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バーンスタイン:ワンダフル・タウン/ラトル [EMI]

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バーンスタイン:
ワンダフル・タウン

サー・サイモン・ラトル指揮
バーミンガム・コンテンポラリ・ミュージック・グループ
ロンドン・ヴォイシス
キム・クリズウェル (ルース)、トマス・ハンプソン (ロバート・バッカー)、 オードラ・マクドナルド (アイリーン)、ブレント・バレット (レック)
EMI 5 56753 2

 1998 年 11 月、ロンドン、アビー・ロード・スタジオでの録音。(作曲者としての)バーンスタイン・ファンな私にとって、強烈な一枚。滅多に聴かれることの無い曲のうえに(少なくとも私は初めて聴いた)サイモン・ラトルの指揮にトマス・ハンプソンと来たら、もう買うしか無いでしょう状態であった。ジャケットが地味なので、レコード店で遭遇しても見逃す可能性大。

 今では国内盤も出ているが、私が買ったのは輸入盤。ライナー・ノートの英語が難しく、歌詩もバーンスタイン・ミュージカルではお馴染みのベティ・コムデン&アドルフ・グリーンおしどり夫婦によるウィットに富んだものなので、読むのを諦めた。よってストーリーについては自分で調べて下さい。曲の感じは同じ時期に作曲された《タヒチ等の騒動》に近いが、《オン・ザ・タウン》のようなネアカな性格を放つ。編成はフルオーケストラよりは小さい。どちらかというとバンド的。サックスもセクションとして使っている。トロンボーンなど各楽器は左右に配置されているようだ。

 バーミンガム・コンテンポラリ・ミュージック・グループという団体はどういった方々か知らないが、ひょっとしてバーミンガム市響のメンバー?(*1) ラトルの指揮とあいまって、非常にキレの良いノリノリの演奏をしている。

(*1 どうやら関係ないらしい。)

 一番初めに聴いてビックリしたのは、3 曲目の "Conquering New York" というほぼインスツルメントのナンバーに《プレリュード・フーガとリフ》のリフの主題が出てくることだ。バーンスタインは自作から引用することがあるが(交響曲 2 番の仮面舞踏会の部分に《オン・ザ・タウン》の "Ain't Got No Tears Left" が出てきたり)、これだけあからさまに出てくるもの珍しい。他のナンバーにも《プレリュード…》の別の部分の引用がある。で《プレリュード・フーガとリフ》の楽譜を見てみたら Prefatory Note に書いてありました。それによると 1949 年にウッディ・ハーマン楽団に委嘱されるが、完成時にバンドは解散、演奏されることはなかったが、1952 年の《ワンダフル・タウン》のバレエ・シーンとしてピット・オーケストラ用に書き直されたとのこと。ついでに言うと《プレリュード…》の初演はテレビシリーズ「ヤング・ピープルズ・コンサート」の「ジャズって何」でベニー・グッドマンのソロによる。つまり日のめを見なかった作品を流用したということのようだ。《ワンダフル・タウン》で『リフ』が出てくる部分は非常に格好いい。

 流用というと、ティルソン・トーマスの《オン・ザ・タウン》LD 版のクラブ・シーンで使われていた音楽が、《ワンダフル・タウン》の "Conga!" というナンバーにでてくる。《オン・ザ・タウン》の CD 版には収録されてなかった曲なので、"Conga!" をトーマスが編曲し《オン・ザ・タウン》に使ったのではないかと思う。バーンスタイン自演の《オン・ザ・タウン》にもこの曲は出てこない。

 私は歌については詳しくないし歌手についての解説も無かったからよく判らないが、ミュージカルもこなせる歌手たちのようで、聴いていて楽しい。バーンスタイン自演の《ウエスト・サイド・ストーリー》のようにオペラ歌手を使うというのも1つの手ではあろうが、このミュージカルをカレーラスが歌ったらぶち壊しだ。発声の問題もあるが、まずリズム感が良くなくてはね。この点では、ティルソン・トーマスの《オン・ザ・タウン》と同様成功していると思う。

 録音については特筆すべき点はない。スタジオ録音のごく聴きやすいもの。オーディオ的に優れていることもない。普通の装置で普通に鳴らせば十分楽しめる。

 今回、演奏についての評価をあまりしなかったが、選択の余地がないわけだし、デフォルト・スタンダードとして十分な出来は間違いない。しかしバーンスタインのミュージカルを全く聴いたことがないという方は、一般的な《ウエスト・サイド・ストーリー》《キャンディード》《オン・ザ・タウン》あたりから聴いた方が良い。これらなら序曲や管弦楽抜粋の形で馴染みがあるだろうし、完成度も高い。《ワンダフル・タウン》も序曲とか独立して演奏しても通用すると考えるが、ビッグバンドな編成なので、フルオケに編曲する必要があろう。もしそのようなものがあったなら面白いと思うのだが、マニアックな趣味かもしれない。

演奏 : ★★★★★
録音 : ★★☆☆☆

関連作品 :
  オン・ザ・タウン  M.T.トーマス/ロンドン SO.他 (DG)
  タヒチ島の騒動   レナード・バーンスタイン/ NYPO. (SONY)
  プレリュード・フーガとリフ
            M.T.トーマス/ニュー・ワールド・ジャズ (BMG)
    

1999年9月11日 11:47

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