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マーラー:交響曲 4 番/ティルソン・トーマス[AVIE]
マーラー:
交響曲第 4 番
サンフランシスコ交響楽団
ラウラ・クレイコム(S)
AVIE 821936-0004-2
なにを紹介しようか悩みましたが、入手が容易なうちにという考えからこの 1 枚を選びました。CD 1 枚で 3,300 円〜3,700 円ほどするので、ちょっと手が出にくいのですが、内容的には優れているのでこれを紹介しない手は無いでしょう。
ティルソン・トーマスのマーラーは BMG や CBS から 3 番、7 番、「嘆きの歌」が出ていましたが、それとは別に、サンフランシスコ交響楽団の自主制作盤としてマーラー全集が企画され、こちらからは 1 番, 3 番, 6 番がいまのところリリースされています。どれも洗練されつつも気迫漲る素晴らしい演奏ですが、AVIE の自主制作盤はさらに録音の良さも特筆すべきものとなっています。
この 4 番も録音はすこぶる良く、目の前に澄んだ音場とリアルな楽器およびふくよかな響きを浮かび上がらせてくれます。第 1 弾である 6 番では、綺麗に聴こえすぎて不自然なほどでしたが、その不自然さも感じられなくなってますし、低域が軽いという問題も、曲との相性もありますが、物足りないと思うほどではありません。CD レイヤーですらこの音なので、SACD で聴いたら一体どうなるんでしょう。
録音が良いだけでは意味がありません (いや、良い録音ならそれだけでも十分価値がありますが)、演奏も見事です。ラトルがやるようなビックリするような演出はありませんが、さりとて面白くもない演奏ではなく、聴いていて浸れる、安心できる演奏です。基本テンポは私の好みから言わせて貰うと若干ゆったりしているのですが、間延びしている感じではなく、1 楽章では、展開部のクライマックスに向けてさり気なくテンポアップしていくように、ドラマに見合ったテンポ設定をしています。表現にも貫禄ある充実感がありまして、ティルソン・トーマスというと頭脳および徹底した練習による秀才肌な演奏を想像するのですが、そのような特徴に加えて厚みのある表現まで獲得しつつあるようです。女性的な繊細で優美な演奏ともいえるでしょう。
1 楽章は安定感のあるダイナミックな展開が見事。2 楽章は遅めなのですが、スケルツォ楽章というよりは第 3 交響曲の中間楽章のような綿密さで、角笛の音楽として聴かせる音楽になっています。特に 3 楽章は 25'27" もかけてじっ
くりと聴かせており、感動的な充実した演奏に仕上がっております。4 楽章のラウラ・クレイコムは、やや音楽を引きずり気味。声質は少年っぽい部分もあって、成熟した大人の女性の声ではないのが良いと思います。
弦楽器の配置はヴァイオリン両翼配置です。やはりマーラーはこの配置が効果的です。サンフランシスコ響はオケの音にそれほど特徴を感じないのですが、絹ごしで柔らかい、アメリカンでない音は、聴いていて心地よいです。必要な時はエッヂも立ちますし、アンサンブルの精度も高く、手垢の付いてない素直なオケという感じ。そういう意味では、ユースオーケストラのスーパー軍団とタメをはりそうですが、一体感や安定感では若者達の集団とは一線を画すものがあり、特にこういう曲では威力を発揮するのではないでしょうか。
マーラーの 4 番に猛烈なドラマを求めている人には、このティルソン・トーマスの演奏は物足りないかもしれません。しかし「凪の夕焼け」みたいに穏やかなメルヘンのなかに感動を見つけるような幸福感があります。この演奏を機に 4 番を聴く機会が増えそうです。MTT/SFS のマーラーはこの秋に 2 番が出る予定なので、そちらも大変楽しみです。
Mahler: Symphony No.4/Michael Tilson Thomas
2004年9月18日 13:31
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