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マーラー:交響曲第 1 番/ティルソン・トーマス [SFS Media]
交響曲第 1 番 ニ長調
マイケル・ティルソン・トーマス指揮
サン・フランシスコ交響楽団
SFS Media 821936-00002-2/p>
この CD が発売されていたことは以前から判っていたのですが、マーラー全集第 1 弾の 6 番のとき入手に苦労し、ようやく手に入ったと思ったらもっと安く国内販売されるという情報が入ったり、結構散々だったので、今回は大人しく国内販売を待ってました。しかしようやく出た案内によると価格が 3,200 円程度(先ほど確認したら 3,600 〜 3,900 円位でした)。うげ〜、それじゃ輸入しても変わらないじゃんということで、さっさと amazon.com で買ってしまいました。SACD とのハイブリッド盤なのでそのくらいの値段になるのは仕方ないかも知れませんが、6 番と比べると割高感は否めません。今後発売される分をどのように購入しようか悩むところです。
さて肝心の演奏ですが、ラトルのマーラー 5 番を聴いた後だっただけに、異様に淡白に聴こえました。ああいう気迫の演奏とは異なり、良くも悪くも綺麗にまとまったマーラーではあります。ティルソン・トーマス(MTT) らしくよく練られた演奏で、マーラーだからといって分裂性やエグさを無批判に強調するような演奏ではなく、一度マーラーの語法を咀嚼し解釈し意味づけを行い、それを過(あやま)たず表現できるよう徹底して練習し、さらに新鮮みを与えることを忘れない、そんな MTT のスタイルがこの演奏からも伺えます。
マーラーの 1 番は、彼のそれ以降の交響曲を知っている我々から見ると、どうしても拙い部分を感じてしまう作品なのですが、MTT の秀才肌の演奏はそういう部分も包み隠さず露わになってしまうようです。しかしこういった弱点を全てマーラーのせいには出来ないでしょう。ブーレーズやハイティンクのように、そういう 1 番の弱点をあまり感じさせず、それ以降の作品群と十分張り合えると感じさせる演奏もあるのですから。思うに弱点を感じさせない演奏の特徴的な点は、細かいディティールに拘るよりも作品の大きな流れを、それも只クライマックスにおける圧倒的なパワーの解放のみに収斂していく演奏であるように思います。ハイティンク/ベルリン po. では、1 楽章では最後の最後まで表現が抑圧され、緊張感に耐えに耐え、耐えきれなくなったときに一気に開花する金管による大ファンファーレと圧倒的な再現部の醍醐味、終楽章では立ち上がるよう指定されたホルンの勝利のテーマも同様に強烈なエネルギーの解放を印象づけるドラマ性があり、それがそれ以降の作品群にも引けを取らない充実感を与えてくれます。ブーレーズの演奏も、シカゴ響のパワーで同様の効果を上げおり、感動的でした。一方、MTT やラトル、シノーポリのような細かいディティールにも拘りをみせる指揮者は、力点が分散してしまうためか、そういうプリミティブな感動がなかなか得られません。個々のエピソードを面白く聴かせてくれるものの、同時に作品の弱さも露呈してしまうのです。ディティールに拘りつつも作品の弱さを感じさせないユニークな演奏にバーンスタイン/ACO があるのですが、短編小説のように展開が早くスリリングで巧妙な語り口は、なかなか真似できるものでは無いでしょう。
MTT の演奏には誤解を恐れずにいうならあまり小細工をしないショルティ的なストレートさも感じます。しかしショルティの強靱な若々しさというよりは、細かいアゴーギクなど効かせており、幾分ナイーブな青年像といった感じでしょうか。終楽章も勝利のうちに幕を閉じるというより、その基本テンポが若干ゆったりしているため、どことなく不安感や悲劇性のようなものも感じられなくはありません。弦楽器の八分音符の刻みといい、ショスタコーヴィチ 5 番の終楽章コーダとイメージがタブって聴こえるのです。この隠れた悲劇性は、マーラーも MTT もそんなつもりは無かったのかも知れませんが、なにやら暗示的に聴こえ無くもありません。ま、これは聴く方の心理的状況にも左右される程度のものですが、私にはそう聴こえました。
録音は 6 番同様レンジが広く肌理も細かく音場感も広く分離も良い優秀録音ですが、低弦の軽さが目立つのも 6 番同様です。楽器配置はマーラーでは一般的になったヴァイオリン両翼配置のトラディショナル。掛け合いのステレオ感や、一斉に鳴ったときのホリゾンタルにワッと迫ってくる迫力など面白いですが、それだけにさらに低弦が物足りなく感じます。バスドラやティンパニはちゃんと下まで伸びているので、録音の問題ではなくオケのキャラクタなんでしょう。私は SACD 機を持っていませんので、CD レイヤーでの評価です。
CD としてみると値段が異様に高いので、買いたいと思う人は少ないかもしれません。マーラー 1 番の演奏としてもスバ抜けて素晴らしい訳ではありませんし。しかしもともとプレス数が少ないようで、イギリスではもう完売しているとも聞きます。SFS の直販もありますが送料がかなり高くつきます。日本販売分がどの位か知りませんが、後で後悔したくなければ、見つけたときに買っておくべきでしょうね。amazon.com や towerrecords.com で買うのも良いでしょう。
2002.11.16
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Mahler: Symphony No.1 [Hybrid SACD]
どうせ買うなら、こちらをクリックして行っていただけると私は嬉しい
2002年11月16日 11:29
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