« 脱=印象批評宣言 | カバーページ | バーンスタイン:ワンダフル・タウン/ラトル [EMI] »

ストラヴィンスキー交響曲集:ショルティ/CSO

stra_solti.jpg

三楽章の交響曲 (22'27")
交響曲ハ調 (28'21")
詩篇交響曲 (21'08")

サー・ゲオルグ・ショルティ
シカゴ交響楽団・合唱団
DECCA 458 898-2

『三楽章』は 1993年11月2日、『in C』と『詩篇』は 1997年3月14〜29日、シカゴオーケストラホールでの録音。  

アメリカにいる友人の話で、シカゴ響ライヴのラジオ放送で(『三楽章』だったはず)、「この演奏は DECCA によってレコーディングされます」というアナウンスがあったという。その話を聞いたときから待ちに待ってた音盤。追悼盤となってしまったのが残念である。  

作曲された順番と反対に収録されている。おそらく録音した順番なのだろう。

 どうも切れ味の悪いストラヴィンスキーでフラストレーションがたまる。テンポもゆるいし、アンサンブルもパリッとこない。テンポが遅いとかではなく、曲のエモーションを決定づけるちょっとした突っ込みや貯めに曖昧さがあり、曲がどっちへ向いているのかハッキリしないのである。ショルティはこういう部分が巧い指揮者だったという印象があるので、「どうして?」という思いである。初っ端『三楽章』の 2 小節目の四分音符の音型はこの曲のキャラクタを決定づける意味で大事なものだが、音楽の方向がハッキリとしない。悪い意味で中庸だ。

 思い起こしてみればショルティのストラヴィンスキーは、パリッとした演奏が無かった。どこかもたついたところがあり、『春の祭典』などは 5拍子がびっこを引いている感じであった。オーケストラもアインザッツを探っている感じだ。拍子が小節単位で変化する部分など棒が邪魔しているのではないか(ああ、こんなこと考えたくない)。ストラヴィンスキーの変拍子は拍節を無視して考えると割合単純だが、それを複雑に割ることで緊張感を高めていることは周知であろう。指揮者を無視すれば合わせられるが、そうもいかない。ここに収録されている3つの交響曲のなかでは『in C』の第 3 楽章が如実だ。ほかの指揮者の演奏でも上手くいっているのが少ないが、この CD もスマートにはこなしてない。低弦が混乱している部分もある。

 ちょっと言い過ぎたかもしれない。『in C』の第 3 楽章以外はそんなに複雑な変拍子は出てこないし、だいいち、これより酷い演奏はいくらでもある。しかしもうちょっと切れ味が良い演奏を期待していた。sfp sfz などもシャープに出て欲しかった。

 録音もこもり気味。巨大な室内楽といった趣が欲しいところで見通しが悪い。せめて録音が良ければ救われるのにと思い残念。『三楽章』は『ペトルーシュカ』と同じ 93年11月の録音だが(エンジニアもほとんど同じ)、『ペトルーシュカ』の方が間接音も豊富でバランスも良い。特にカップリングの『カルタ遊び』がショルティのライヴ録音としてもベストに入る録音と思う。『三楽章』とはかなり違う。4年も後の『in C』『詩篇』と『三楽章』はそれほどの差を感じない。測ったわけではないが高域が聴感上少なく思える。楽器音の艶やかさやホールトーンのニュアンスがよく解らないのだ。『詩篇』は合唱が入るまではホールの感じが見通せるが、合唱が入るとつぶれる。3 楽章の Alleluia. や Omnis spiritus laudet Dominum. などのエッチなハーモニーも陶酔できない。オーケストラホールのライヴ録音は難しいのだろう。

 CD ジャケットの印象が音の印象に比例するという持論があるのだが、このジャケットも色味が少なく、ショルティの写真のピントがやや甘い。立体感もない。録音もこの言葉がそのまま当てはまると思う。

 私はショルティのファンなので、なおさら辛口になってしまったが、少なくとも彼の『春の祭典』『ペトルーシュカ』より演奏は良いと思う。しかしショルティやこの曲のファンでなければ、無理して買うものでは(残念ながら)ない。

演奏 : ★★★☆☆
録音 : ★★☆☆☆

お薦め盤 :
  三楽章の交響曲 ラトル/バーミンガム市 O. (EMI)
  交響曲ハ調   無し
  詩篇交響曲   ティルソン・トーマス/ロンドン SO. (SONY)

1999年9月11日 00:27

この記事はどうでしたか? Bad ← 1 2 3 4 5 → Good
評定平均:(3.1) 投票人数:(427)

ソーシャルブックマーク:

« 脱=印象批評宣言 | カバーページ | バーンスタイン:ワンダフル・タウン/ラトル [EMI] »

トラックバック

CAPTCHA
トラックバックスパム防止のため、末尾の XXXXXXXXX 部分を上記画像の数字に置き換えてからご利用ください。お手数ですがご協力よろしくお願いいたします。

トラックバックが反映するまで時間がかかるかもしれませんし、エラーが出ても受け取れているかもしれません。重複トラックバックはこちらで削除しますので、特にコメントは不要です。

コメント(0)

コメントがありましたらどうぞ

メールアドレス・URL は必須ではありません。
コメントは管理者が承認してからページに反映されます。 もしページへの表示を望まない場合は、その旨一筆添えて下さい。削除は管理者へ依頼して下さい。