管弦楽団
DG 435 874-2

 今年ももうすぐ終わりですね (註:年末に書いています)。年末の恒例行事といえば NHK-FM のバイロイト音楽祭でしょう。本当は夏の行事なのですが、FM でしか聴いたことのない私にとって、バイロイトといえば冬なのです :-P。今年は12/22 より放送開始です。今年の《リング》は本来ならシノーポリの2 年目だった訳で、昨年の放送を聴いたときはこの先が楽しみだなぁと思ったものですが、皆さんもご存じの通りドレスデンで指揮中にお亡くなりになってしまい、もう二度と彼の《リング》を聴けないのかと思うと大変残念であります。

 ということで、追悼としてシノーポリのワーグナーを紹介する…という話の流れではありますが、シノーポリのワーグナー前奏曲集は特にお薦めできるものがなく (^^;、オペラ全曲盤はこのコラムでは取り上げないと決めてますので (註:これが連載されていたメルマガでのこと)、ピンチヒッターとしてレヴァインの演奏を取り上げてみました。今年のバイロイトで《マイスタージンガー》を振ったティーレマンの前奏曲集などもありますが、これは他のページで書いてしまいましたので、そちらをお読み下さい。

 このアルバムはワーグナーの序曲・前奏曲の中でもド派手な曲をセレクトしています。派手な曲の演奏には定評のある(?)レヴァインらしさが、随所に炸裂しまくっています。まず《リエンツィ》序曲。これはこの曲の演奏の中でも最高級に派手で、そしてめちゃくちゃカッコ良いです。アゴーギクをガンガンに効かせて芝居気たっぷりな演奏ですが、スケール感が大きく、ツボにすぽんすぽんとハマルその演奏は異常なほど気持ちいいです。金管のタッカの音形も凄く切れが良く、弦楽器の細かい音なども粒立ちが揃ってはっきりガシガシと聞こえ、全体的な躍動感・高揚感も並大抵ではありません。これ一曲で十分元が取れたと思える演奏です。この曲だけ何回聴いたことか (^^;。

 次は《タンホイザー》序曲とバッカナーレ。歌劇《タンホイザー》はそれまでのオペラと同じく、もともと序曲は独立した曲になっていたのですが(いわゆる「ドレスデン版」)、後にワーグナーは序曲と第一幕を繋げ、前奏曲のような機能を持つよう改訂しました(「パリ版」)。ここではそのパリ版によるバッカナーレ付きの演奏ですが、個人的には「ドレスデン版」のちゃんと終わる "序曲" の方が、序曲集としては合い相応しいと思います。演奏としては、懐の深さというか土台の安定感というものがイマイチ物足りないですが、悪くはありません。でもやっぱり、再現部の金管直管族のユニゾンによる「巡礼の主題」を聴きたかったです。

 お次の《ニュルンベルグのマイスタージンガー》第一幕への前奏曲も派手な演奏で、暖かい日の光が満ちあふれるハ長調というより、マーラーの第 7 交響曲の終楽章のような、目映いばかりの強烈な輝きを放つハ長調になっています。このアルバムでのオケの配置はヴァイオリンが左右に分かれるトラディショナル配置なのですが、その御陰でこの曲の対位法的書法がはっきりと聞き取れます。次の《ローエングリン》第三幕への前奏曲も賑やかな演奏です。有名な結婚行進曲を付ける演奏もありますが、ここでは演奏会版の定番「禁問の動機」での締めくくりです。

 最後の《さまよえるオランダ人》序曲も凄い演奏です。ただ派手なだけでも凄いのに、曲がもっているダークサイドな雰囲気も充分で、このままオペラ全曲を楽しみたいと強く感じる秀演です。ティンパニがかなり暴れています (^^;。

  普通のワーグナー演奏と比べると必要以上に派手なので好き嫌いの分かれるところかもしれませんが、アメリカのオケの中でももっともドイツ的な音を出すメトロポリタン管弦楽団と、同じ派手でも "若い" 演奏とは違い厚みを感じさせるレヴァインの演奏は、本場バイロイトの音を彷彿とさせるものがあると思います。レヴァインのワーグナー管弦楽曲集には続編もあります。それも他のページに書きましたので、ご覧下さい。

2001.12.20

関連記事を検索: DG ザ・メト管 レヴァイン ワーグナー 管弦楽曲

2005年6月16日 11:29

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