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ピアソラ:ライヴ・イン・ウィーン [Gakken/PLATZ]

アストル・ピアソラ: ライヴ・イン・ウィーン
AA 印の悲しみ
セントラル・パーク・コンサート

アストル・ピアソラ五重奏団
アストル・ピアソラ(Bn)/フェルナンド・スアレス・パス(Vl)/パブロ・シーグレル(Pf)/エクトル・コンソーレ(Cb)/オスカル・ロペス・ルイス(G)

ライブ・イン・ウィーン (Live in Wien)
1. フラカナバ
2. ブエノスアイレスの夏
3. カリエンテ
4. デカリシモ
5. リベルタンゴ
6. レビラート
7. ブエノスアイレスの冬
8. アディオス・ノニーノ
Gakken Co., Ltd./PLATZ PLCP-80

 1983 年、ウィーン・コンツェルトハウスでのライブ録音。普通の人に「ピアソラで一枚だけ薦める」とすれば、これだろう。選曲・演奏・録音の三拍子揃ったレコードである。「ブエノスアイレスの夏」「ブエノスアイレスの冬」と《ブエノスアイレスの四季》 として知られるピアソラの代表作の中からさらに代表的な2曲が入っている (特にピアソラいち美しい「冬」が聴けるのが貴重である)し、ピアソラが生涯演奏し続けた「アディオス・ノニーノ」、ヨーヨー・マの演奏などで今ではピアソラの代名詞となった「リベルタンゴ」も演奏されている。その他の曲は 60 年代に演奏されしばらく埋もれていたが、見事に復活した。

 演奏も五重奏団がもっとも脂の乗っていた時期のもので、職人芸的とも思える安定したパフォーマンスをハイテンションに行っているし、どれも同曲のベストパフォーマンスと言える内容である。完成度が高すぎて何度も聴いているとかえって飽きて来たりもするが、それでも最後はやはりこのレコードに戻ってしまう。録音は、クラシックでも有名の ORF (オーストリア放送協会) が行い、Gakken/PLATZ の国内盤は 20bit リマスタリングが施されているので、ピアソラのレコードの中でも最高級の音質である。


AA 印の悲しみ (Tristezas de un Double A)
1. AA 印の悲しみ
2. タンゲディア III
3. ビジューシャ
4. ルンファンド
5. タンガータ
Gakken Co., Ltd./PLATZ PLCP-81

 1986 年、ウィーン・コンツェルトハウスでのライヴ録音。「ライヴ・イン・ウィーン」の姉妹盤ともいえる。収録曲は5曲だけだが、タイトル曲の『AA 印の悲しみ』が 22 分にも及ぶ怪演で、全部で 47 分程の CD の約半分のヴォリュームがある。この曲、もともとは7分程度の作品だったが、ピアソラはこの五重奏団演奏するにあたり、即興演奏部分ふんだんに織り込んだ新たなバージョンとして仕立てあげた。それだけに曲の長さや完成度は演奏の度に違い、このレコードに納められている演奏が最も完成度の高いものと言われている。導入はピアソラのバンドネオンのみによるソロだが、内省的で激しく濃密な 6 分半にまず圧倒される。 その後、各楽器が三々五々加わってくるが、シーグレルのピアノが即興的にピアソラに絡んだりしつつ盛り上がる。何かのきっかけで曲は合奏によるタンゴパートに入り力強い展開をするかと思うと再び即興的に曲が解体されていく。即興は主にピアソラが主導権を握り曲を展開していくが、ピアソラの提示する要素に他の奏者が反応してさらにそれにピアソラが感化されてと、スリリングな展開が聴ける。そういう即興がタンゴへと昇華されるという部分にカタストロフが存在する曲であるし、この演奏では即興の展開もドラマチックで、各奏者のアイディアが見事にはまった、感動的な演奏である。

 その他の曲は、この『AA 印』の陰に隠れてしまいがちだが、どれも魅力的な作品である。特に最後の『タンガータ』は即興演奏こそ無いものの『AA 印』にも匹敵するドラマ性があり、各楽器のソロパートには聴き所を随所に盛り込んだ素晴らしい曲であり演奏である。録音は「ライヴ・イン・ウィーン」と同等。ややマニアックなレコードであるが、ピアソラをヨーヨー・マやギドン・クレーメルが取り上げるようなコマーシャリズムなアーティストと思っている方は是非一聴をお薦めする。


セントラル・パーク・コンサート (The Central Park Concert)
1. ブエノスアイレスの夏
2. ルンファンド
3. 天使のミロンガ
4. 天使の死
5. タンゲディア III
6. ムムキ
7. アディオス・ノニーノ
8. コントラバヒシモ
9. ミケランジェロ 70
10. 五重奏のためのコンチェルト
CHESKY RECORDS JD107
ユニバーサル PHCD-1588

1987 年 9 月 6 日、ニューヨーク、セントラルパークにて録音。「ライヴ・イン・ウィーン」ほど大衆受けした選曲ではないが、ある程度ピアソラを聴いた人にとっては「ライヴ・イン・ウィーン」以上のベスト盤であろう。場所柄もあってか五重奏団の演奏も大変ノリが良く、開放的な雰囲気が感じられ、その点で「ライヴ・イン・ウィーン」を凌駕している。のっけの「ブエノスアイレスの夏」からそのハイテンションぶりにほだされ、初めてこの CD を聴いたときは「何で今までこれを買わなかったのだろう」と自分の購買眼の悪さを悔いたものだ。単にノリの良さというだけでなく、そこに霊的とも思える気迫、並々ならぬ集中力を感じる。録音も野外ライヴとは思えない良さ。それぞれの楽器がオン・マイクながら非常に綺麗に収録されており、生々しさが伝わってくる。特にコントラバスの arco. は生々しすぎるが、かえってそれがこぎみ良い。

以上、超定番の 3 枚でした。

関連記事を検索: ピアソラ

2001年1月15日 23:17

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