« R.シュトラウス:アルプス交響曲/ティーレマン [DG] | カバーページ | バーンスタイン:ミサ (DVD) »
マーラー:交響曲第 5 番/シノーポリ [DG]
マーラー:
交響曲第 5 番
フィルハーモニア管弦楽団
F35G 50247 (DG) 68'53"
1985 年 1 月、ロンドン、オール・セイント・チャーチにて収録。シノーポリのマーラー・チクルス第一弾。このあと 2 番、6 番と続き、その辺まではこれは凄い全集になるぞという期待が高まったが、その後シノーポリは壊れ (普通になった?) 凡演が続くが、チクルス終盤で、初期の芸風とまた違った安定感・存在感を獲得。全体としてはそれなりにレベルの高い全集となった。私としてはやはり、賛否両論を巻き起こした 5, 2, 6 番に強い魅力を感じる。
この 5 番がリリースされた当時は、なにかと「解剖学的なアプローチによるマーラー」と良くも悪くも評されたものだが、今再び聴いてみると、ひとつひとつのモティーフを実に丁寧に扱った演奏なのだと思った。じっくりとそれぞれのモティーフの音楽的な意味を吟味し、それを生かすためのテンポ/バランスで表現する。それを丹念に全ての音に対してやり通すその根気の強さ。にもかかわらず独善的な解釈に陥らず、音楽的な流れに機敏に反応する勘の良さ。プログラマチックなアプローチを前提にしながらも、ライブ感覚も鋭く、演奏には即興性とも言える緊張感が漲っており、それが生なましい感動をひき起こす。2 楽章の終盤で指揮台を踏み鳴らしたり、3 楽章で鼻歌風息づかいが聞こえたり、ノイズの多い指揮であるが、いわゆるスタジオ録音であるにも関わらず、ライブと思わんばかりの没入である。「解剖学的」というとどう考えても静的な意味にしか取れないが、シノーポリの魅力はどちらかというとダイナミックな動的な部分に現れると思うし、彼の壊れんばかりの情熱的な指揮ぶりも同様。シノーポリ=解剖学的という紋切り的な認識では彼の一面しか捕らえられないだろう。特に 2 楽章の爆発的なドラマ性、3 楽章の先へ先へと曲を引っ張る推進力などは、分析力や知性という頭脳的なもの以上に、肉体的な感覚の方を強く感じる。頭脳と肉体が絶妙なバランスで具現化したマーラーである。
この 5 番はあまり色彩的な演奏ではなく、ジャケットのデザインにも象徴される「光と影のコントラスト」を強く印象づける演奏。シノーポリ/PO. はこういうモノトーンでコントラストの強い音響が特徴と思える。ホールの関係もあろうが、フィルハーモニアは音の発音に癖があるが (パピプペポの発音、私は勝手に「パ行のフィルハーモニア」と呼んでいる)、マーラーの音楽はスピード感のある発音が命だから、この「パ行」の発音は悪くない。トランペット(ジョン・ウォーレス氏?)のペタッとした吹き方は個人的にあまり好きでないが…。残響というよりエコーと言った方がぴったりくるほどライブな響きの会場だが(教会だしね)、直接音は十分に録られているし綺麗なホールトーンなので、楽音が響きに埋没することはない。ただし響き過ぎるせいで、編集で繋げた位置がはっきりと聞き取れてしまう。
総論的なことばかりで細かい部分には触れなかったが、シノーポリのマーラー 5 番は、シノーポリのレコードの中でも 1,2 を争う出来ではないかと思う(シノーポリの全 CD を聴いた訳ではないが)。突然の訃報に強いショックを受けてしまったか、文字通り指揮台の上で死ねて、指揮者の死に様としては最高の舞台だったのかもしれない。しかし、今年のバイロイトでのリングや、ウィーンでの「ばらの騎士」など、いちファンとして楽しみにしていたものが永遠に失われてしまったという喪失感は計り知れない。私としてはこの位のことしかできない。ご冥福をお祈りいたします。
演奏:★★★★★
録音:★★★☆☆
↓amazon.co.jp の個別商品へリンクしています
マーラー:交響曲第5番/シノーポリ
Mahler: Symphony 1 & 5/ Sinopoli
どうせ買うなら、こちらをクリックして行っていただけると私は嬉しい (^^
2001年4月24日 11:00
この記事はどうでしたか? Bad ← 1 2 3 4 5 → Good
評定平均:(3.1) 投票人数:(467)
« R.シュトラウス:アルプス交響曲/ティーレマン [DG] | カバーページ | バーンスタイン:ミサ (DVD) »
トラックバック
トラックバックスパム防止のため、末尾の XXXXXXXXX 部分を上記画像の数字に置き換えてからご利用ください。お手数ですがご協力よろしくお願いいたします。
トラックバックが反映するまで時間がかかるかもしれませんし、エラーが出ても受け取れているかもしれません。重複トラックバックはこちらで削除しますので、特にコメントは不要です。

コメントがありましたらどうぞ
メールアドレス・URL は必須ではありません。コメントは管理者が承認してからページに反映されます。 もしページへの表示を望まない場合は、その旨一筆添えて下さい。削除は管理者へ依頼して下さい。