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ショスタコーヴィチ:交響曲第 4 番/ミュンフン [DG]
ショスタコーヴィチ:
交響曲第 4 番
フィラデルフィア管弦楽団
DG UCCG-1070 (60'33")
1994 年 11 月、フィラデルフィア、メモリアル・ホールにて収録。7 年も昔の録音である。なぜ今までリリースされなかったのだろうか。同じく最近リリースされたブーレーズのストラヴィンスキーも '94/'96 年録音だった。商業的な理由でもあるのかしらん。基本的に国内盤は買わない主義の私だが、同盤の輸入盤発売は遅くなりそうなので仕方なく購入した。
同曲の他のレコードと比較すると、このミュンフンの演奏はかなりアドバンテージが高い。ラトル、プレヴィン、ヤルヴィ、ハイティンク、インバルなど、曲の知名度の割には少なくない数のアルバムが発売されているが、演奏・録音ともに満足できるというものが無い状態であった。そんな中でミュンフンの CD は、完璧ではないものの、演奏・録音ともに水準以上の出来で、ようやく安心して聴けるものが登場したかというところだ。まあミュンフンのが特に優れているというより、他がいまいちと言うべきかも知れない。ラトル盤やプレヴィン盤でも、録音が良かったなら、こんなにもどかしい日々を過ごすことはなかっただろう。
全体的に早めのテンポで展開していくが、音楽が流れてしまわず、逆に粘着質に纏わり付いてくる。フィラデルフィア管も十分に鳴らしており、表面的な派手さでなく、どっしりとした印象を残す。これはショスタコーヴィチの音としては良い傾向だ。第 1 楽章のマーチによる導入に続く黙想的な緩徐部や、再現部のイングリッシュ・ホルンやヴァイオリンのソロの部分など、グッとテンポを落として表現を深くし、後期の作品を彷彿とさせる瞬間もあり素晴らしい。1 楽章や 3 楽章で聴かれる爆発的な推進力も、フィラデルフィア管の底力を発揮して迫力ある演奏を聴かせてくれる。
このように評価できる点は多々あるのだが、テンポの変化やアゴーギクの付け方が計画的すぎるように聴こえ、音楽から伝わるべきエモーションが嘘っぽく感じ、気持ちがなかなか付いて行けないのも確か。また曲調の変わり目で指揮者とオケとの意思統一が薄いのか、しばしば各パート間でテンポ感の違いが生じているのも具合が悪い。音楽の変わり目だけでなく、第 2 楽章のようにテンポ的には淡々と進行している最中でも起きている。これが突っ込んだり溜めたりと音楽に対する積極性からくるズレなら、そしてそれに周りが敏感に反応する演奏なら怪演も生まれようものだが、ここで聴かれるのは走る・遅れるという類の音楽的エモーションとは逆向きのズレである。こういう細かい部分での方向性の曖昧さが積み重なることで全体の流れも必然性を欠き、説得力の無い演奏になってしまう。これは結局のところオケを上手くドライヴ出来てないということで指揮者に原因があるのかもしれない。自分の演奏プランに固執し、オケを縛り付けているようにも感ずる。瞬間瞬間を取ってみると素晴らしい演奏をしてしるのだが、全体的に見て色彩感に乏しく生真面目で一本調子な印象を受けた。オケの力演を指揮者がいま一歩生かし切れてないように思える。
酷評しているように読めるかも知れないが、ミュンフンの CD を聴いてから他の指揮者の CD を聴き直してみると、どれも物足りなくいまいちな演奏に聴こえる。そういう意味では今最高のタコ 4 である。また上記のようなアンサンブルのズレを大した問題と感じない聴き手や、ズレてなんてそもそも聞こえないという聴き手にとっては尚更であろう。私もやさがしをしながら聴いている訳ではないが、集中力を欠いているとか、音楽に食らい付いて行ってない演奏、色んな面で温度差を感じてしまう演奏は駄目なのである。で、このミュンフンの演奏にそういうものを感じてしまった訳である。こんなにもこの点に拘るのは、もうあと少し音楽に食らい付いた表現をしてくれたなら比類無き演奏になったと思うからである。逆に、食らい付いた演奏なら多少アンサンブルが乱れても気にならないのだ。
録音は、音場感はまあまあたが、分解能はいまいち。情報量は多そうだが、滲んでいる感じ。大太鼓の一撃で盛大に歪むのはいただけない。しかしそれでも今まであったどのタコ 4 の CD よりはマシだろう。
演奏:★★★★☆
録音:★★★☆☆
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ショスタコーヴィチ:交響曲第 4 番/ミュンフン
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2001年11月 7日 12:02
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