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バーバー:交響曲第 1 番/シューマン:交響曲第 4 番/サヴァリッシュ [FARAO]
バーバー:
交響曲第 1 番 op. 9
R. シューマン:
交響曲第 4 番 ニ短調 op. 120
バイエルン国立管弦楽団
FARAO S108 019
2003 年 7 月 21 日、ミュンヘン、バイエルン国立劇場におけるライヴ収録。サヴァリッシュの 80 歳記念コンサートです。発売が予告された後、何らかの事情で一旦キャンセルされたらしく、メーカーのねばり強い交渉の末ようやく発売となった限定盤です。SACD (マルチチャンネル) とのハイブリッド盤。一般的には、定評あるサヴァリッシュのシューマンが目玉なのでしょうが、バーバー好きの私は、バーバーの 1 番を目当てに買った CD です。バーバーの 1 番の録音には往年のワルター盤や若々しいアルソップ盤、まったりしたヤルヴィ盤に極上のジンマン盤などありますが、シューマンや R. シュトラウスを得意としたサヴァリッシュですので、またひと味違ったバーバーを聴かせてくれるのではと期待しました。
バーバーは交響曲を 2 曲残しましたが、第 2 番は作曲者自身が破棄したということになっており (楽譜も出版されており、録音もあり、私も MIDI で作りましたが ^^;) 、どちらかといえば 1 番が有名なのですが、どちらにせよ演奏される機会は少ない曲です。1 番は単一楽章の交響曲ですが、その構成は、アレグロによる提示部展開部、スケルツォ部、緩徐部、パッサカリアによるフィナーレと、4楽章構成と同様な形式をしています。新ロマン派あるいは「ロマンティシズムの亡霊」などと言われるほどロマンロマンした作風ですが、真のロマン派と違うのは詩的・物語的・表題的な要素より、純粋に技巧的な面が勝っているというところ。もちろんこの作品からなんらかの情景を読みとるのは可能でしょうが、ロマンチシズムに溺れてしまうと単に取り留めのない曲になってしまいます。
サヴァリッシュの演奏は、ちょっと微妙な感じです。ロマン派の巨匠らしくロマン性の強い演奏で、こういうくどい表現をすると普通ならかなり耽美的で支離滅裂な展開になってしまうところですが、バランス感覚に優れ自然な流れと劇的表現の得意なサヴァリッシュらしく、ロマン性のなかにも実に説得力のある魅力的な演奏を展開しています。冒頭部分がかなりゆったりした感じでだらだらとした印象をうけましたが、第 2 主題が現れる頃にはサヴァリッシュのペースに乗っかれますし、スケルツォの後半以降はさらに気合いの入った演奏になり良いです。それでも全体的に見るとピリッとしたところの少ない演奏で、音の立上りも悪くテンポも乗り切れてない印象を否めません。今までのサヴァリッシュの演奏を知っているものからすると、やはり「老い」というものを感じてしまいます。もう 10 年も早く録音してくれたら素晴らしい演奏が聴けたのではないかと、つい考えてしまいます。
シューマンはサヴァリッシュが得意としていたレパートリーのようですが、私は聴いたことがありませんでした。この CD の演奏からはまったりとした印象を受けましたが、サヴァリッシュのシューマンってこんな感じなのでしょうか。パワフルに迫って来る部分や歯切れの良いティンパニなどダイナミックな面もありますが、語り口が重くなり気味で、オケの反応も悪く、やりたいことは見えてくるのですが、効果的に実現出来ているとは思えません。オケから音楽が離れないもどかしさを感じます。こうした印象を全部指揮者のせいにするのはひょっとすると酷なのかもしれません。オケの音色も発音も表情も十分揃っているとはいえず、悪い意味でくすんだ感じに聞こえます。バイエルン放送響はよく聴きますが、バイエルン国立管は聴いたことがなかったので (基は一緒ということ無いですよね)、本来の実力がどの程度なのか測りかねるという演奏です。サヴァリッシュの解釈の雰囲気自体は良かったので、全集盤を聴いてみたくなりました。
FARAO という知らないレーベルからのリリースですが、見通しが良く透明度の高い分離の良い録音でした。SACD で聴けばさらにレンジ感が広がって、会場で聴いている以上の臨場感を味わえそうです。ところが、ハイブリッド盤なので普通の CD プレーヤーでも聴けるはずなのですが、私のところではかからないプレーヤーが幾つかありました。ひょっとして盤の個体差なのかもしれませんが、購入を考えているのならご留意下さると良いでしょう。まあ、限定盤なのでそろそろ入手困難になりそうですが。あと、バーバーがトラック 1 つなのはいまいちです。
私としては新しいバーバー 1 番の演奏が手に入ったので、それだけで十分価値のある CD でしたが、サヴァリッシュ・ファンでもなければ無理して購入するほどのものでもないでしょう。録音は良いので、オーディオファンや SACD でシステムを構築している方なら買っても損なはいところ。私は最近 SACD のデモを聴いて、CD とは間違えようのないレンジ感の自然な広さに鳥肌が立ったので、真剣に SACD の購入を「夢見て」います ^^;。そちらの観点から検討するなら、演奏も決して悪くはないので、十分買いの 1 枚でしょう。
2004年5月27日 18:11
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