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プロコフィエフ:《ロメオとジュリエット》抜粋/交響曲第1番/ショルティ [DECCA]

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プロコフィエフ:
バレエ《ロメオとジュリエット》セレクション
交響曲第1番「古典交響曲」

サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
シカゴ交響楽団
シカゴ・オーケストラ・ホール ('82.5)
F35L-50281 (LONDON)

バレエ《ロメオとジュリエット》

 ショルティ唯一のプロコフィエフ。このアルバムではバレエ全曲からセレクションしたものを場面順に演奏している。全 52 曲中17 曲、それも途中カットされている曲もあるのだが、主な曲はほぼ演奏されており不満に思うことはない。独立した感じの曲や単調と思えるバリエーションを省き、ダイナミック、ドラマチックで音楽的にも凝っている部分を中心に、幕ごとに連続した交響詩のように仕立てている。全曲聴くより作品としてまとまっており、聞き飽きせずにかえって良いと思う。

 演奏としてはダイナミックで、プロコフィエフと言うよりワーグナー的。第1幕のバルコニーシーン以降の音楽などは《トリスタンとイゾルデ》を聴いているんではないかと思うほどである。といって重厚な作りというわけでなく(ショルティのワーグナーはそもそも重厚でないわけだし)、第1幕の『イントロダクション』から『朝の踊り』までの軽快さなども素晴らしい。『朝の踊り』のホルンのトランペットばりの音などいかにもシカゴ響らしいサウンド。

 第2幕からは決闘以降のダイナミックな部分をセレクションしている。歯切れ良くブリリアントで、まさにショルティ/シカゴ響の独壇場。『マーキュシオの死』でも、どことなくコミカルなマーキュシオの主題なのに、上手い具合に悲壮感を出している。その後に続くタイボルトの死からフィナーレまでも壮絶。

 第3幕はトーンクラスタ風のイントロダクションとそれに続く『ロメオとジュリエット (ジュリエットの寝室)』の後、もうエピローグの『ジュリエットの死』になる。確かに3幕にはあまり面白い音楽が無いのだが、欲を言えば、あと『ジュリエットの葬送』を入れてくれれば物語的にまとまりが出たし、またこの曲はショルティ/シカゴ響の演奏で聴いてみたかった。

 ショルティの演奏はプロコフィエフの「新古典主義」の「新」の部分をあまり感じさせない、どちらかといったらロマン的な演奏だ。メロディーラインをはっきり聴かせ、古典的和声法を逸脱している音は不協音としてそれ以外の音と同等の扱いはされない。それだけに判りやすく聴きやすい演奏となっているが、プロコフィエフ的な部分も抑えられることとなっている。良いか悪いかという問題でなくてこういう特徴を持っているということであり、この演奏の場合それが非常に説得力ある良い演奏になっている。

 ショスタコーヴィチでは新古典的な解釈をしたショルティが、新古典の代表とも言えるプロコフィエフではロマン的な演奏をしているのは興味深い。むろんこの一曲だけでそうと断定できるものではないが、どのみちこれ以上は想像の域を出ないことに変りはないのだ。

交響曲第1番《古典》

 この曲の第3楽章 "Gavotta" が《ロメオとジュリエット》の第2幕-No.18 にまるまる引用されているので、このカップリングは非常に正しいと言える(笑)。

 ショルティは、まるでハイドンを演奏するような明瞭さでこの曲を扱っている。「古典的」なのでなく、思いっきり「古典」だ。テンポ設定も速めで勢い良く、どことなくナイーブな印象があるこの曲のイメージを明るく吹き飛ばす。弦セクションのガッチリとした音も健康的。この演奏を聴いた後、例えばプレヴィンの演奏を聴いてみると、まるっきり別の作品のように思えてしまう。同じ曲でもこうも違う要素が引き出せるのかと驚かされるとともに、どちらでも成立してしまうプロコフィエフの奥の深さに感嘆する。

演奏:★★★★★
録音:★★★★☆

2001年2月 5日 12:22

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