<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<feed xmlns="http://www.w3.org/2005/Atom">
    <title>トロンボーン吹きによるクラシックの嗜好</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/" />
    <link rel="self" type="application/atom+xml" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/atom.xml" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2006-01-22:/mt/trb_cla//4</id>
    <updated>2010-10-26T04:30:46Z</updated>
    
    <generator uri="http://www.sixapart.com/movabletype/">Movable Type 4.1</generator>

<entry>
    <title>お知らせ</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/01_news/.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2010:/mt/trb_cla//4.317</id>

    <published>2010-10-26T04:22:02Z</published>
    <updated>2010-10-26T04:30:46Z</updated>

    <summary>↓にも書きましたように、現在私は全音のミニチュア・スコアの浄書業をしております。バルトーク《中国の不思議な役人》組曲は絶賛発売中！あと3作品(バルトーク以外)が作業中です。この仕事は嬉しいことにしばらく続きそう。ブログを更新する時間がますますなくなりまして読者様にはご迷惑をおかけしますが、Twitter ではしょっちゅうつぶやいていますので、よろしければ @trbcla をフォロー願います。...</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="01_News" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p>↓にも書きましたように、現在私は全音のミニチュア・スコアの浄書業をしております。バルトーク《中国の不思議な役人》組曲は絶賛発売中！あと3作品(バルトーク以外)が作業中です。この仕事は嬉しいことにしばらく続きそう。ブログを更新する時間がますますなくなりまして読者様にはご迷惑をおかけしますが、Twitter ではしょっちゅうつぶやいていますので、よろしければ @trbcla をフォロー願います。</p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>全音版《中国の不思議な役人》組曲スコア</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/bartok/mandarin_suite_score.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2010:/mt/trb_cla//4.316</id>

    <published>2010-10-26T04:18:23Z</published>
    <updated>2010-10-26T04:20:54Z</updated>

    <summary>
全音より《中国の不思議な役人》演奏会組曲版のスコアが出版されました。2000年新版をベースにさらに間違いを修正したオリジナル版です。ペーテル・バルトーク氏も「最初期に出版されて以来出版されたことのない作品で、マーケットの隙間を埋める貴重な出版だ。我々も全曲版とのハイブリッドな状態が気に入らず、UE には分けて出版するよう主張していたものだ」とご賛同頂き、全面的に協力して頂きました。

解説及び校訂は The Music-Makers&apos; Paradise の村上氏が、浄書は私が担当させて頂きました。UE のリプリントではございません。浄書をしながら従来版の問題点をあぶり出し、それを村上氏がペーテルさんと協力して丹念に調べていきました。また村上氏の解説は長年の研究成果を注ぎ込んだ力作で、成立過程、ストーリー、楽曲解説のどれをとっても、国内で読める最高の《役人》解説であると思います。

このスコアが売れれば次なるバルトーク作品の国内出版へつながり、ペーテルさんが資金的理由で断念した作品の校訂版を作る機会になるかもしれません。皆様、ご協力お願いします。</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="Bartok" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="バルトーク中国の不思議な役人スコア" label="バルトーク 中国の不思議な役人 スコア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p><img alt="Mandarin_suite_score.jpg" src="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_suite_score.jpg" width="150" height="210" class="cd-img" style="" /></form>
全音より《中国の不思議な役人》演奏会組曲版のスコアが出版されました。2000年新版をベースにさらに間違いを修正したオリジナル版です。ペーテル・バルトーク氏も「最初期に出版されて以来出版されたことのない作品で、マーケットの隙間を埋める貴重な出版だ。我々も全曲版とのハイブリッドな状態が気に入らず、UE には分けて出版するよう主張していたものだ」とご賛同頂き、全面的に協力して頂きました。</p>

<p>解説及び校訂は <a href="http://www.asahi-net.or.jp/~zi6y-mrkm/">The Music-Makers' Paradise</a> の村上氏が、浄書は私が担当させて頂きました。UE のリプリントではございません。浄書をしながら従来版の問題点をあぶり出し、それを村上氏がペーテルさんと協力して丹念に調べていきました。また村上氏の解説は長年の研究成果を注ぎ込んだ力作で、成立過程、ストーリー、楽曲解説のどれをとっても、国内で読める最高の《役人》解説であると思います。</p>

<p>このスコアが売れれば次なるバルトーク作品の国内出版へつながり、ペーテルさんが資金的理由で断念した作品の校訂版を作る機会になるかもしれません。皆様、ご協力お願いします。</p>]]>
        <![CDATA[<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=trbcla-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4118925303&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe></p>]]>
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>バルトーク:弦楽四重奏曲第 3 番 コルレーニョの怪</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/bartok/bartok_string_quartet_3_collegno.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2010:/mt/trb_cla//4.315</id>

    <published>2010-01-07T15:19:30Z</published>
    <updated>2010-01-09T00:29:45Z</updated>

    <summary>
　先日、フンガロトン新バルトーク全集の目玉となる、ミクロコスモス Q. の弦楽四重奏曲全集を聴いておりました。第 3 番を聴いていて驚きました。第 2 部はコルレーニョが都合 3 回出てくるのですが、そのどれも普通に (コルレーニョなしで) 弾いているではありませんか。なんだこれは？！と、これは新しい研究成果なのかと、慌ててペーテル・バルトークさんへ聞いてみました。そして同様なことをしている演奏が他にもあったのか、手持ちの CD で確認してみました。</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="Bartok" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="バルトーク弦楽四重奏曲" label="バルトーク 弦楽四重奏曲" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p><img alt="bartok_SQ_mikrokosmos.jpg" src="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/pict/bartok_SQ_mikrokosmos.jpg" width="120" height="120" class="cd-img" style="" /><br />
　先日、フンガロトン新バルトーク全集の目玉となる、ミクロコスモス Q. の弦楽四重奏曲全集を聴いておりました。第 3 番を聴いていて驚きました。第 2 部はコルレーニョが都合 3 回出てくるのですが、そのどれも普通に (コルレーニョなしで) 弾いているではありませんか。なんだこれは？！と、これは新しい研究成果なのかと、慌ててペーテル・バルトークさんへ聞いてみました。そして同様なことをしている演奏が他にもあったのか、手持ちの CD で確認してみました。</p>]]>
        <![CDATA[<p>　第 3 弦楽四重奏曲第 2 部のコルレーニョは、具体的には [22]+4, [25]+4, [35]+9 の 3 箇所にあります。第 2 部から約 2分20秒前後にまず 2 回、3分40秒過ぎにもう 1 回演奏されます。</p>

<p>　ちなみにコルレーニョとは、弓の木の側で弦を叩く奏法で、乾いた音でカカカとかチチチとかいう音がします。一番有名な使用例は、ホルスト《惑星》の「火星」冒頭でしょう。ついでにスピカートという奏法もあって、これは弓を弦を叩き付けるようにして弾ませるように細かく音を出す奏法です。アルコは普通に弓を使って演奏することです。</p>

<p>　ペーテルさんからの返信は「出版譜も父の自筆譜もこの 3 箇所全てがコルレーニョになっている。私が録音したニュー・ミュージック四重奏団での演奏もコルレーニョだ。作曲家の意図は明らかなのに、なぜどこの誰かが違った風に演奏するのか私には判らない」というものでした。つまりそういう資料があるわけではなく、あくまでも演奏者の独断であるということです。</p>

<p>　さて、結論は見えましたが、他の演奏も確認してみるとミクロコスモス Q. だけが特殊なことをしている訳ではないことが判ってきました。で、どの団体が最初に改変を行ったか、私が持っている CD を調べて録音順に並べてみました。(録音年が判らないものは、全集完成年としました。)</p>

<table><tr><td>ニュー・ミュージック Q. </td><td>nothing particular(問題なし)</td></tr><tr><td>ジュリアード SQ. ('50)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ヴェーグ Q. ('54)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ラモー Q. ('57)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ファイン・アーツ Q. ('59)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ハンガリー SQ. ('61)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ジュリアード SQ. ('63)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ノヴァーク Q. ('65)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>タートライ Q. ('66)</td><td>スピカートっぽい</td></tr><tr><td>ヴェーグ Q. ('72)</td><td>スピカートまじり</td></tr><tr><td>東京 SQ. ('79)</td><td>スピカート (3 回目は微妙にコルレーニョ)</td></tr><tr><td>ジュリアード SQ. ('81)</td><td>2 回目はスピカート 3 回目は折衷</td></tr><tr><td>タカーチ Q. ('83)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>アルバン・ベルク Q. ('86)</td><td>3 回とも強いスピカート</td></tr><tr><td>エマーソン Q. ('88)</td><td><b>3 回目はアルコ</b></td></tr><tr><td>チリンギリアン Q. ('88)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>バルトーク Q. ('91)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ニュー・ブダペスト Q. ('92)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>東京 SQ. ('93)</td><td>やや微妙にスピカートまじり</td></tr><tr><td>ケラー Q. ('94)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ハーゲン Q. ('95)</td><td><b>3 回目チェロだけアルコ</b></td></tr><tr><td>アマティ Q. ('95)</td><td>スピカートまじり</td></tr><tr><td>タカーチ Q. ('96)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>タカーチ Q. ('98)[DVD]</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ヴェルターヴォ SQ. ('00)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ルビン Q. ('03)</td><td><b>最初 2 回はアルコ</b>、最後はスピカート</td></tr><tr><td>フェルメール Q. ('04)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ペンデレツキ Q. (C '05)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ベルチャ Q. ('07)</td><td>n.p.</td></tr><tr><td>ミクロコスモス SQ. ('08)</td><td><b>3回ともアルコ</b></td></tr></table>

<p>　CD での演奏史的には、バルトーク大全集にも収録されたタートライ Q. のあたりから、コルレーニョ以外の演奏方法が混じってきたようです。そして、有名録音が意外にも脱コルレーニョ化していて驚きました。確かにコルレーニョだとあまり音量が出ないので、曲の盛り上がってきた部分でぽっかりと穴が空いたようになる危険性があります (特に 3 回目)。また弓が痛むのでコルレーニョを嫌う奏者もいます。スピカートでも、叩き方によっては弓の毛と木の両方を当てることが出来るので、コルレーニョの効果を出しつつ物足りなさも感じさせない演奏が可能で、そういう演奏は多かったです(スピカートっぽい／まじりと書いたもの)。しかし明らかに木の部分を当てないスピカートだけの演奏 (アルバン・ベルク Q.) もありました。これはちょっと問題ありになってきます。ハーゲンのは、コルレーニョとアルコを間違えちゃったようなアクシデントのようにも聴こえますので「？」です。そして完全にアルコになっているもの (ルビン Q. とミクロコスモス Q.) 、これはもうアウトでしょう。ミクロコスモス Q. などレガートで弾いているほどですから。</p>

<p>　バルトーク大全集のタートライで原典からの逸脱を見せ、新大全集のミクロコスモス Q. で完全に無視してしまう。フンガロトンなだけにそれが権威のように受け取られないか心配です。いずれにせよコルレーニョ以外は楽譜上は間違いです。しかし演奏の優劣を決める要素ではないと考えるので、単なるうんちくのひとつとして（　´_ゝ`）フーン程度に受け止めて下さいまし。</p>]]>
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>バルトーク《かかし王子》組曲フルスコア新版</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/bartok/bartok_wooden_prince_suite_score.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2009:/mt/trb_cla//4.314</id>

    <published>2009-12-24T14:16:30Z</published>
    <updated>2010-01-07T15:16:18Z</updated>

    <summary>
　バルトークの《かかし王子》には舞台上演用全曲版と 2 つの組曲版 (大組曲、小組曲)の 3 種類がいままでありましたが、組曲版のスコアは現在まで未出版でした。それがようやくバルトーク・レコードより出版されました。

　コンピュータ・タイプセッティングは恐らく《中国の不思議な役人》新版を作った人達の手によるものと思われ、とても綺麗で見やすくなっています。ユニバーサルから出さないのが不思議なくらい(ボイコットされていると言っていた)。A4版ハードカヴァーなので、フィルハーモニア版で出るよりも見やすいことは確かですが、一般的な流通経路に乗らないのがとても残念。Bartók Records より直接買ってあげて下さい。

では「序文」の翻訳をお送りします。</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="04_SheetMusic" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="Bartok" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="かかし王子" label="かかし王子" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="スコア" label="スコア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="バルトーク" label="バルトーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p><img alt="woodenprincesuite.jpg" src="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/pict/woodenprincesuite.jpg" width="120" height="165" class="cd-img" /><br />
<p>　バルトークの《かかし王子》には舞台上演用全曲版と 2 つの組曲版 (大組曲、小組曲)の 3 種類がいままでありましたが、組曲版のスコアは現在まで未出版でした。それがようやくバルトーク・レコードより出版されました。</p></p>

<p>　スコアの解説には、組曲は 3 種類あることが示唆されます。1924年版、1931年版、1932年版です。1924年版はいわゆる小組曲で、これはほぼ演奏される機会はありません(知っている限り、フンガロトンのバルトーク大全集に収録されるのみ)。1931年版と1932年版とはどの程度違うのかは定かではありませんが、一般的に聴かれる大組曲は 1932年版を基にしているのではないかと思われます。大組曲には 1932年に行われた全曲版のカットが含まれているからです。この新版も 1932 年版を基にしています。そしてこのスコアを見ながら大組曲を聴いた限りでは、一致していました。なので全く新しい第 3 の版が出てきたと身構える必要はありません。但し「序文」に書いてあるような編集は行われており、これはペーテルさんらが行った試演で明らかになったものです。そう言う点では、実用譜として十分検討されています。</p>

<p>　コンピュータ・タイプセッティングは恐らく《中国の不思議な役人》新版を作った人達の手によるものと思われ、とても綺麗で見やすくなっています。ユニバーサルから出せなくなったのがとても残念(様々な問題があり仲違いしたとの事)。A4版ハードカヴァーなので、フィルハーモニア版で出るよりも見やすいことは確かですが、一般的な流通経路に乗らないのが勿体ない。<a href="http://www.bartokrecords.com/">Bartók Records</a> より直接買ってあげて下さい。</p>

<p>では「序文」の翻訳をお送りします。</p>]]>
        <![CDATA[<hr>
<b>序文</b>　ペーテル・バルトーク

<p>　ベーラ・バルトークは作品が一通り完成した後に、度々改訂作業を行っており、その多くは作品のエンディング部分の改訂であった。《管弦楽のための協奏曲》や《(第2) ヴァイオリン協奏曲》は別のエンディングで出版された後に改訂している。歌劇《青ひげ公の城》の終幕部分やパントマイム《中国の不思議な役人》は、作曲が完了した後に書き換えられた。だがバレエ《かかし王子》(ハンガリー語のタイトルからより正確に翻訳すると "木より彫り出された王子" となる) は、恐らく他のバルトーク作品よりも多くの改訂作業を経ており、作曲者は全曲スコアから組曲版を生み出す過程でとても多くの問題を抱えていたと思われる。</p>

<p>　《かかし王子》の全曲スコアの改訂と、演奏会組曲の作成についての論議は György Kroó の "Két máig kiadatlan Bartók partitúra - A Fából faragott királyfi szvit változatainak története" (「現在未出版のバルトークの 2 つのスコア - 複数の木彫りの王子組曲の歴史」) Magyar Zene, 1969/I でされている。</p>

<p>　それによると、作曲者は短い演奏会版を 1924 年に既に作成しており、出版社ユニバーサル・エディションへ提出している。だが、その理由は不明だが、このスコアは出版されなかった。おそらく作曲者はこの結果に全く満足できず 1931 年に別の演奏会版を編纂し演奏もしている。だがこれも未出版のままで、演奏に使ったパート譜も後に失われる。</p>

<p>　1932 年にもベーラ・バルトークは《かかし王子》に注力し、全曲版の広範囲な改訂と組曲版の設計書を生み出した。全曲版の改訂は、数多くの要約という形で成された。いくつもの細かい部分がカットされ、カットされた部分は大抵繰り返されている部分だった。どうやらその目的は、作品をより簡明にしたかったらしい。カットはスコアにあまり目立たない変更を必要とした。全曲スコアの改訂指示は 1932 年 7 月にユニバーサル・エディションに送られた。</p>

<div style="padding: 0 0 0 3em;">
Ich bitte Sie aber, das Werk künftig nur in dieser gekürzten Form hinzugeben. Musikalisch, aber insbesonders was die Bühnenmässigkeit anbelangt, bedeuten diese Striche unbedingt eine Vervollkommung.

<p>　したがって、今後この作品は、短縮バージョンでのみ演奏されるべきである。要約はあくまでも音楽的な要請である。だが明らかに舞台にとっても相応しいものであり、紛れもなく改良である。(ユニバーサル・エディションへの手紙、1932 年 7 月 1 日)<br />
</div></p>

<p>　またさらに同じ月、作曲者はユニバーサル・エディションへ演奏会版の設計書も提出している。この組曲は 1924 年に作られたものより長くなる予定で、組曲用に書き直されたエンディングを使用する代わりに、全曲版の開始部と終結部で用いられている「夜明け」と「回帰」のテーマがそのまま開始部と終結部で用いられることになっていた。</p>

<p>　作曲者と出版社との書簡からは、なぜ改訂版の全曲スコアだけでなく最新の演奏会版組曲までもが作曲者の生前に出版されなかったのかは、明らかにならない。しかしながら、作曲者自身が持っていた全曲スコアの初版譜にある削除のチェック (これは出版社へ送った短縮箇所のリストと一致する) には、そのカットの指示の上に "marad" (ハンガリー語の「留める」) という語があるのを見て取れる。つまり、改訂版スコアの出版が遅れているうちに、作曲者はいくつかの短縮について新たなる考えを持っていたようなのだ。</p>

<p>　全曲スコアの改訂リストと、演奏会用組曲の設計書はともに透明紙にインディア・インクで書かれている。これは作品の最終稿に普段使っているもので、光に透かすことで簡単に複製を作れるためだ。第二次世界大戦が始まった直後、作曲者がアメリカ合衆国へ旅立つとき、作品の大多数の最終稿は彼と共に、あるいは先立つように送られた。この荷物の中に、上記《かかし王子》の改訂リストと演奏会用組曲の設計書が含まれていた。双方の文書 (これには全曲スコアの数小節を置き換えた部分の短い総譜と、演奏会用組曲のセクション間の推移パッセージなどの楽譜が含まれていた) はそのまま日の目を見ることなく埋もれ、作曲者の遺産管財人によっても出版に向けた努力はなされなかった。</p>

<p>　我々はもう 2 種類の古い演奏会用組曲を知っているものの、この最新のものが作曲者の最終的な考えであると信じている。一番最初の組曲で完全に満足できていたなら、第 2 第 3 の組曲を準備することはなかっただろう。3 種類のうちで 1932 年版は、正式な方法で書き残されている事や、戦時中に他の手稿譜とともに大切に合衆国へ運ばれた事実からして、最終的なものであったという判断に耐えうる。そしてこの時が作曲者の注意が作品に向けられた最後の機会であった (ブダペストに残してきたスコアにのみ記された、短縮に関する僅かな書き込みを例外として)。</p>

<p>　当版はこの最終的な演奏会用組曲に基づいたものである。これは 1924 年に作られた最初の組曲を否定した結果と解釈されるべきではない。最初の組曲はさらに短く、特別に作曲された終結部が含まれている。だが作曲者の最終的なバージョンを現在の時点では優先した。組曲版と平行して、1932 年の改訂を含む舞台上演用全曲版もまた出版されている (訳注:2009年末現在はまだ未出版)。</p>

<p>　演奏会用組曲だけでなく、全曲版においても作曲者の指示に従った。但し、作曲者の持っていた全曲スコアのコピーにあるカットの指示で、その上に "marad" (留める) と書かれたものに関しては、そのカットは行わなかった。例え簡明化のために一度カットすると決定したものであっても、作曲者にはその意思を翻す権利があると信じられるからである。作曲者が後になって残すつもりだったと言うようなものを削除してしまうか、作曲者が一度削除したものの後になって迷っているようなものを残してしまうかの間で我々も悩んだが、例え判断を誤ったとしても音楽が残ることを選択した。</p>

<p>　改訂版の全曲スコアの準備の段階で、初版の練習番号はそのまま残した。短縮によって消えた番号は、改訂版ではスキップされる。組曲版では全曲版の練習番号を使うことは出来ない。組曲版の各部分は全曲版の各シーンを順になぞっている訳ではなく、飛び飛びだったり後戻りしたりもするからだ。全曲版の短縮スコアになされた多くのカットは、作曲者の指示通り組曲版でも踏襲している。</p>

<p>　演奏会用組曲版は 5 つの踊りと序幕と終結部という 7 つのセクションより成っている。組曲の構成は以下の通り (練習番号は全曲版スコアのもの、作曲者が見積もった演奏時間も記した)</p>

<p>1) 序奏部 (Preludium) = (-) から [8]+9 (カットなし), 3'40"<br />
2) 王女 = [8]+10 から [15]+8, 1'53"<br />
3) 森 = [23]+1 から [38]+3 の 1 拍目, 3'35"＋<br />
4) 王子の人形作りの歌 (The prince's work song) = [38]+3 の 2 拍目から [38]+7、[52]+4 から [62]+4, 1'40"<br />
5) 小川 = [39]+9 から [50]+2 (プラス 10 小節の移行部), 2'45"＋<br />
6) かかし王子の踊り = [89]-6 から [119]+6 (プラス 16 小節の移行部) 3'43"<br />
7) 終結部 (Postludium) = [189]+1 から終わりまで。1'43"<br />
全予想時間: 18'46"(＋)</p>

<p>　演奏会用組曲の設計は緻密ではあったものの、いくつかの部分で目立たない程度の修正が必要であった。例えば、最初は 1 本の木管楽器で始まったフレーズが、カットの後では 2 本の楽器がオクターブで重なっていたりした。具体的には組曲版 [68] (全曲版 [109]) の第 1 第 2 フルートのように。この例ではカット部分の前にある 4 つの音にオクターブ下の音を付け加えた。恐らく作曲者はこれらのカットをピアノ編曲版に基づいて行っていたために、このような特徴を見落としたと思われる。</p>

<p>　作曲者は「小川」([41]+5) の前でクラリネット奏者に曲芸をさせなければならなかった。というのもここでは 3 本のクラリネットに A 管が必要であるものの、その直前のセクションでは Bb 管を使っていたからだ。それゆえ、楽器を持ち替えている時間がほとんどなく、さらに 1 本のクラリネットは通常の音域外で演奏する必要が生じた。そこでこの問題を解決するため [36] より順次 A 管に早めに持ち替えさせて行き、[41]+5 には 3 本とも A 管に持ち替えているよう編集による改訂を加えた。</p>

<p>　編集により修正を加えたものは全てこのスコアの巻末の<b>ノート</b>で説明している。</p>

<p>　編集作業にあたったネルソン・O・デラマジョーレに感謝する。組曲版を纏めるのに尽力し、楽譜組版の管理と修正をしてくれた。</p>

<p>訳:渡辺純一</p>]]>
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>マーラー：交響曲第 8 番《千人の交響曲》／ティルソン・トーマス [SFS Media]</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/02_cd/mtt_mahler_8.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2009:/mt/trb_cla//4.313</id>

    <published>2009-11-12T07:00:22Z</published>
    <updated>2009-11-12T07:32:43Z</updated>

    <summary>
マーラー：
交響曲第 8 番《千人の交響曲》
交響曲第 10 番よりアダージョ

マイケル・ティルソン・トーマス指揮
サンフランシスコ交響楽団・合唱団／パシフィック少年合唱団／サンフランシスコ少女合唱団
エリン・ウォール（ソプラノ1:罪深き女）／エルザ・ファン・デン・ヘーヴァー（ソプラノ2:懺悔する女）／ラウラ・クレイコム（ソプラノ3:栄光の聖母）／カタリーナ・カルネウス（メゾ・ソプラノ1:サマリアの女）／イヴォンヌ・ナエフ（メゾ・ソプラノ2:エジプトのマリア）／アンソニー・ディーン・グリフィー（テノール:マリア崇拝の博士）／クイン・ケルシー（バリトン:法悦の教父）／ジェイムズ・モリス（バス・バリトン:瞑想する教父）
SFS Media 821936-0021-2 CD&amp;SACD ハイブリッド 2 枚組</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="02_CD" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="サンフランシスコ響" label="サンフランシスコ響" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ティルソン・トーマス" label="ティルソン・トーマス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="マーラー" label="マーラー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p><img alt="MTT_mahler8.jpg" src="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/MTT_mahler8.jpg" width="137" height="120" class="cd-img" /><br />
<div class="cd-title">マーラー：<br /><br />
交響曲第 8 番《千人の交響曲》<br /><br />
交響曲第 10 番よりアダージョ</div><br />
<p class="cd-performer"><br />
マイケル・ティルソン・トーマス指揮<br /><br />
サンフランシスコ交響楽団・合唱団／パシフィック少年合唱団／サンフランシスコ少女合唱団<br /><br />
エリン・ウォール（ソプラノ1:罪深き女）／エルザ・ファン・デン・ヘーヴァー（ソプラノ2:懺悔する女）／ラウラ・クレイコム（ソプラノ3:栄光の聖母）／カタリーナ・カルネウス（メゾ・ソプラノ1:サマリアの女）／イヴォンヌ・ナエフ（メゾ・ソプラノ2:エジプトのマリア）／アンソニー・ディーン・グリフィー（テノール:マリア崇拝の博士）／クイン・ケルシー（バリトン:法悦の教父）／ジェイムズ・モリス（バス・バリトン:瞑想する教父）<br /><br />
SFS Media 821936-0021-2 CD&SACD ハイブリッド 2 枚組</p></p>]]>
        <![CDATA[<p>　いよいよ ティルソン・トーマス(MTT)／サンフランシスコ交響楽団(SFS) によるマーラーチクルスも最後の交響曲《千人の交響曲》に到達しました。数年前にいったん録音が計画されましたが (実際に録音したと思う)、なにか事情があったようで発売は延期となり、2008 年 11 月 19 日〜23 日の 4 回の公演で再チャレンジ、ようやく納得いくものができ上がったようです。4 日目の演奏はウェブで放送されましたが、CD と聴き比べると、おおむね 4 日目の演奏をベースとした上にところどころ違う日のテイクに差し替えてあるのが分かりました。</p>

<p>　CD は交響曲第 10 番のアダージョで始まるのですが、そちらは後回し。まずは第 8 番から。</p>

<p>　最初何度か聴いても、MTT による第一部は、どう聴いていいものかうまく捉えられずにいました。第一部によくある派手さがあまりなく、落ち着いて幅広な印象。そのためメリハリや劇性も (第二部と比べ) 足りないと感じたのです。しかし何度も聴き込むうちにわかってきました。あれは作品をありのまま提示した結果なのだと。</p>

<p>　第一部と第二部の音楽性は著しく異なっています。第二部と違って第一部はよりポリフォニックであり、合唱もオケも独唱も等しく出番が多く、それぞれが複雑に絡み合っており、音楽の流れもシームレスなものです。形式ははっきりとソナタ形式であり、溢れ出る対位法は構築美を感じるほどで、ブルックナー的とも言える安定感があります。明らかに分裂的な作風のマーラーがここまで物分りの良い曲を書いたのも、第二部との対比 (と統合) を際立たせるためで、普通のマーラー指揮者ならそれをいかにもマーラー風に劇的に化粧を施すのですが、MTTはそれをそのまま音にしてみせました。あまり力まず、ことさら大袈裟にせず。あっさり風味なのは計算の上でしょう。</p>

<p>　しかしマーラーがつまらない曲を書かなかったと同様、MTT もつまらない演奏はしていません。不必要なほどの説話性を持ち込まなかったというだけで、自然に音楽を鳴らし、その流れの内側で密度や色彩を変え、聞き所を繋げていきます。派手には聴こえませんが、ダイナミックであり、神経も隅々まで行き届いているため、目が届いてないなと思わせる部分がなく、聴いていて気持ちが良い。MTT らしい緊張感あるパウゼなど自在に伸び縮みする拍節感は柔軟性に富んでおり、それが形式的な句読点あるいはアクセントとなっています。</p>

<p>　この大胆なパウゼあるいはリテヌートあるいはフェルマータは MTT のマーラーのトレードマークのようなものですが、この第一部では形式的な区切りと一致して使われています。展開部に入る部分のオーケストラ間奏部の前 [23]、長大なクライマックスが始まる Accende の劇的な息つぎ [38]、再現部の入りに当たるVeni, veni, creator, spiritus [64]、終結部 Gloria の前 [84]。まあこれは多かれ少なかれどんな指揮者でもパウゼなりリテヌートなり入れてくる部分です (とはいえ MTT のは滞空時間が長い)。しかし再現部の Ve-ni の MTT のやり方はあまりにも独特です。[64] に向けてほぼインテンポで突っ込んできて、再現部に入ったら Ve-ni, ve-------ni, cre-a-tor ... と 2 度目の ve-ni を思いっきり引き伸ばす。このあたりでリテヌートなりを仕掛ける指揮者は多いですが、こういうやり方はとても珍しい。わざわざ変拍子にして長さを調節しているスコアに思いっきり反するからです。</p>

<p>　気持ち的には判るし、MTT の著作 "Via Voce" でもここは大きなフェルマータにするべし書いてあります (参照 <a href="http://www.sfs.ushiog.com/index.php?MTTが再現部の%20Veni%20の「ヴェー」をのばしている件">MTTが再現部の Veni の「ヴェー」をのばしている件</a>)。しかしそれにしては長すぎる。いろいろと考えていたら思い当たったこと、これは第 9 番との形式的な関連なのです。第 9 番の第 1 楽章で再現部に入るところ (まさにいま第 8 番で論議しているのと機能的に同じ部分) で、トロンボーンが「不整脈」動機をトドメとばかりあらん限りの力で引き延ばす部分、あれがこの 8 番に滲みだしているのです。もちろん曲のベクトルはまったくの反対向きです。似ていません。しかし、金管の盛大な下降音形で導き、再現部の開始で曲を思いっきり引き延ばすというクライマックスの築き方は良く似ています。さらに MTT のわざとらしい Ve-ni, Ve----- のリズムは、不整脈動機のリズムをどことなく思い起こさせるのです。</p>

<p>　再現部に向け音楽を畳み込んで行き、再現部に突入したところで楽想を引っ張る、この語法 (フローロスは "breakthrough" と呼んだ) は第 1 交響曲や第 5 交響曲にも見られ、とても印象的な部分です。マーラーが作った第 8 番は、これほど明確にパターン化されませんが、やはり同じ遺伝子より出来ているでしょう。それを MTT は明瞭化してみせたのではないかと考えます。そして第 9 番の同じ部分と呼応させ、一方はフォーマルな曲 (8 番) での絶頂の瞬間、もう一方はパーソナルな曲 (9 番) での奈落の底と、この正反対なふたつが同じ語法で語られていることの残酷性をあの瞬間につくりあげてしまったのではないかと。この大胆なパウゼは音楽的なカタストロフをもたらすだけでなく、マーラーの作品を俯瞰して得られる形式感を際立たせるために挿入されたと聴き取れるでしょう。MTT 及びマーラーが意識していたかどうかに関わらず。</p>

<p>　第二部は従来通りのマーラー的な音楽で、過去の遺産の集大成ともいえる作品。第一部のオラトリオから、世界は楽劇へ。MTT の棒からも文字通り劇性が聴こえてきます。特に冒頭の「木霊」のシーンは、ショスタコーヴィチが自身の第 5 交響曲に組み込んだほど劇性に優れており、力が入る部分。MTT の握りこぶしにもさっそく力がはいります。聴きどころはその振り上げたこぶしをどうするのか、いつまで持ちこたえるのか。SFSもこの要求に良く応えます。こんな勢いでやって大丈夫かと心配しても、さらに違った激しい表現が出てくる。段階のバリエーションが豊富で、しかも良くコントロールされております。激しさの中にある様々な相を描き分ける MTT の手腕にも脱帽ですが、オケにとっても強いと弱いの間のパレットを豊富に持つことは永遠の課題のはず、このコンビが到達した地点の高さが伺えます。</p>

<p>　ここが決まれば後は独唱者の力量がものを言います。満足出来る録音が少い昨今、その点でもこの演奏は安心して聴けます。法悦の教父と瞑想の教父は無難な出来栄え。法悦の教父は、もうちょっと堪(こら)えて欲しかった点もありますが。ファウストの魂を運ぶ天使のシーン (女声と児童合唱) はとても良い雰囲気。特に重要なマリア崇拝の博士は、感動的とまでは言えないものの、かなり頑張っていると思います。後半の声量を落としてからの雰囲気がなかなか良い。その後、栄光の聖母が現れるハーモニウムの音楽は、もう奇跡としか言い様がない。あれだけゆったりと柔和でふわふわとした音響に心を動かされない人はいないはず。そして実際に栄光の聖母が歌うシーンも、静謐でピンと張りつめた空気が漂い絶品です。しかしここからテノールの Blikket auf に入るところで長く間を取るのはちょっとやり過ぎ。後半で MTT はパウゼを取る部分が多くなるのですが、いくつかやり過ぎと思えるところがあります。それを受け入れられるかどうかが評価の分かれ目となりそうです。</p>

<p>　最後の神秘の合唱はとても粘りの効いた演奏。調の進行による緊張と緩和に合わせ巧くテンポを変化させています。そして、オルガンと合唱のみでもう一度 Alles Vergängliche と歌うところの直前、複縦線を跨ぐ部分でまた大きなパウゼ。しかしここは第 2 コーラスのソプラノとアルトだけが次の小節までスラーで導音を保持するという部分で、変ホ長調が消えふわっとその変ロ音だけ浮き上がったときは鳥肌が立ちました。そして次の小節で変イ長調が柔らかく立ち上がったところでまた鳥肌。普通ここはペザンテしながらそのまま次の小節へ繋げて入るので、このスラーが認識されることはほとんどないのです。マーラーが書いたこのスラーにこだわろうと思えば、いったん音を切るしかなく、中途半端にやると誰かが間違ったようにしか聴こえない部分。MTT が初めてやったという訳ではないですが、これだけ効果的に聴かせたのは初めてだと思います。その後充実したコーダを聴かせ、圧巻のうちに《千人の交響曲》は幕を閉じます。</p>

<p>　後回しにしていた交響曲第 10 番のアダージョですが、これはやはり第 8 番の後に聴いたほうが落ち着きます。協会版を使用しつつも、クック版を参考に独自の補強をしているように聞えます (クック版より控えめ)。録音は 2006 年 4 月 6 日〜8 日、第 5 番と《大地の歌》の間に録られたようです。</p>

<p>　演奏はとても深く潤いのあるものです。演奏時間 27'41" というのもそれを物語っています (シノーポリの 32'42" には敵いませんが)。オケの音色の透明度が高く、音域を広く使った弦楽器と狭い音域で動くトロンボーンのハーモニーとの対比が見事です。MTT はかなりテンポをいじっているのですが、その抑揚は自然で気がつかないくらいです。この曲は構造がとても判りにくいのですが、私の見立ては一応ソナタ形式で、冒頭のヴィオラ主題の後、嬰へ長調で第一主題、嬰ヘ短調でヴィオラ主題起源の第二主題、次のヴィオラ主題から提示部の繰り返し (大幅に展開され、第一主題と第二主題の間にクラスターの芽生えが生じる)、3 度目のヴィオラ主題から展開部 (提示部でも十分展開しているので、ここはエピソード風)。再現部がどこからかは難しいですが、クラスターの前に嬰ヘ長調になる 178 小節目として、第一主題の再現、その後クラスターおよび A の絶叫、そして第二主題の再現 (主調による) とコーダ。</p>

<p>　なぜわざわざ構造などを書いているかというと、構造を意識して聴くと、MTT の演奏を良く理解できると思うからです。提示部、その展開的繰り返し、展開部と、順を追って段階的に曲を動かし、雰囲気を変えているのが良くわかる。第一主題はより感情的に、第二主題はよりグロテスクに。そして再現部の入りの部分で大きなパウゼ。ここからが再現部ですよとはっきり示しているようです。逆に言うと、構造など知らなくて、何度も似たような主題が出てくる曲という認識でも、この演奏をじっくり聴けば、この曲の形と、なぜこの形になっているのかという理由が見えてくると思います。曲の構造とドラマ性を高い次元で統合したとても美しい演奏。それだけに形式を破壊して突然挿入されるクラスターと、堪えきれずに迸る A (アルマ) の絶叫が、とても悲痛なものに聴こえることでしょう。ただし裸になったヴァイオリンの A が、まったく聴こえない位小さく収録されてしまっているのがとても残念。普通に聴いていると「落ちた」と思えます。</p>

<p>　録音は、低域がすっきりしたいつものクリアなサウンドですが、合唱やオルガンの量感が足りないということはありません (第一部再現部前のオルゲルプンクトはもうちょっと欲しい気もしますが)。合唱は人数の割に遠めで絞って聴こえるので、合唱が全てを凌駕することもなし、独唱は逆に拾ってあるので、その辺で遠近感があります。全体的な雰囲気を大切にしながらも、必要な部分は確実に聴こえるようになっており、編集の自由度の低いらしい DSD 録音なのに、かなり頑張っていると思います。CD レイヤーで聴いていますが、栄光の聖母は下手の遥か上方から、バンダの金管は両脇から響いてくるように聴こえます。スケール感と解像度を兼ね備えた優秀な録音だと思います。</p>

<p>　MTT/SFS のマーラープロジェクトも、残るは歌曲集になりました。おお、それから Keeping Score でも出るんだった (第 5 番がメイン?)。まあしかしこれで一段落という感じです。彼のマーラーが最高の形で完成されたことを喜びたいと思いますし、MTT が現在最高のマーラー指揮者 (「のひとり」とはあえて書かない) であることはこれで証明されました。彼らはこの後もマーラー像を掘り下げるべく演奏し続けているわけで、新たな成果をまたいつか聴けるのを楽しみにしたいと思います。</p>

<p>HMV: <?php hmv_link( "http://www.hmv.co.jp/product/detail/3646426", "マーラー:交響曲第8番/ティルソン・トーマス＆SFS");?></p>]]>
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>MTT ネタ: PMF のテレビ放送と、Keeping Score CD 発売</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/diary/mtt_pmf_and_keeping_score_cd.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2009:/mt/trb_cla//4.312</id>

    <published>2009-10-31T01:49:56Z</published>
    <updated>2009-10-31T02:19:08Z</updated>

    <summary>PMF 2009 のテレビ放送です。

BS hi ハイビジョン ウィークエンド シアター
Pacific Music Festival 2009
11月8日(日) 01時40分00秒 〜 03時20分00秒　[1時間40分00秒]

1.マイケル・ティルソン・トーマス: シンフォニック・ブラスのためのストリートソング
2.マーラー: 交響曲 第5番 嬰ハ短調
マイケル・ティルソン・トーマス指揮 / PMFオーケストラ
[ 収録： 2009年7月25日, 札幌コンサートホールKitara大ホール ]

いわゆる土曜深夜なのでお間違いなきよう。って自分が間違えそう。

Keeping Score からは今までの分も含め、すべて CD 化されました。1 枚 $9.99 安っ！
http://www.shopsfsymphony.org/shop/home.php?cat=83

Berlioz Symphonie fantastique (SFS 0033) 
Ives Holidays Symphony and Copland Appalachian Spring (SFS 0034) 
Shostakovich Symphony No. 5 (SFS 0035) 
Beethoven Symphony No. 3 Eroica (SFS 0031) 
Stravinsky The Rite of Spring and selections from The Firebird Suite (SFS 0032) 
Tchaikovsky Symphony No. 4 (SFS 0030) 

iTunes でも販売しています。1 アルバム 1,200 円。ダウンロードだと、Amazon.com に行ったほうが安いです ($7.99)。国内販売はいくらになるでしょうか。 

ドキュメンタリー編は PBS で配信されています。
http://video.pbs.org/program/1295137935/
アイヴスがとても面白かった。モノラルですが、画質はまずまずです。  </summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="diary" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p>PMF 2009 のテレビ放送です。</p>

<p>BS hi ハイビジョン ウィークエンド シアター<br />
Pacific Music Festival 2009<br />
11月8日(日) 01時40分00秒 〜 03時20分00秒　[1時間40分00秒]</p>

<p>1.マイケル・ティルソン・トーマス: シンフォニック・ブラスのためのストリートソング<br />
2.マーラー: 交響曲 第5番 嬰ハ短調<br />
マイケル・ティルソン・トーマス指揮 / PMFオーケストラ<br />
[ 収録： 2009年7月25日, 札幌コンサートホールKitara大ホール ]</p>

<p>いわゆる土曜深夜なのでお間違いなきよう。って自分が間違えそう。</p>

<p>Keeping Score からは今までの分も含め、すべて CD 化されました。1 枚 $9.99 安っ！<br />
<a href="http://www.shopsfsymphony.org/shop/home.php?cat=83">http://www.shopsfsymphony.org/shop/home.php?cat=83</a></p>

<p>Berlioz Symphonie fantastique (SFS 0033) <br />
Ives Holidays Symphony and Copland Appalachian Spring (SFS 0034) <br />
Shostakovich Symphony No. 5 (SFS 0035) <br />
Beethoven Symphony No. 3 Eroica (SFS 0031) <br />
Stravinsky The Rite of Spring and selections from The Firebird Suite (SFS 0032) <br />
Tchaikovsky Symphony No. 4 (SFS 0030) </p>

<p>iTunes でも販売しています。1 アルバム 1,200 円。ダウンロードだと、Amazon.com に行ったほうが安いです ($7.99)。国内販売はいくらになるでしょうか。 </p>

<p>ドキュメンタリー編は PBS で配信されています。<br />
<a href="http://video.pbs.org/program/1295137935/">http://video.pbs.org/program/1295137935/</a><br />
アイヴスがとても面白かった。モノラルですが、画質はまずまずです。  </p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>KEEPING SCORE season II プレオーダー開始</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/diary/keeping_score_season_ii.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2009:/mt/trb_cla//4.311</id>

    <published>2009-09-29T01:09:39Z</published>
    <updated>2009-09-29T01:41:53Z</updated>

    <summary>
マイケル・ティルソン・トーマス、サンフランシスコ交響楽団のプロジェクト KEEPING SCORE season II が間もなく始まります。内容は、ベルリオーズ:幻想交響曲、アイヴス:ホリデーズ・シンフォニー、ショスタコーヴィチ:交響曲第 5 番の 3 本。そして DVD &amp; Blu-ray のプレオーダーが来ました。 
http://www.shopsfsymphony.org/shop/home.php?cat=42

DVD が $24.99, Blu-ray が $34.99 です。Blu-ray だと視聴環境が限られちゃうのですが、もう SD 画質では満足できないので、迷わず Blu-ray 3 枚注文しました。 Blu-ray だと音声だけリッピングしてどうこうすることも出来ないのが悩ましいですが。

MTT/SFS 好きのこちらのサイトの管理人と「日本で売るには日本語字幕がないと厳しいよね」と話をしていたら、もう既に SFS Media に日本語字幕の件をお願いしてあるとのこと。しかしあちらの方は、韓国人や中国人が英語大丈夫なのに、どうして日本人だけ字幕が無いと駄目なのかが理解出来なかったということです。でも、ひょっとすると日本語字幕を付けてくれているかもしれません。日本では冷遇されている MTT/SFS のためにも、是非とも日本語字幕付いていてくれ～と願っています (字幕がないと、いわゆる「評論家」が雑誌で取り上げてくれないし、お店も積極的に売ってくれない)。せめて国内版には対訳の冊子封入でも良いから入れて欲しい。なんならオレが作っても良い...というほどの勢いはあります。

まあ英語の読み書きが出来ない日本人というのが、国際的にみてダメダメなんですがね。

MTT のマーラー 8 番、良かったです。あれほどフレキシブルな表現はなかなか他では聴けません。レビューを書きたいのですが、時間がとれなくて...。</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="diary" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p><img alt="ks2_berlioz_thumb.jpg" src="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/pict/ks2_berlioz_thumb.jpg" width="125" height="177" class="cd-img" style="" /><br />
マイケル・ティルソン・トーマス、サンフランシスコ交響楽団のプロジェクト KEEPING SCORE season II が間もなく始まります。内容は、ベルリオーズ:幻想交響曲、アイヴス:ホリデーズ・シンフォニー、ショスタコーヴィチ:交響曲第 5 番の 3 本。そして DVD & Blu-ray のプレオーダーが来ました。 <br><br />
<a href="http://www.shopsfsymphony.org/shop/home.php?cat=42">http://www.shopsfsymphony.org/shop/home.php?cat=42</a><br><br />
<br><br />
DVD が $24.99, Blu-ray が $34.99 です。Blu-ray だと視聴環境が限られちゃうのですが、もう SD 画質では満足できないので、迷わず Blu-ray 3 枚注文しました。 Blu-ray だと音声だけリッピングしてどうこうすることも出来ないのが悩ましいですが。<br><br />
<br><br />
MTT/SFS 好きの<a href="http://www.sfs.ushiog.com/">こちらのサイト</a>の管理人と「日本で売るには日本語字幕がないと厳しいよね」と話をしていたら、もう既に SFS Media に日本語字幕の件をお願いしてあるとのこと。しかしあちらの方は、韓国人や中国人が英語大丈夫なのに、どうして日本人だけ字幕が無いと駄目なのかが理解出来なかったということです。でも、ひょっとすると日本語字幕を付けてくれているかもしれません。日本では冷遇されている MTT/SFS のためにも、是非とも日本語字幕付いていてくれ～と願っています (字幕がないと、いわゆる「評論家」が雑誌で取り上げてくれないし、お店も積極的に売ってくれない)。せめて国内版には対訳の冊子封入でも良いから入れて欲しい。なんならオレが作っても良い...というほどの勢いはあります。<br><br />
<br><br />
まあ英語の読み書きが出来ない日本人というのが、国際的にみてダメダメなんですがね。<br><br />
<br><br />
MTT のマーラー 8 番、良かったです。あれほどフレキシブルな表現はなかなか他では聴けません。レビューを書きたいのですが、時間がとれなくて...。</p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>ティルソン・トーマス／SFS のマーラー 8 番まもなく発売</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/diary/mtt_sfs_mahler8_itunes.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2009:/mt/trb_cla//4.310</id>

    <published>2009-08-15T15:03:20Z</published>
    <updated>2009-08-16T09:11:03Z</updated>

    <summary>待ちに待ったマイケル・ティルソン・トーマス (MTT)／サンフランシスコ交響楽団 (SFS) のマーラー交響曲第 8 番が間もなく発売されます。KDFC でウェブキャストされたものを録音して度々聴いておりましたが、これは間違いなくもの凄いことになろうと期待させる演奏でした。

SFS Store ではプレオーダー分がもう発送済みの模様。私も早々にオーダーしたのでそろそろうちにも届くだろうと首を長くしております。国内一般発売は 8/31 日頃のようですが、いつものごとく遅れる可能性あり。MHV と @TOWER.JP では発売中になっていますが、お取り寄せの状態になっています。

iTunes Store ではもう購入出来ます。30秒ずつ試聴も可能。iTunes Plus で提供されているので 256kbps AAC でしょう。ポチってしまいそうなのをこらえています。しかしトラック単位で買う意味はないのに、どうしてこういう売り方になるのでしょう。

Michael Tilson Thomas/SFS, Mahler: Symphony No. 8
←iTunes はこちらから


A Universe of Sound: Recording Mahler&apos;s Symphony No. 8
メイキング映像
  Find more videos like this on San Francisco Symphony Social Network</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="diary" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="サンフランシスコ響" label="サンフランシスコ響" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ティルソン・トーマス" label="ティルソン・トーマス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="マーラー" label="マーラー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p>待ちに待ったマイケル・ティルソン・トーマス (MTT)／サンフランシスコ交響楽団 (SFS) のマーラー交響曲第 8 番が間もなく発売されます。KDFC でウェブキャストされたものを録音して度々聴いておりましたが、これは間違いなくもの凄いことになろうと期待させる演奏でした。</p>

<p>SFS Store ではプレオーダー分がもう発送済みの模様。私も早々にオーダーしたのでそろそろうちにも届くだろうと首を長くしております。国内一般発売は 8/31 日頃のようですが、いつものごとく遅れる可能性あり。MHV と @TOWER.JP では発売中になっていますが、お取り寄せの状態になっています。</p>

<p>iTunes Store ではもう購入出来ます。30秒ずつ試聴も可能。iTunes Plus で提供されているので 256kbps AAC でしょう。ポチってしまいそうなのをこらえています。しかしトラック単位で買う意味はないのに、どうしてこういう売り方になるのでしょう。</p>

<p><a href="http://click.linksynergy.com/fs-bin/click?id=k7GHeezo9Go&offerid=94348.781666136&type=10&subid=">Michael Tilson Thomas/SFS, Mahler: Symphony No. 8<br />
</a><img alt="icon" width="1" height="1" src="http://ad.linksynergy.com/fs-bin/show?id=k7GHeezo9Go&bids=94348.781666136&type=10&subid=">←iTunes はこちらから<br />
<br /><br />
<br /><br />
A Universe of Sound: Recording Mahler's Symphony No. 8<br /><br />
メイキング映像<br /><br />
<embed wmode="opaque" src="http://static.ning.com/socialnetworkmain/widgets/video/flvplayer/flvplayer.swf?v=4.9.2%3A25489" FlashVars="config=http%3A%2F%2Fcommunity.sfsymphony.org%2Fvideo%2Fvideo%2FshowPlayerConfig%3Fid%3D2395445%253AVideo%253A9585%26ck%3D-&amp;video_smoothing=on&amp;autoplay=off&amp;isEmbedCode=1" width="456" height="260" bgColor="#DFE7EA" scale="noscale" allowScriptAccess="always" allowFullScreen="true" type="application/x-shockwave-flash" pluginspage="http://www.macromedia.com/go/getflashplayer"> </embed> <br /><small><a href="http://community.sfsymphony.org/video/video">Find more videos like this on <em>San Francisco Symphony Social Network</em></a></small><br /></p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>ティルソン・トーマス／PMFO のマーラー 5 番を聴きました</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/diary/mtt_pmf_2009.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2009:/mt/trb_cla//4.309</id>

    <published>2009-08-03T13:49:48Z</published>
    <updated>2009-08-04T01:34:54Z</updated>

    <summary>今更の記事ですが、5/29 日、サントリーホールへティルソン・トーマス (MTT) ／PMF オーケストラの東京公演を聴きに行ってきました。

PMF とは何かとか、PMF と MTT との関わりはとかの基本情報はすっ飛ばして、サクッと当日の感想を書きたいと思います。</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="diary" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ティルソン・トーマス" label="ティルソン・トーマス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="マーラー" label="マーラー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p>今更の記事ですが、5/29 日、サントリーホールへティルソン・トーマス (MTT) ／PMF オーケストラの東京公演を聴きに行ってきました。</p>

<p>PMF とは何かとか、PMF と MTT との関わりはとかの基本情報はすっ飛ばして、サクッと当日の感想を書きたいと思います。</p>]]>
        <![CDATA[<p>　まず最初のプログラムは MTT 自作のシンフォニック・ブラスのための《ストリート・ソング》。これはエンパイア・ブラスのために作曲した金管 5 重奏曲を、12 金管楽器 (4+3+3+1+コルネット 1) に書き直した曲です。最近 MTT は良くこの曲を取り上げており、SFS や CSO でも演奏していました。コープランド風の和声が聴こえるコラールが特徴的で、トワイライトな雰囲気が支配的なライトな曲想。しかし技術的にはかなり難しいと思う。</p>

<p>　PMFO はバランスの良いなかなか見事な演奏をしておりました。ブリッジ的な部分も綺麗に繋がっており、きわどい和声も見事に合わせていました。シカゴ響ですらうなりが出ていたというのに。私は P 席 (ステージ後ろのトロンボーンの後方) にいたので、MTT のキューもよく判り、作品の勘所への理解も深まり、ちゃんと PMFO の金管奏者はそれに応えているのが手に取るように判りました。まあ、あの席では間接音を聴く訳で、若干あまい評価になっているのかもしれませんが。まあ、あれだけ見事に楽器を吹けると楽しいんだろうなぁといういうのが、率直な感想です。</p>

<p>　さて、メインのマーラーの第 5 交響曲ですが、SFS と同じくヴァイオリン対向配置です。オケは 18 型。圧巻。ホルンの後方には、これまた SFS と同じく透明な板が (反射板? 金管同士の干渉を避ける?)。今はこういうのを使うのが一般的なのでしょうか。それとも MTT の指示でわざわざ入れた？</p>

<p>　まずしょっぱなのトランペット・ソロからなめらかで見事。札幌公演や大阪公演の評判を知っていましたが、噂に違わぬ名手でした。ホルンのトップも凄すぎる。大きく音を外した場面もありましたが、そんな傷を凌駕するほどの演奏能力を示してあまりあるパフォーマンスを披露してくれました。ホルンついでに書いておくと、第 3 楽章にあるホルン 4 本が一人づつ畳み掛けるように吹く F も、音質音量吹き方ともにパーフェクトで、これだけ揃った演奏は初めて聴きました。</p>

<p>　MTT も即席オケだから学生オケだからといった遠慮は無しで、自分のマーラーをあくまでも真剣にぶつけてきます。手兵の SFS でも、首席奏者を呼び出し個別のリハーサルをする MTT です、PMF でもきっと同様なレッスンを行って、自分の音楽を徹底的に求めたのではないでしょうか。短い練習期間だったでしょうが、彼の事ですからきっと妥協のない密度の濃いレッスンを行ったことと想像します。今年の参加者は良い経験が出来たのではないかと思います。</p>

<p>　演奏内容からもその想像が裏付けられます。MTT のマーラーはかなり細かいところまで練り込まれていて、相当練習しないとついて行けなさそうに思えるのですが、オケはちゃんと反応し付いて行っているのです。しっかりと MTT のマーラーになっていましたし、そもそもこれほど充実した演奏は、プロオケからでも滅多に聴かれないだろうと確信できました。付いていくオケも凄いですが、MTT もとにかく手を抜かないんだなと、呆れるほど感心しました。</p>

<p>　金管は P 席で聴いていてさえ鳴らしすぎの感はありましたが、豪快で良いです。この点はエレガントな SFS との大きな違いか。木管はそもそも見せ場が少なく可哀想ではありました。弦は私の席へはかなり良く音が届いており、また弦楽アンサンブルの見せ場には MTT と奏者が綿密なコンタクトを取り合って、細かなアゴーギクを丁寧に処理しておりました。ヴァイオリンなど、とてもまとまった音がしており、奏者の頭上に音像が結実することもしばしば。よくぞここまでと思いました。</p>

<p>　しかし第 3 楽章を聴いていてふと思ったのですが、全体的なまとまりは MTT が作り出していたもので、指揮者が熱中して振っていれば問題がないのですが (って MTT はバーンスタインのような情熱的な指揮はせず、あくまでも丹念にキューを出しているという風情なのですが)、オケに曲を預けたような部分で、途端に演奏が機械的に聴こえたように思えた部分もあり。こういう時は本来ならコンマスの存在感で曲が進むんでしょうが、それがうまく機能しない点が PMFO の限界点なんだなと思えたわけです。コンマスは自分のパートを弾くのに一生懸命で、せいぜい第一ヴァイオリンをまとめるのが精一杯。第二の指揮者としての役割は担えてないように見受けられました。私は第 4 楽章でハープの音程が低いのが気になったとき、こういうことをぼんやり考え始め、第 5 楽章では、はっきりと醒めた頭で、確かめておりました。まあこれはアンサンブルがどうのとかの次元を超えた話で、オケが歳月をかけて培うものです。逆に言うとそこまでのレベルにまでこの短期間でオケが仕上がったという凄さと、指導者によって演奏内容が大きく左右されてしまいそうな危うさが同居しているということ、つまりこのクラスの奏者を集めても指導者の善し悪しで全てが決まってしまうということを意味するのでしょう。</p>

<p>　ちょっとした隙間は見えてしまいましたが、やっぱり MTT は凄かった。現在最高のマーラー指揮者であり、かつ指導者でした。家に帰ってから SFS との CD を聴き返しましたが、完成度こそ SFS に適わないものの、そこに求めているものはまったく一緒でした。最高のものを要求し、そして実際に引き出してしまう。ともかく一期一会の良い演奏が聴けました。</p>

<p>　演奏終了後、演奏者が互いに抱き合い健闘を称えあっている姿が印象的でした。聴いている方は出来て当たり前という風にとらえてしまいますが、演奏する方はどんなに優しいパッセージでも常に失敗と紙一重の中、闘っている訳です。その緊張感からの解放と達成感が痛いほど伝わって来ました。そして演奏者がステージから消えた後も拍手は止まらず、既に着替えてしまっている MTT を再び舞台に呼び出しました。その暖かい拍手は「今度は SFS と来て〜」という嘆願だったと私はとらえています。MTT/SFS は日本のクラシック界のメインストリームからはあまり相手にされてないように思えますが、今回の MTT の来日を機に、彼らの活動が正しく認識され評価されることを願ってやみません。</p>

<p>　</p>]]>
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>《かかし王子》新版の状況とカットの行方</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/bartok/bartok_wooden_prince_new_ed.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2009:/mt/trb_cla//4.308</id>

    <published>2009-07-07T02:25:18Z</published>
    <updated>2009-08-04T02:05:01Z</updated>

    <summary>ペーテル・バルトークさんに出版が予定されている《かかし王子》新版の進捗状況を伺ってみました。現在組曲版の浄書作業中とのことで、今年中には出来上らせたいとの意向。その頃には全曲版も印刷準備に入れるのではないかということでした。

気になるカットの問題は続きをどうぞ</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="Bartok" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="かかし王子" label="かかし王子" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="バルトーク" label="バルトーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p>ペーテル・バルトークさんに出版が予定されている《かかし王子》新版の進捗状況を伺ってみました。現在組曲版の浄書作業中とのことで、今年中には出来上らせたいとの意向。その頃には全曲版も印刷準備に入れるのではないかということでした。</p>]]>
        <![CDATA[<p>気になるカットの問題ですが、結論をもうしますと、全てカットされた状態になるようです。現在の全曲版スコアには 44 箇所のカット指示 (画像の [VI-] [-DE] の箇所、この間をカットする。繋ぎ目に不具合がある場合は、この箇所の場合左のページのようにどのように繋ぐかという指示が付記されている) があるのですが、これらのカットが全て実行される訳です。</p>

<p>《中国の不思議な役人》では、30 小節あまりのカットが「一時的なものだった」として復活しましたが、《かかし王子》の場合、1932 年に行われた改訂作業によるカットの指示は、作曲者が望んだものということのようで、出版社に対しても今後は要約版を用いることと、この要約は「改良に等しい」という風に言っていたようです。但し出版社は、いくつかの演奏譜にハサミやペンを使ってカットを入れるという対応をし、1977 年になってようやくカットの指示を付け加えたとても見にくい「ハイブリッド版」を出版しました。作曲者の最終的な意思を尊重するペーテルさんらの作業ですので、要約版を作成するのは当然の成り行きか。</p>

<p>作曲者の手による《かかし王子》の組曲 (ペーテルさんの言うには、同じく 1932 年に編纂されたというが他の資料と食い違う) がカットされた状態で組まれているということが、どうも引っかかっていたので、全曲版もカットされた状態が最終的なものという結論は、とても辻褄があっていて納得せざるを得ないですね。しかし慣れ親しんだ全長版が短くされるというのはとても心が痛い話で、ペーテルさんにも「作曲者の意向とはいえ、残念です」と伝えてしまいました。カットありの全曲版というとフンガロトンのコロディー盤があるのですが、やはり物足りない気がします。</p>

<p>組曲版は初出版になるので、ペーテルさんらも何度か演奏実績を積んでいるようです。そのことにより、クラリネットの持ち替えに必要な時間が取れなくなっているとか、カットの前後で旋律がオクターブずれているとか、ホルンの 1, 2 番が吹いていたのに 3, 4 番に繋がっていたとか、カットに伴う問題点を洗い出せたとおっしゃっていました。</p>

<p>今後全長版がどうなるのかは判りませんが (ペーテルさんにも伺っていない)、《役人》の旧版が完全に葬り去られたのと同じようなことにはならないのではないかと思っています。ユニバーサルの出版番号が与えられているものの、Bartók Records よりの出版のようですし、同じく《青ひげ公の城》はユニバーサルに注文すると普通に旧版がおくられてくるらしい。各国でのバルトークの著作権が切れ始めているために、出版社から独立して計画を進めているように思います。出版社が演奏譜を破棄しない限り、どちらも演奏可能という状態が続くのではないでしょうか。</p>

<p>(8/4 追記)<br />
その後ペーテルさんから詳細なメールが届きました。その趣旨は「父が要約版を作ろうとしたその根本的な考えに従うような、演奏可能なスコアを作りたいと考えた。もしカットされてない状態のスコアが見たいという人がいるなら、初版や Dille 版 (現在のスコア) を参照出来る。ところで、カットされた部分はたいていは繰り返しの部分である。私は音楽にある特徴的なフレーズまで父がカットしたとは思っていない」というものでした。やはり旧版はなくならないと思えます。しかし今後要約版の演奏も増えることでしょう。ペーテルさんには、ウェル・メイクな選択肢が増える事は良い事だと伝えておきました。<br />
</p>]]>
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>バルトーク：《中国の不思議な役人》 聴き比べ</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/bartok/bartok_mandarin.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2009:/mt/trb_cla//4.307</id>

    <published>2009-06-13T04:43:18Z</published>
    <updated>2010-11-14T11:10:09Z</updated>

    <summary>

バルトーク：
《中国の不思議な役人》聴き比べ

ドラティ、ブーレーズ、ドホナーニ、シュワルツ、ヤルヴィ、デュトワ、スラトキン、小沢、ナガノ、シャイー、オールソップ、ラトル、ショルティなど</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="02_CD" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="Bartok" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="オールソップ" label="オールソップ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="シャイー" label="シャイー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="シュワルツ" label="シュワルツ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ショルティ" label="ショルティ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="スラトキン" label="スラトキン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="デュトワ" label="デュトワ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ドホナーニ" label="ドホナーニ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ドラティ" label="ドラティ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ナガノ" label="ナガノ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="バルトーク" label="バルトーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ブーレーズ" label="ブーレーズ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ヤルヴィ" label="ヤルヴィ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ラトル" label="ラトル" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="中国の不思議な役人" label="中国の不思議な役人" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="小沢" label="小沢" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/solti_mandarin.jpg" WIDTH=119 HEIGHT=119><br />
<div class="cd-title"><br />
バルトーク：<br /><br />
《中国の不思議な役人》聴き比べ</div><br />
<p class="cd-performer"><br />
ドラティ、ブーレーズ、ドホナーニ、シュワルツ、ヤルヴィ、デュトワ、スラトキン、小沢、ナガノ、シャイー、オールソップ、ラトル、ショルティなど</p></p>]]>
        <![CDATA[<p>　なかなか決定打を見つけるのが難しい《中国の不思議な役人》。ショルティ盤が私の鉄板なんですが、残念なことにこれは組曲版。全曲版でこれに匹敵する完成度のものを見つけるのは、とても難しい。今回久しぶりに、手持ちの全 CD を引っ張りだし聴き比べています。新たな発見もありました。どの演奏がベストかで悩むより、その違いを楽しんで下さい。</p>

<p>なお、記事はまだ書きかけです。画像も追々載せていきます。</p>

<hr>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_dorati_bbc.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>アンタル・ドラティ指揮<br />
BBC 交響楽団・合唱団<br />
1964 年 7 月 8, 9 日、ワトフォード・タウンホール [Mercury] (28'51")</b></p>

<p>ドラティらしいきびきびとした演奏が堪能出来る一枚。完成度は約20年後の新録の方が遥かに高いですが、無機質な新盤と違い、こちらは土臭さがあってハンガリーらしい風情がムンムン漂っています。演奏や録音に古さを感じますが、弱点とは思えません。誘惑の 2 本のクラリネットの音質がかなり違っていたり、トロンボーンの掛け合いも明らかに 2 本の別の楽器に聴こえるなど、例えばひとりの人物の二面性など、新しい解釈を持ち込まねばならないと感じるほど。録音も 3 トラックテープでの記録らしいですが、それにしては良く録れています。追いかけっこの部分など、普段あまり聴こえない楽器が聴こえ、なかなか面白い。合唱だけがほとんど聴こえてこないのが残念。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_boulez_cbs.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>ピエール・ブーレーズ指揮<br />
ニューヨーク・フィルハーモニー、スコラ・カントルム<br />
1971 年 5 月 11 日、エブリー・フッシャー・ホール、ニューヨーク [CBS] (31'02")</b></p>

<p>今のブーレーズからはあまり聴かれなくなったラジカルな演奏を堪能出来る一枚。しかしこの過激さは今聴くと多少古っぽく感じられます。ブーレーズはまあ割と冷徹に曲を進めて行っているように思えますが、オケはかなりプレッシャーをかけられているようで、その緊迫感はありありと音に現れており、張りつめた空気は曲にプラスに働いているようです。オケの技術が追いつく限りスコアを忠実に再現しようとしているところも好感が持てますが、あまり何度も聴きたいと思わないも確か。良い意味でも悪い意味でも「きつい」演奏で疲れます。録音ももともと 4 チャンネル録音だったためか、ミキシングが不自然に思えます。冒頭のアルペジオは 2nd Vn. だけとは思えない音場ですし、続くトロンボーンのクラクションも 2 本で吹いているみたいに聴こえます。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_dohnanyi.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮<br />
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・シュターツオパー合唱団<br />
1977 年 12 月、ソフィエンザール、ウィーン [Decca] (31'40")</b></p>

<p>ドホナーニの、そしてウィーン・フィルの《役人》として価値ある一枚。ドホナーニの祖父といえば、この曲の組曲版の初演も行ったエルネ・ドホナーニですが、ひょっとすると祖父からレクチャーを受けたかもしれないものの、クリストフはあくまでもドイツ人指揮者、オケもウィーンなので、これがバルトーク演奏の血統を受け継ぐものとは考えない方が良いでしょう。それよりドホナーニという名将を得てこそウィーン・フィルが挑戦しえたバルトークという風情。あまり機動的、機能的とは言えないウィーン・フィルですが、それでも水準以上の演奏を引き出し、束ねているドホナーニはやはり凄い。色彩感あるくすんだ音色は魅力的ですし、録音のせいか普段あまり聴こえないピアノやオルガンが良く聴こえるのも、よそとは違うという感じ。誘惑のクラリネットがいまいち吹っ切れてない吹き方で埋没していたり、居心地の悪さがそこかしこに聴こえるのは確かですが、雰囲気のある個性的な演奏で、マストアイテムとは言えないもののこの値段なら持っていても損は無い 1 枚です。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/abbado_mandarin.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>クラウディオ・アバド<br />
ロンドン交響楽団、アンブロシアン・シンガーズ<br />
1982 年 10 月、ロンドン・キングズウェイ・ホール [DG]</b></p>

<p><a href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/02_cd/abbado_mandarin.php">バルトーク：《中国の不思議な役人》他／プロコフィエフ：スキタイ組曲／アバド [DG]</a><br />
<div style="clear:both";></div></p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_dorati_decca.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>アンタル・ドラティ指揮<br />
デトロイト交響楽団、ケネス・ジュウェル・コラール<br />
1983 年 11 月、ユナイテッド・アーティスツ・オーディトリウム、デトロイト [Decca] (31'59")</b></p>

<p>この曲の代名詞と言えるほどの有名盤。演奏も録音も完璧。もちろんアンサンブルの乱れとかはありますが、完成度の高さは《役人》の数多くの録音の中でもダントツ。しかし私個人的な趣味では、この演奏はあまり好みではありません。鋼と筋肉で出来たようなサウンドは無機質的で、もっと贅肉が欲しい。あまりにもオカルト・ホラーな雰囲気が先にたち、人間味が聴きたくなる。デジタル録音初期のあまりにも明瞭な録音が原因のひとつかもしれません。それまでの舞台作品 2 作と同様な、倒錯的な愛の物語という視点は、この演奏から最も遠いところへ追いやられてしまったように聴こえます。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_schwarz.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>ジェラルド・シュワルツ指揮<br />
シアトル交響楽団・合唱団<br />
1988 年 12 月 1 日、シアトル・オペラハウス [Delos] (30'30")</b></p>

<p>聴いてまずびっくりするのは、ヴァイオリン対向配置を採っていること。《役人》でこのセッティングは初めて聴きました。 しかしマーラーのようにこれが効果的かというと、それほどでもないという感じ。しかし両側から聴こえるヴァイオリンは立体感があると思います。冒頭のトロンボーンのクラクションがもっさりした印象だったので、ハズレかと一瞬思わせますが、どうやら mf というのを尊重した結果のよう。徐々にクレシェンドしてきい、カメラが被写体に寄って行くような効果があります。全体としては重量感がありかつエッヂの立った演奏で、スケールが大きいです。役人との追いかけっこのシーンは、まず開始を告げるトロンボーンの掛け合いが重みのある良い発音で気分を盛り上げ、続く 4 ビートが、3/2 拍子が入る部分や裏拍にアクセントが来たりと変化があって、かなり存在感がありカッコ良い。木撥で叩く大太鼓も聞こえ、リズムが背後から凄いプレッシャーをかけて来ます。知っている演奏の中で、最もバーバリズム感が強いと思います。シュワルツの音楽はオカルトチックというより演劇的で、展開が判りやすく、色彩感は《かかし王子》のようです。つまりギスギスしてなくて、ちょっと怖いおとぎ話風。現代的というより古典的に聴こえます。但し句読点のあまり無い演奏なので、その辺は物足りない部分も無きにしもあらず。録音は分離がいまいちでごった煮状態ですが、量感はすばらしい。エネルギッシュな《役人》を聴きたいときには、まずこの CD を選択します。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_jarvi.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>ネーメ・ヤルヴィ指揮<br />
フィルハーモニア管弦楽団 (ザ・フィルハーモニア)、ロンドン・ヴォイシス<br />
1990 年 10 月 17, 18 日、オール・セインツ・チャーチ、ロンドン [Chandos] (34'22")</b></p>

<p>ご多分に漏れず、ヤルヴィの演奏は重い。冒頭もバルトークの設計では Allegro 120, poco allarg., 106, Meno mosso 100 と段々と遅くなり、頂点直前で accel. し、頂点で再び Tempo I 120 となるのですが、ヤルヴィは重く始まり、段々と頂点に向って accel. するというご都合解釈。まあそういうねじ曲げが行われていることを承知の上で聴けば、なかなかダイナミックで面白い。特におどろおどろしい雰囲気はこの演奏がピカイチかもしれません。こんなに遅い演奏で良く破綻しないなぁと感心しますが、フィルハーモニアのねちっこい音と相性が良いです。ただ遅いだけでなく、テンポの振幅が激しい訳で、追いかけっこはもの凄い早さで進んで行きますが、どちらかというと流れてしまっている感じで、疾走感みたいなのは出て来ていません。その前のトロンボーンの掛け合いも、2nd が調子悪く、音量も音程も発音もいまいちで、かわいそうでした。後半もねちっこい演奏で、再び持ち味が十二分に出ています。最大の見せ場の追補劇がしっかりしていれば、かなり凄い演奏になったのかもしれませんが、まあそれでもキワモノ演奏と紙一重とも言えます。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_dutoit.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>シャルル・デュトワ指揮<br />
モントリオール交響楽団・合唱団<br />
1991 年 5 月、10 月、セイント・ウスタシュ、モントリオール [Decca] (29'44")</b></p>

<p>デュトワ&モントリオール・サウンドで聴くバルトーク。しかし彼らの持ち味だったクリスタル・ガラスのような透明感は後退し、薄らと磨りガラス風。演奏も、今までの良くも悪くも蒸留水的なものから脱し、表現に意欲を見せているように聴こえますが、でもコクや味があるというところまでは行っていない。モントリオールは頑張っていますが、曲作りは淡白。節回しにハンガリー風な味付けをしていないのも一因と思いますし、あまりルバートも積極的に行っていないのも一因と思います。合唱が入ってくる部分など、ほんとにサッと通り過ぎてしまう。しかし彼のストラヴィンスキーがそうであったように、複雑な作品を鮮やかに描ききる技術はここでも強烈で、かなり聴き応えのある演奏であることは間違いありません。淡白な旋律線という唯一にして最大の弱点さえ克服出来れば、レファレンスとして活用出来るほどの演奏だと思うのです。枕で窒息させられた後に役人が顔を上げるシーンで、指揮者がキューを出し間違えたのか 2 小節ほどオケが崩壊寸前にまで混乱するという事故が聴けますが、このテイクがそのまま採用になったのも彼らのレベルでは珍しいのではないかと思います。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_slatkin.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>レナード・スラトキン指揮<br />
セントルイス交響楽団<br />
1992 年 3 月 30 日、1993 年 2 月 6 日、パウエル・シンフォニー・ホール、セントルイス [RCA] (31'11")</b></p>

<p>かなり引き締まった演奏で好感が持てますが、スラトキンの CD はどれもそうであるように、録音でかなり損をしています。特性的にはフラットでワイドなウェルバランスで、ステレオ音場も広い分布をみせますが、聴感上はナローで空気感も希薄に聴こえます。Hi-Fi な装置で聴くと良いのかも知れませんが。オカルト色の濃い演奏に思えます。オケも健闘しており不満な点は少ないですが、追いかけっこの入りのトロンボーンがへなちょこ。さらに編集のミスなのか 1 小節多くなっているというおまけ付き。続く追いかけっこは、私が知っているものの中で最速！　弦楽器は崩壊寸前ですが何とか食らいついて行っています。スラトキンのあまりもの力技に脱帽。ここだけのためにも聴く価値はあるかも。いや本当は、そこ以外の出来が良いのですが。この演奏はもちろん旧版を使用している訳ですが、何カ所か旧版にあった間違いが直っています。第二の浮浪者登場の部分での大太鼓のアクセントとか、最後の方のソステヌートで金管が Cis でなく C を吹いていたり、その後、役人から血が流れ出し弱って行く部分の打楽器パターンが正しくなっていたり。スラトキンのアイディアで直した可能性もありますが、ひょっとして自筆譜を確認したのかもしれません。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_rattle.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>サー・サイモン・ラトル指揮<br />
バーミンガム市交響楽団・合唱団<br />
1993 年 4 月、シンフォニーホール、バーミンガム [EMI] (31'45")</b></p>

<p>天才肌というか、優等生的な演奏。オケもよくトレーニング出来ていて問題ないし、よくラトルの棒に従っています。ラトルも全てが良く解っており、ディティールは細部まで神経が行き届いていおり、それを包み込む雰囲気も悪くありません。塩こしょうが少々濃いめで、楽想を立てた演奏ですが、そもそもこれは演劇ですし、わざとらしさも感じないので、良い塩梅ではないかと思います。と、普通これだけのプラス要素があれば愛聴盤の地位を得られるでしょうが、実はそれほど良く聴く CD ではありません。なにが詰まらないのか良くわからないのですが、これだけ凄くてもどうもメリハリが足りないように聴こえてしまう。演奏者のこだわりも伝わってこない。録音は EMI にしては良く録れている方だと思いますが、色彩感に乏しく、これが原因なのか...。ちなみに、追いかけっこのトロンボーンの掛け合いですが、これは通常 2 本のトロンボーンで行うのですが、ミニチュア・スコアでは 1 カ所だけ 3 番トロンボーンが吹くように間違って指示されています。で、ラトルはこれを信じて実行しているのです。パート譜もわざわざ書き換えたに違いありません。これはこれでなかなかのこだわりです。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_ozawa.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>小沢征爾指揮<br />
ボストン交響楽団、タングルウッド祝祭合唱団<br />
1994 年 2 月、シンフォニー・ホール、ボストン [Philips] (31'19")</b></p>

<p>小沢はこの手の音楽はやはり巧い。規範的な演奏に思えます。録音は空間が狭く迫力にやや欠けるものですが、まあこれは室内劇ですし、そう考えれば作品の雰囲気に最も近いとも言えます。実際の舞台を彷彿とさせる演奏ではないでしょうか。丁寧な演奏で好感が持てますし、出すべきところはしっかり出しています。クラリネットによる誘惑にもうちょっと色っぽさが欲しい気もしますし、こじんまりとしていてつまらないと感じることもあるかもしれませんが、追いかけっこの部分もかなり気合いを感じますし、バランスの良い秀演と言えるでしょう。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_boulez_dg.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>ピエール・ブーレーズ指揮<br />
シカゴ交響楽団・合唱団<br />
1994 年 12 月、オーケストラ・ホール、シカゴ [DG] (31'31")</b></p>

<p>この作品は、どちらかと言うと指揮者よりオケの優劣に出来が左右されると思っていました。しかし、そうとも言えないと思わせたのがこの演奏でした。オケとしては申し分ないレベルですが、ブーレーズは旧盤と打って変わってまったく覇気がない。曲の静かな部分は悪くはないのですが、それ以外との落差が少なく、激しかろう部分も単に音圧が上がった程度にしか聴こえません。醒めた演奏というより寝ぼけた演奏。ブーレーズの解釈としては旧盤とは大差ないのかもしれませんが、もうちょっとオケを燃えさせないと。シカゴ響との一連の録音はどれも高い水準のものだっただけに、肝心な《役人》でこけたのは、大変残念です。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_ivanfischer.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>イヴァン・フィッシャー指揮<br />
ブダペスト祝祭管弦楽団<br />
1996 年 2 月、イタリアン・インスティテュート、ブダペスト [Philips] (31'14")</b></p>

<p>オケが新しいだけにお国ものの演奏という有り難みはあまり感じませんが、それだけ演奏も現代的で聴き劣りはしません。イヴァン・フィッシャーも中庸な演奏を手堅くまとめており、こちらも規範的な演奏と思います。演奏レベルはとても高いのですが、全体として機械的な演奏で、あまり面白くは聴こえない。パリの雑踏風の猥雑さや、ハンガリー民謡の素朴さ、それに中国風の五音音階などのモチーフから沸き立つべき、曲の魅力のひとつであるないまぜな雰囲気感が希薄で、その点がこの見事な演奏を支えてくれていない。近めのマイクセッティングで小奇麗に録ってある Philips の録音のせいではないかと思いますが、フィッシャーの他の演奏も似たようなものなので、彼の音作りの限界なのかもしれません。まあ稀にみる高水準の力演には違いないので、聴いて損は無いと思います。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_nagano.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>ケント・ナガノ指揮<br />
ロンドン交響楽団<br />
1997 年 2 月、4 月、ザ・コロセウム、ワトフォード [Erato] (30'39")</b></p>

<p>歯切れ良く、派手目のバランスでまとめた演奏。ナガノは腰のしっかりした堅牢な指揮をし、それにロンドン響の幾分雑とも言える賑やかな音響が乗っています。ナガノは結構作り込んだ解釈をしているようで、細かく表情を付けようとしているようですが、ロン響が大味なため、よく聴くと何かやっているというレベルに落ち着いています。まあナガノの思った通りが全て音になっていたら、かなりうざったくなっていたかもしれないので、落としどころとしてはちょうど良いかもしません。楽譜に無いクレッシェンドとかあったりしますが、効果的に聴こえます。問題は録音で、かなりゴリゴリした音で、広がり感や分離が悪く、音場もころころと変わる。97 年のデジタル録音とはちょっと思えません。Erato でなく mundi だったら、最高の 1 枚になっていたかもしれないのに。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_chailly.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>リッカルド・シャイー指揮<br />
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団・ロウレンスカントーリ合唱団<br />
1997 年 5 月 21-22 日、コンセルトヘボウ、アムステルダム [Decca] (31'36")</b></p>

<p>デッカ録音のコンセルトヘボウらしく、ぷりぷりとした音で、シャイーらしく剛毛な演奏ですが、《役人》にはマッチしています。それどころかかなりきめの細かい表現も聴かせてくれて、前半部分は面白く聴けます。しかしちょうど組曲版が終わったあたりから、それまでの作り込みはどうなったのか曲が単調に。後半は消化試合っぽくなってしまいました。役人が現れたところの短三度の下降グリッサンド、金管までも小節線に向かって激しくディミヌエンドしていくのはいかがなものか。あと追いかけっこの中で、銅鑼のバシュというアクセントが特徴的でした。オーケストラ・ピースとしては結構面白く聴かせてくれます。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_pesko.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>ゾルターン・ペスコ指揮<br />
フェニーチェ劇場管弦楽団・合唱団<br />
1998 年 7 月 2 日、ヴェネツィア [Mondo Musica] (32'50")</b></p>

<p>書くべきか迷ったのですが、持っているものは全部書く方針なので書きます。珍しい《役人》のライヴ録音。良く知らなかったんですが、フェニーチェ劇場はヴェネツィアの由緒正しい歌劇場。2 度火災で焼失しており、この録音当時も 2 年前の火災で劇場は使えなかったはず。指揮者のペスコは Arte nova に《弦チェレ》を録音してたりするので、バルトークは得意なのかも。会場ノイズというか舞台ノイズがかなり入っています。そして人工的なリバーブが強めの録音。20bit リマスターということでかなり奇麗にお化粧直ししてある感じです。お国柄か、音色は明るくていい感じ、個人の演奏能力も高いようですが、お国柄か、縦が全然揃わない(笑)。いや動き出せば大丈夫なのですが、休み明けや、曲想の変わり目で崩壊する。休みを数えたり、指揮者をちゃんと見たりが不得手なようです。セッション録音で、時間をそれなりにかければ、なかなか良い録音が出来るんじゃないかと思います。ちなみにカップリングの《かかし王子》は、《役人》ほど現代的なスコアじゃないせいか、もっと聴ける演奏をしています。</p>

<p><img class="cd-img" alt="robertson_bartok.jpg" src="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/robertson_bartok.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=122 /><b>デイヴィッド・ロバートソン指揮<br />
リヨン国立管弦楽団<br />
2001 年 10 月、オーディトリアム・ド・リヨン [harmonia mundi] (33'44")</b><br />
<a href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/02_cd/bartok_mandarin.php">バルトーク：中国の不思議な役人 (2000年完全版) [HM]</a><br />
<div style="clear:both";></div></p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_alsop.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>マリン・オールソップ指揮<br />
ボーンマス交響楽団・合唱団<br />
2004 年 7 月、コンサートホール、ライトハウス、プーレ(イギリス) [Naxos] (32'52")</b></p>

<p>これも 2000 年版による演奏。オールソップというと雑な演奏をするという印象があるのですが、この《役人》は丁寧に仕上げてあります。丁寧すぎてか、実際に音程が低いのか、若干フラット気味に聴こえなくもない。録音もナローな感じだなと思いましたが、ボリュームを上げめにすると立体感が出て来てかなりいい感じになります。しかしこの位置じゃ、うるさ過ぎる所もあり。テンポ感にはメリハリがありますが、少々慌てているように聴こえなくもないところがちらほら。追補劇も一本調子にならず、ブロックを意識した作りになっており、感心します。しかしフガートの最初のチェロ・バスがなぜか 2 分音符 1 拍分多くなっており、おそらく編集ミスではないかと思います。後半の聞き所はやはり随所に追加された 30 小節ということになりますが、なかなか手堅くまとめてはいるものの、もうちょっと奇麗にはまるんじゃないかと思える部分もあり。違和感無く聴けるというレベルまではあと一歩。最後、役人が弱っていき血が流れる部分で、2 度目の編集ミス。音が 1 拍分足りません。これが新版だと思われなければ良いのですが。しかしまあ新版 2 枚目の CD としてはまずまず満足出来る内容だと思います。</p>

<hr>

<p>組曲版<br />
<IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_joo.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>アルパド・ヨー指揮<br />
ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団<br />
1983 年頃 (P. 1984 以外の詳細不明) [SEFEL RECORDS] (18'07")</b></p>

<p>実は私がバルトークにはまる切っ掛けを作ったのが、ヨーの《オケコン》の CD でした。輝かしくシャープな切れ味の演奏で、それまで私が持っていたバルトークのイメージを一新してくれ、その面白みを伝えてくれました。この《役人》からも、その輝かしく切れ味の良い演奏が聴けます。この録音当時、ヨーは 35〜6 歳のはずで、若々しく溌剌とした演奏からも「期待の新星」然とした感じが伺えます。突っ走っている部分もあり結構危険な箇所も見受けられますが、それでもオケをコントロールしており、マイナスの印象は受けません。若々しい演奏、それが最大の魅力と思えます。カップリングの《コシュート》など、曲の弱点を感じさせない、今までの中で最高の演奏だと思います。録音も、やや人工的な感じはありますが、解像度が高く、明るく抜けの良い、音場感豊かな、オーディオファイル向けの録音と思います。SEFEL に行った一連の録音は他レーベルより復刻されていますが、肝心なバルトークがどこからも復刻されていません。早急な復刻を望みます。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/solti_mandarin.jpg" WIDTH=119 HEIGHT=119><b>サー・ゲオルグ・ショルティ指揮<br />
シカゴ交響楽団・合唱団<br />
1989 年 5 月〜 1990 年 2 月、オーケストラ・ホール、シカゴ [DECCA] (18'23")</b></p>

<p><a href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/02_cd/solti_mandarin.php">バルトーク：《中国の不思議な役人》他 ／ショルティ[Decca]</a><br />
<div style="clear:both";></div></p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/mandarin_adamfischer.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>アダム・フィッシャー指揮<br />
ハンガリー国立交響楽団<br />
1989 年 10 月 12-15 日、ハイドンザール、アイゼンシュタット、オーストリア [Brilliant] (21'32")</b></p>

<p>Nimbus 原盤。89 年録音にしては音が悪い。左右のバランスは左にかなり寄っていて、バランスつまみを右に持ってこないと落ち着いて聴けません。お風呂場録音のようなかぶりぎみな残響。伸びの足りない高音。しかし演奏は面白いです。かなり遅い演奏ですが、遅いというより粘りがあるという感じで、チェリビダッケがやるとこうなるかもという風情。弟のイヴァンと違い芸も細かく (わざとらしいですが)、この曲に対する思い入れをねちっこく音に変換しています。かなり独特な解釈で、特に追いかけっこの 2 拍子のリズムが始まるところで銅鑼がドシャーン・ドシャーン・ドシャーンとやけくそ ff の 3 連発。これにはぶっ飛びました。ローエングリンの決闘シーンみたい。その直前のトロンボーンの掛け合いも、1 本はストレートミュート、もう 1 本はカップミュートじゃないかと思えるほど音色が違っていて、ここまで違うなんてわざとじゃないかと思ってしまう。オケの実力は低くないと思いますので、良い録音でもう一度聴いてみたいです。</p>

<p><IMG class="cd-img" SRC="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/pict/salonen_mandarin.jpg" WIDTH=120 HEIGHT=120><b>エサ＝ペッカ・サロネン指揮<br />
ロスアンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団<br />
2006 年 1 月、ウォルト・ディズニー・コンサート・ホール, LA (ライヴ) [DG] </b><br />
<a href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/02_cd/salonen_mandarin.php">バルトーク:《中国の不思議な役人》、ストラヴィンスキー:《春の祭典》他 サロネン／ロス・フィル [DG]</a><br />
<div style="clear:both";></div></p>

<p><b>その他の《中国の不思議な役人》関係の記事</b></p>

<p><a href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/bartok/bartok_mandarin_ph550.php">バルトーク：《中国の不思議な役人》 新版と旧版の比較</a><br />
<a href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/04_sheetmusic/bartok_mandarin_manuscript.php">《中国の不思議な役人》旧版スコアのさらなる問題点</a></p>

<p><b>全音より組曲版のスコアを出しました！</b><br />
<a href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/bartok/mandarin_suite_score.php">全音版《中国の不思議な役人》組曲スコア</a></p>]]>
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>《青ひげ公の城》の英訳について</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/bartok/bluebeards_castle_english_translation.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2009:/mt/trb_cla//4.306</id>

    <published>2009-06-04T10:24:43Z</published>
    <updated>2009-06-04T15:05:36Z</updated>

    <summary>Bartók Records にあるコンテンツ「《青ひげ公の城》の英訳について」Bluebeard&apos;s Castle, English translation をペーテル・バルトーク氏の許可のもと、翻訳いたしました。 日本語圏の我々が英語訳詞に接する機会はほとんど無く、あまり意味の無いことかもしれませんが、詩人によるプロローグ(前口上) がいかに物語に重要なのか、今までのスコアの英訳はいかに杜撰だったのかを知る手がかりとなり、さらにゲルギエフの《青ひげ公の城》がこのペーテル訳のプロローグを使っているという事で、その意味を考える良い機会ではないかと思い翻訳しました。...</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="Bartok" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="バルトーク" label="バルトーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="青ひげ公の城" label="青ひげ公の城" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[Bartók Records にあるコンテンツ「《青ひげ公の城》の英訳について」<a href="http://www.bartokrecords.com/index.php?option=com_content&view=article&id=47&Itemid=53">Bluebeard's Castle, English translation</a> をペーテル・バルトーク氏の許可のもと、翻訳いたしました。
日本語圏の我々が英語訳詞に接する機会はほとんど無く、あまり意味の無いことかもしれませんが、詩人によるプロローグ(前口上) がいかに物語に重要なのか、今までのスコアの英訳はいかに杜撰だったのかを知る手がかりとなり、さらにゲルギエフの《青ひげ公の城》がこのペーテル訳のプロローグを使っているという事で、その意味を考える良い機会ではないかと思い翻訳しました。]]>
        <![CDATA[<p>　なお、私は翻訳のプロではありませんし、詩として味わうより、意図の理解を優先しましたので、あまり流暢な訳になっていないかもしれません。旧英訳にあった古英語の言い回しもいまいちです。誤訳の可能性もあります。その点はご了承下さい。</p>
<HR>

<strong>《青ひげ公の城》の英訳について</strong>

<p>　2007 年に刊行された《青ひげ公の城》改訂版は、2007 年以前より刊行されていたものとは異なっている。音楽的には些細な違いではあるが、それは 5 年にも及ぶ調査研究の結果であり、以前の版にあった誤りは人知の尽くす限り直せるだけ直した。改訂は音楽および歌詞の双方に及んでおり、それぞれ異なる問題を抱えていた。すべての手稿譜は何らかの点で異なっており、間違いを同定する作業は困難を極めた。にもかかわらず最終的な結論はベーラ・バルトークの書いたものに基づいている。紛らわしい点をどう解決したかは、巻末のノートに取り上げてある。歌詞に関わる問題はまた違った様相を呈しているので、ここで論議することにする。</p>

<strong>I. 歴史</strong>
<p>　このオペラの手稿譜には、オリジナルのハンガリー語と同じようにドイツ語訳も記載されている。ドイツ語訳の方はウィルヘルム・ツィーグラーが作成した。彼は後のバルトーク夫人となるマールタ・ツィーグラーの親戚と思われる。この作品の最初の出版は 1921 年ユニバーサルよりボーカルスコアが出ており、上記のハンガリー語とドイツ語 2 つのテキストが収められた。フルスコアは 1925 年のコピーライトがあり、限定版として印刷された。</p>

<p>　ポケットスコアは 1963 年に出版された。そこには「改訂」されたドイツ語テキストと、ハンガリー語の代わりに英訳が含まれた。新しい英語テキストは、オリジナルのハンガリー語のテキストから意味上の少なからぬ逸脱がある。詳細は後ほど論議するが、もっとも大きな逸脱は詩人によるプロローグに見られるものだ。オリジナル詞の 28 行 (五連詩で最後のものは拡張される) に対し、翻訳は 40 行に拡大されている (節で区切られていない)。一致させるように、改訂されたドイツ語詞も 40 行になっている。詩人によるプロローグは、オリジナルの状態でならオペラの根源的な部分を表す欠くべからざるパートとなるが、改変されたテキストにはオリジナルの持つ効果はもはやない。何が原因で出版社がこのような改変を行ったか、また何の権限のもとに行ったのかは判っておらず、これは受け入れ難いことである。</p>

<p>　以上の理由のため、現在の 2007 年版では英訳を作り替えた。それは詩人によるプロローグだけでなく、数多くの間違いや不適当な表現のため、オペラの残りの部分全体に及ぶ。この後に記すものは、説明を求める数多くの問い合わせに対する回答である。</p>
<p>
<p><strong>II クリストファー・ハッサルによる英訳</strong><br />
<strong>歌唱テキスト部分</strong></p>
<p>　プロローグはその大部分を作り替える必要があるのに対し、歌唱部分はいくつかの間違いを正せば残しておくことは可能であった。とは言っても、全てのテキストを書き換え、オリジナルのハンガリー語のテキストやそのスタイルに近く、うまく言い表せていると思える表現へと置き換える絶好の機会であり、これをしない手は無いと思われた。だがいくつかのセンテンスやフレーズや語はハッサルが充てたものをそのまま残している。例えばハンガリー語の "Kékszakállú" は "Bluebeard" という以外の訳語を見つけるのはとても難しい。</p>
<p>　一般的に、シェークスピア風の英語 (汝、そなたの影を恐れるべし) は採用しなかった。オリジナルのテキストには古風なスタイルを要求しているような箇所は認められない。使われているハンガリー語は徹底して現代的であり、英訳された導入部はわざとらしく、妥当なものに見えない。翻訳の目的は、歌唱歌詞を判りやすくすることである。これは二人の人間の会話なのであって、オリジナルのハンガリー語がまさにそうであるように、観客が付いて来れるようにするべきである。</p>

<p>　作者がテキストの中でフレーズを何度か繰り返している箇所は、新訳の中にも残してある。当然の事ではあろうが、バラーシュがフレーズを何度か繰り返すときは、趣旨が似ている別の言葉を見つけ出す能力が劣っていた訳ではなく、故意に繰り返しを用いて強い印象を植え付けようとしたのである。オリジナル・テキストにある退場のシーンの導入部は、このような繰り返しの効果を避けるように意図されている。ゆえに、ここでの使用は避けられている。</p>
<p>　いくつかの部分では、ハッサルによる英語テキストはハンガリー語と対応する言葉を用いておらず、正しくない。例は追って示す。</p>

<p>　旋律のリズムは、元の旋律と言葉のキャラクターが異なる場合、言葉と合うように修正するのが相応しい。しかし、もしリズム的にマッチする言葉が見つかったなら、わざわざオリジナルのリズムを変更する必要性は見当たらないであろう。同様に、リズム的な修正によってテキストが適切でシンプルなものになったり、さもなければ、オーケストラとの衝突が避けられるのなら、それは望ましいことであろう。不必要な語を加えたり、音節を付け加えたりすることは、可能な限り避けた。</p>

<p>　テキストを寸断したり、アクセントの無い言葉の連続が音楽上の強拍に来る事に対し、ベーラ・バルトークが異議を唱えていたことを我々は認識している。それを裏付ける実例はオリジナルのハンガリー語には発見出来るが、英訳ではそういった事はどこかに忘れ去られてしまっていた。</p>

<p>　次に示す例は、上記の問題点を説明するためのものであり、新版においてハッサル氏の翻訳を批判し修正した部分の完全なリストという訳ではない。示してある数字は、スコアの練習番号と小節数である。</p>

<p>[2]+5: オリジナルのハンガリー語では  <em style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif;">"Megérkeztünk"</em> (We have arrived さあ着いたぞ)。テキストは 4 音節よりなっているが、この部分のリズムとぶつからないように修正することは可能。ハッサルの翻訳は "Here we are now" だが、4 音節を残す目的の "now" の付加は不要。</p>

<p>[2]+7: <em style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif;">"Ime lássad: ez a | Kékszakállú vára."</em> (See here, this is | Bluebeard's castle. 見たまえ、これが|青ひげの城だ)。ハッサルの翻訳は "Now at last you see be - | fore you Bluebeard's Castle" "at last"(ついに) という言葉は不要。"before" は見ての通り分割されており、"-fore" は 6 音節のかたまりの最初の音にこぼれている。これは望ましくないし、避ける事は可能。</p>

<p>[2]+13: <em style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif;">"Judit, jössz-e még utánam?"</em> (Judith, are you still following me?  ユディット、まだ私に付いてくるか?) 。ハッサルは "Judith, answer: are you coming?" (ユディット、答えろ。来ているのか?) としている。2 音節使っている "answer" は必要ない。"are you coming" という質問は "still" の意味合いが抜け落ちている。ユディットは青ひげに続いて城に入ろうと動き出したところで、そのまま続けるのかと問われている。</p>

<p>[4]+6: <em style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif;">"Megállsz, Judit? Mennél vissza?"</em> (You stopped, Judith. Would you rather return? 止まったね、ユディット。帰りたいんじゃないのか?)。ハッサルのテキストは "Dearest Judith, are you frightened?" (最愛のユディット、おびえているのか?) これは的外れだ。バラージュによれば、青ひげはユディットに自分が立ち止まっていること、ためらっていることを知らせて、家へ帰る方を選ぶかどうか尋ねている。ユディットがおびえていることは疑問の余地は無く、それはやがて明らかにされる。ユディットが立ち止まったこと、それと家へ帰るという選択をするかという質問、これらはハッサルの翻訳には反映されていない。</p>

<p>[11]+9: <em style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif;">"Úgy-e Judit jobb volna most völegényed kastélyában..."</em> (Would it not be better now, Judith, to be in the mansion of your betrothed... あまり快適ではないだろう、ユディット、婚約者の邸宅にいる方が...) ここで青ひげはこう提案している。ユディットはもっと快適で大きな田舎の家 (別の城ではなく) に婚約者とともに住み、青ひげの世話などやめた方が良いと。ハッサルは婚約者を彼女の父に置き換え、まるでそれがとても重要であるかのように、父の城が陽気な場所だということに触れている。バラージュのテキストには、ユディットと結婚しようと城で待っている男は出て来ない。</p>

<p>[12]: <em style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif;">"Ne bánts, ne bánts, Kékszakállú!"</em> (Do not hurt me, Bluebeard. 私を苦しめないで、青ひげよ) ユディットは僅かに腹を立て、青ひげに苦しめないでくれと尋ねる。ハッサルの "Never, dearest Bluebeard" (とんでもない、最愛の青ひげ) は明らかに不適当とは言えないものの、ポイントを外しいている。バラージュによると、ユディットは彼女のもとの婚約者が青ひげより良くないということを言っているのではなく、ただ青ひげに感情的な苦しみを与えないで欲しいと請うているのである。</p>

<p>[13]+8: <em style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif;">"Milyen sötét a te várad! Milyen sötét a te várad! Milyen sötét."</em> (Your castle is so dark! Your castle is so dark! So dark. あなたの城はなんて暗いの! あなたの城はなんて暗いの! なんて暗いの!) 効果をあげるため繰り返しを意図的に使っていることは明らかで、バラージュが他に言うべき事を考えられないという訳ではない。ハッサルはこれを無視し、"Ev'rything is veiled in twilight. I can hardly see your castle. All is darkness." (全ては薄明かりに包まれている。あなたの城はほとんど見えない。全て暗闇の中。) としている。</p>

<p>[29]+8: <em style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif;">"Én akarom kinyitni, én!"</em> (I want to open it, I! 私は開けたいの、私は! ) 最初の閉ざされた扉に近づいたとき、ユディットは自分が扉を開ける人物なのだということを迫る(「私は」を繰り返す事で)。ハッサルのテキストでは "Bluebeard, let me open it now" (青ひげよ、開けさせて、今) と、誰が開けるかより、いつ開けるかという方に重点がかかっている。</p>

<p>[32]-1: <em style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif;">"Mit látsz?"</em> (What do you see? 何が見える?) 最初の扉が開き、拷問の道具が現れる。ユディットが驚愕の面持ちで見ている間、青ひげは彼女が見たものは何なのか言わせようとする。ハッサルの翻訳の "What seest thou?" (汝、何を見もうした) は妥当でない。不必要に時代遅れの言い回しを用い、音節を 2 から 3 に増やして合わせるよりも、2 音節の疑問形 "What's there?" の方が簡潔に思える。</p>

<p>[36]-1: <em style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif;">"Félsz-e?"</em> (Are you scared? 怖いのか?) 上記の状況と同様である。音節が増えない "Frightened?" の方が、ハッサルの "Art thou afraid?" (汝は怖かろう?) よりも理にかなっていると思う。</p>

<p>[85]+3: <em style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif;">"Nem akarom, | hogy elöttem | Csukott ajtó- | id legyenek"</em> (I do not wish | that you should have | Any closed doors | before me! 私は望まない | あなたがまだ持っている事を | まだ開かない扉を | 私の前に) ユディットはまるで聞き分けのない子供のように怒りを露にし、まだ開いてない扉全てを開けるように要求する。これは 4 音節の 4 つのフレーズによる。ハッサルのテキストでは、アクセントのない音節に強拍があてられているところが 2 カ所ある "Two more doors. Not | one of your great | doors must stay shut | fast against me." この問題は回避できる。</p>

<p>[108]+2: <em style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif;">"Mondd meg nekem, hogy szeretted? Szebb volt mint én? más volt mint én? Mondd el nekem, Kékszakállú."</em> (Tell me, how you loved her? Was she prettier than I? Was she different from me? Tell me, Bluebeard. 教えて、どうして彼女を愛したの? 私より可愛かったの? 私とは違っていた? 教えて、青ひげ) 青ひげの以前の妻についての詮索である。最初のセンテンスはイントロダクションであり、むしろ重要なのは青ひげがいかにして以前の女を愛したか、その単刀直入な質問の方である。続く 2 つの質問で、ユディットは昔の彼女と比べでどうなのか問うている。もっと可愛かったか、私とは違っていたのか。青ひげの愛情の深さを比べているのではない。ハッサルの翻訳 (どういう風に彼女を愛したか教えて? 彼女は魅力的だった? 私よりもっともっと彼女を愛していたの、私の青ひげ!) は愛情の深さを強調している (この要素はバラージュのテキストには無い)。そして繰り返される懇願 (教えて、青ひげ) は省略されている。これはいかにユディットが答えを得たいと願っているかを表すために必要なものだ。
<p></p>
<div style="text-align: center;">*   *   *</div>
<p></p>
<p>　これらは一例であって、この点だけが問題であるということではない。<strong>詩人によるプロローグ</strong>の論議を後回しにしておいたのは、翻訳されたものの中で最も異論のある部分だからである。プロローグはこのオペラの重要な部分のひとつで、象徴的なメッセージを理解するための手がかりを含んでいる。オリジナル・テキスト (ハッサルの翻訳ではなく) は、これは伝説ではあるが、現在の我々の人生や他者との関わりを物語の枠組みとしていると説明している。オリジナル・テキストが省略されたり、ハッサルのような翻訳に置き換えられたりしたなら、このオペラが妻殺しの男の物語と考えられるのも仕方が無い。</p>

<p>プロローグの問題点を一節ごとに取り上げて行こう。<br />
(ハンガリー語、英語直訳、それの日本語訳、ハッサルの英語の日本語訳)<br />
<table cellspacing="1" cellpadding="0" border="0">
<tr valign="top" style="vertical-align: top; text-align: left;">
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; vertical-align: top; text-align: left; display: table-cell; width: 25px;">
<span style="font-size: 10pt; color: #000000;">1.</span></td>
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left;">
<span style="color: #000000;">
Haj regö rejtem<br />
Hová, hová rejtsem<br />
Hol volt, hol nem:<br />
Kint-e vagy bent?<br />
Régi rege, haj mit jelent,<br />
Urak, asszonyságok?</span></td>
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left;">
<div style="color: #000000; margin-left: 10px;">
My riddle,<br />
Where should I hide it?<br />
Once upon a time:<br />
Outside or in?<br />
Old fable, what does it mean,<br />
Gentlemen and ladies?<br /><br /></div></td></tr><tr valign="top" style="vertical-align: top; text-align: left;"><td></td><td></td>
<td style="text-align: left;"><div style="font-size: 9pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left; margin-left: 10px;">
私の知っている不思議な話、<br />
どこに隠しておけば良いでしょう?<br />
昔々あるところ、<br />
外側なのかそれとも内側か?<br />
むかし話、さてその意味は?<br />
紳士淑女の諸君。</div></td>
<td style="text-align: left;"><div style="font-size: 9pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left; margin-left: 20px;">
昔々あるところ...<br />
心配しなくて良いほどの昔。<br />
だがその場所は、それはどこに?<br />
ここか? それともそっちか?<br />
そりゃ、まったく別の伝説、<br />
話せもするし、<br />
忘れてもいる。<br />
ああ、でも、お優しい方々、<br />
あなた方の中の誰かが、<br />
どういう意味かと問うことだろう。<br />
ああ悲しいかな、<br />
とても一言では言い表せない -<br />
ため息のこだまのこだまなのだ。</div></td></tr></table>

<p>　最初の 2 行は、このストーリーには謎めいた話が隠れていることを我々に示している。どうやらハッサルは取り違えている。3 行目はおとぎ話の伝統的な始め方「昔々あるところに」という意味であるが、ハッサルのテキストではもっと早くに現れている。ハンガリーで「昔々あるところに」という "hol volt, hol nem volt" (どこだったか、どこでなかったのか?) は、バラージュに次の言葉を付け加える機会を与える "Kint-e, vagy bent?" (外側なのか、それとも内側か?)。これは重要なヒントとなりうる。ハッサルの言う "だがその場所は、それはどこに? ここか? それともそっちか?" はポイントを外している。作者は地理的な場所について話しているのではなく、[我々の存在の] 外側なのか内側なのかについて言っている。節はここで終わりとなるが、ハッサルはバラージュの寓話あるいは伝説を意味する修辞的な質問にさらに磨きをかけ、彼の答えを用意し、こう続ける「ため息のこだまのこだまなのだ」。これで何を伝えようとしたのか、我々の理解を超えているが、確かなのはバラージュはこのような事は書かなかったということだ。</p>
<p></p>
<table cellspacing="1" cellpadding="0" border="0">
<tr valign="top" style="vertical-align: top; text-align: left;">
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; vertical-align: top; text-align: left; display: table-cell; width: 25px;">
<span style="font-size: 10pt; color: #000000;">2.</span></td>
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left;">
<span style="color: #000000;">
Ím szólal az ének,<br />
Ti néztek, én nézlek.<br />
Szemünk pillás függönye fent:<br />
Hol a színpad: kint-e, vagy bent?<br />
Urak, asszonyságok?</span></td>
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left;"><div style="color: #000000; margin-left: 10px;">
The song goes on, <br />
You look at me, I look at you. <br />
The curtain of our eyelids is raised: <br />
Where is the stage, outside or in, <br />
Gentlemen and ladies?<br /><br /></div></td></tr><tr valign="top" style="vertical-align: top; text-align: left;"><td></td><td></td>
<td style="text-align: left;"><div style="font-size: 9pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left; margin-left: 10px;">
歌は続く、<br />
あなたは私を見、私はあなたを見る。<br />
我々の瞼というカーテンは開かれた、<br />
舞台はどこだ、外側なのかそれとも内側か?<br />
紳士淑女の諸君。</div></td>
<td style="text-align: left;"><div style="font-size: 9pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left; margin-left: 20px;">
あなたは、ここに立っている私が見える、<br />
そして私もあなたが見える。<br />
あなたの瞼のカーテンは、<br />
完全に開かれた。<br />
だが舞台はどこだ?<br />
我々の中なのか、それとも外なのか?<br />
私の方か? あなたの方か? おお、友よ、<br />
なぜ終わりのない疑問を<br />
始めようというのか?
</div></td></tr></table>

<p>　最初の 6 行については、ハッサルの翻訳は原文をなぞっている。しかしさらなる 4 行で、舞台の物理的な場所について検討したりして話を混乱させ、仕舞にはわき上がってくる疑問について不平をこぼしている。</p>

<table cellspacing="1" cellpadding="0" border="0">
<tr valign="top" style="vertical-align: top; text-align: left;">
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; vertical-align: top; text-align: left; display: table-cell; width: 25px;">
<span style="font-size: 10pt; color: #000000;">3.</span></td>
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left;">
<span style="color: #000000;">
Keserves és boldog<br />
Nevezetes dolgok<br />
Az világ kind haddal tele,<br />
De nem abba halunk bele,<br />
Urak, asszonyságok.
</span></td>
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left;">
<div style="color: #000000; margin-left: 10px;">
Bitter and happy<br />
Remarkable events<br />
The world outside is full of armies<br />
But that is not what causes our death,<br />
Gentlemen and ladies.<br /><br /></div>
</td></tr><tr valign="top" style="vertical-align: top; text-align: left;"><td></td><td></td>
<td style="text-align: left;"><div style="font-size: 9pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left; margin-left: 10px;">
辛いこと、楽しいこと<br />
記憶に刻み込まれる出来事<br />
外側の世界は争いごとばかり<br />
だがそれは我々が死ぬ原因ではない、<br />
紳士淑女の諸君。
</div></td>
<td style="text-align: left;"><div style="font-size: 9pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left; margin-left: 20px;">
人生とは奇妙な継ぎはぎ細工<br />
それは死と楽しみ、<br />
くだらないものと威厳よりなる。<br />
そして人であふれている世界は<br />
戦争によりずたずたに引き裂かれる。<br />
でも、お優しい方々、<br />
それで我々が死ぬわけでは、<br />
ない、まったくない!<br />
しかして、我々は何で死ぬのか?<br />
答えはため息のこだまにある。
</div></td></tr></table>

<p>　ここでまた、最初のうち ハッサルの翻訳は、多くの語を費やしているが、ある程度バラージュに従ってはいる。しかし最後の 2 行で、彼自身の答えを出している。バラージュは戦争の話題を展開したままにし、我々の生活は何かもっと他の深刻な事に脅かされているとしている。だが ハッサルは「ため息のこだま」という自身の考えをまた持ち込む。これは我々を煙に巻こうということにしか役に立たず、バラージュの詩にも見つける事が出来ない。</p>

<table cellspacing="1" cellpadding="0" border="0">
<tr valign="top" style="vertical-align: top; text-align: left;">
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; vertical-align: top; text-align: left; display: table-cell; width: 25px;">
<span style="font-size: 10pt; color: #000000;">4.</span></td>
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left;">
<span style="color: #000000;">
Nézzük egymást, nézzük,<br />
Regénket regéljük.<br />
         Ki tudhatja honnan hozzuk?<br />
Hallgatjuk és csodálkozzuk,<br />
Urak, asszonyságok.
</span></td>
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left;">
<div style="color: #000000; margin-left: 10px;">
We look at each other,<br />
We tell our tales.<br />
Who knows, where we brought <br />
them from?<br />
We listen and are amazed.<br />
Gentlemen and ladies.<br /><br /></div>
</td></tr><tr valign="top" style="vertical-align: top; text-align: left;"><td></td><td></td>
<td style="text-align: left;"><div style="font-size: 9pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left; margin-left: 10px;">
お互いを見つめ合い、<br />
我々は我々の物語を語って聞かせよう。<br />
我々がどこからそれをもたらしたか、<br />
誰が知ろうものか?<br />
耳を傾けて、そして驚かされる。<br />
紳士淑女の諸君。
</div></td>
<td style="text-align: left;"><div style="font-size: 9pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left; margin-left: 20px;">
みんなで暖炉のそばに座り、<br />
物語を話し合おう。<br />
どこで生まれたものか誰が知ろうか?<br />
誰が知ろうか? 誰が知ろうか?<br />
耳を傾け、驚き、<br />
そして泣く - <br />
いつ? どこで? ...<br />
そしてため息のこだまを聞く。
</div></td></tr></table>

<p>　バラージュの作った最初の 2 行は判りやすい。我々はお互い顔を見合わせて、お互いに彼/彼女の物語を、人生の物語を語って聞かせよう。ハッサルはこれを変え、みんなでお話を聞かせ合って楽しもうという言う風に聞こえる。「物語」とは我々の人生のストーリーなのだという点を取り違えている。そして再び ハッサルは「ため息のこだまを聞く」と彼自身のさらなる思いつきを展開し強調する。</p>

<table cellspacing="1" cellpadding="0" border="0">
<tr valign="top" style="vertical-align: top; text-align: left;">
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; vertical-align: top; text-align: left; display: table-cell; width: 25px;">
<span style="font-size: 10pt; color: #000000;">5.</span></td>
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left;">
<span style="color: #000000;">
Zene szól, a láng ég, <br />
Kezdödjön a játék. <br />
Szemem pillás függönye fent.<br />
Tapsoljatok majd ha lement, <br />
Urak, a sszonyságok. <br />
Régi vár, régi már<br />
Az mese, ki róla jár, <br />
Tik is hallgassátok.
</span></td>
<td style="font-family: Georgia,Times New Roman,Times,serif; font-size: 10pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left;">
<div style="color: #000000; margin-left: 10px;">
The music sounds, the flame is lit, <br />
Let the play begin. <br />
The curtain of my eyelids is raised, <br />
Do applaud, when it drops down, <br />
Gentlemen and ladies. <br />
Old castle, old is <br />
The story about it, <br />
You, too, should listen to it.<br /><br /></div>
</td></tr><tr valign="top" style="vertical-align: top; text-align: left;"><td></td><td></td>
<td style="text-align: left;"><div style="font-size: 9pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left; margin-left: 10px;">
音楽が鳴り、炎は輝く、<br />
さあ劇が始まる。<br />
私の瞼のカーテンは開けられた、<br />
幕が下りたときには、どうか拍手を、<br />
紳士淑女の諸君。<br />
古い城、とても古い、<br />
それにまつわるお話、<br />
さあ、耳を傾けて下さい。
</div></td>
<td style="text-align: left;"><div style="font-size: 9pt; font-style: normal; line-height: normal; vertical-align: top; text-align: left; margin-left: 20px;">
音楽が始まり、<br />
炎はどんどん明るくなる。<br />
さあ劇が始まる!<br />
我々の瞼のカーテンは<br />
完全に開けられた。<br />
そしてそれが降りたときは、旦那様、<br />
拍手を頂戴下さいまし。<br />
これは古い城の、<br />
古い古い物語。<br />
なんじ聞きなされ、最初から最後まで。<br />
なんじ聞きなされ。
</div></td></tr></table>

<p>　この節は、基本的にバラージュの書いている事を伝えている。</p>
<p>　全体的な詩の訳文は、余計な言葉を数多く使ったことで傷つき、いくつかの部分は間違っており、非常に簡潔に述べているバラージュの原文を損なっている。「ため息のこだま」という導入は、どうやら翻訳者の頭にこびりついて離れないようだが、このあと続くことになるオペラの理解にとって、とても重要となる見解を伝えようと慎重に書かれた原文の論旨を、見当違いの方向へ逸らそうということにしか役立たない。</p>
<p></p>
<div style="text-align: center;">*   *   *</div>
<p></p>
<p>　詩と歌詞の新訳については、双方とも問題の解決に努めた。この仕事に対し責務を負うていた間は、英文を何人かの人に検討してもらっており、プロローグに関しては詩人にも見てもらった。プライベート・コンサートを催し、招待客の前で演奏し録音もした。この試演により、いくつかの細かい部分を修正した。ユニバーサル・エディションとブージー&ホークスは作品の完全なゼロックス・コピーを受け取り、両出版社の提案にも従った。ハンガリー語と英語付きの新しいスコアは、ユタ州ソルトレークシティーで 2006 年 4 月 28, 29 日に演奏された。英訳付きの改訂版スタディ・スコアは刷り上がり、2007 年 8 月より一般に入手できるようになっており、同じくヴォーカルスコアも 2008 年 6 月にお目見えした。指揮者用スコアとオーケストラ用パート譜は、アメリカ合衆国内ではブージー&ホークスが、その国以外はユニバーサル・エディションがレンタルしている。</p>

<p>ペーテル・バルトーク<br />
2008 年 8 月、ホモサッサ、フロリダ</p>]]>
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>ペーテル・バルトーク氏のエングレーバーになる 2: 海外からの送金</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/bartok/bartok_engraver2.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2009:/mt/trb_cla//4.305</id>

    <published>2009-06-01T03:45:57Z</published>
    <updated>2009-06-01T06:56:44Z</updated>

    <summary>《青ひげ公の城》のパート譜も弦楽器が完成し、時間が出来ましたので、海外からの送金顛末をまとめて記録しておきたいと思います。海外から送金してもらうにはどうすればいいか、ネットで調べてもなかなか判らなかったので、参考にしたい方は参考にして下さい。</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="Bartok" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="diary" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="バルトーク" label="バルトーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p>《青ひげ公の城》のパート譜も弦楽器が完成し、時間が出来ましたので、海外からの送金顛末をまとめて記録しておきたいと思います。海外から送金してもらうにはどうすればいいか、ネットで調べてもなかなか判らなかったので、参考にしたい方は参考にして下さい。</p>]]>
        <![CDATA[<p>　海外からの小額の送金ならば、郵便為替、あるいは Paypal のアカウントを作ってそこに入金してもらうというのが、簡単で手数料も安いようで、そういう事例ならネット上にもいろいろ報告されておりました。しかし今回は先方から "money order (為替)" か "bank draft (小切手)" などと言われていました。そこで 1 回目は、手軽だと聞いた money order にしてもらいました。</p>

<p>　為替を辞書で調べると、郵便為替のことを米で money order、英で postal order と言うとあったので、郵便為替が送られてくるものと期待しておりました。money order で円建てでお願いしますと言って約一週間後、EMS で封筒が届き、そこにはスイスの著名な銀行が発行したいわゆる小切手が一通。つまり銀行為替で届きました。</p>

<p>　ともかくその小切手を持って、私の取引銀行へ。仕事の関係で、週一回しか銀行へは行けません。しばらく待たされてハイっとお金が出てくれば良いなと思っていましたが、そんなに甘くはなく、まずこの銀行で扱える小切手かどうか調べなくてはならないとの事。一応都市銀行なんですが、そんなものなんでしょうか...。代理の者 (妻) じゃ手続きは出来ないとの事で「私が次にこれるのは一週間後です」「ではそれまでに調べておきます」ということになり、その日はそれで退散。次回は通帳と印鑑を持って来てくれと言われました。もうこの時点で、この方法は失敗だったと思いました。</p>

<p>　次週、銀行へ行くと取引可能との事。早速手続きしてもらいましたが、本人確認や何で得た資金なのか細かく確認され、書類にも記載しました。アルカイダや北朝鮮などのマネー・ロンダリングなんかの関係で、確認が厳密化されたのだとか。別に痛い腹を探られる訳ではないのでなんて事はないのですが、いちいち「海外の作曲者がいて、そのご子息から楽譜制作を依頼され...」と一言で説明出来ないところがもどかしい。あと資金が入って来たら自分の口座へ振り込んでもらうための手続きをし、それも今後こういうことが度々あるのなら、いちいち手続きしなくてもいいように依頼書を作った方が良いということで、その書面も作成しました。あとは肝心の手数料と実際に振り込まれるまでの日数ですが、アメリカからでも 1 ヶ月ほどかかり、当行の手数料は 2,500 円だが、相手先銀行での手数料もかかってくる。さらに相手先の銀行がもしローカルな銀行だったら、何行か経由してくることになるから、その度に時間と手数料がかかると言われました。</p>

<p>　実際には、手続きした翌日に資金は振り込まれていました。ペーテルさんの取引銀行は東京にも支店を持っており、小切手の payable が東京支店になっていたこともあり、それで早かったんだと思います。さすが「スイス銀行」。手数料は総額で 5,000 円ほど。小額の取引には向いていませんね。</p>

<p>　銀行へ行ったとき、先方から直接口座へ振り込んでもらうにはどうすれば良いのかも聞いて来ました。海外向けの正式な口座名 ○○○○ bank, LTD.  ××× branch などを教えてもらい、それを先方に伝えれば良いとの事。特別な手続きとか必要なし。但し振込前に確認の電話が来るとの事。なあんだ簡単。</p>

<p>　次回振込時に先方へこの口座を伝えて、今度からこちらへ振り込んでくれとお願いしました。それから約一週間後に銀行の外国事務センターより電話が入りました。自宅にかかってきたので、カミさんが出て、どういった用件なのか相手に尋ねたようなのですが、本人でないと話せないと言われたらしい (^^;。私がかけ直し、本人確認をいろいろされ、さらにどういった経緯で得た資金なのかも聞かれたのは、銀行の窓口と一緒です。この確認は、送金があるたび毎回行われるとのこと。面倒ですが、わざわざ窓口に行くのよりは楽です。いつ入金されるのか聞いてみると「30分位待ってくれ」とのこと。拍子抜けです。数日後、明細書が銀行より送られて来て、そこには手数料が 1,500 円(先方持ち) とありました。半ばボランティアのつもりが、まったく立場が逆転してしまっているようで、いったいどれだけ誠実な人なんだろうと、感謝の念に堪えません。</p>

<p>　以上が、送金にまつわる顛末です。銀行を利用するのなら、口座へ直接送金してもらった方が圧倒的に便利です。但し、口座番号を知らせるというリスクも生じるので、その辺は慎重に見極めねばならないかもしれません。</p>]]>
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>バルトーク弦楽四重奏曲全曲の動画</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/bartok/borromeo_bartok.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2009:/mt/trb_cla//4.304</id>

    <published>2009-04-30T02:44:20Z</published>
    <updated>2009-05-08T07:12:23Z</updated>

    <summary>ボロメーオ弦楽四重奏団が演奏するバルトーク弦楽四重奏曲の動画を観られるサイトがありました。</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="Bartok" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="バルトーク" label="バルトーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ボロメーオ弦楽四重奏団" label="ボロメーオ弦楽四重奏団" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p>ボロメーオ弦楽四重奏団が演奏するバルトーク弦楽四重奏曲の動画を観られるサイトがありました。</p>]]>
        <![CDATA[<p>　バルトーク研究友達の村上氏より<a href="http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-06-04 ">バルトーク５番の作曲者手稿譜金曜に日本初演</a> という記事を教えてもらい、何だろうと調べているうちにたどり着きました。</p>

<p>　CD 中心に聞き込んでいる私ですので、ボロメーオ弦楽四重奏団という団体は初めて名前を聞きましたが、今年でデビュー 20 周年になる団体のようです。ヴァイオリン 2 人はアメリカ人ですが、ヴィオラはモトブチ・マイさんという日本人、チェロは韓国人で、日本での演奏も度々行われているようです。バルトーク・ナイトとか、積極的にバルトークの作品を取り上げているようでもあります。</p>

<p>　<a href="http://www.borromeoquartet.org/">ボロメーオ SQ. のオフィシャル・サイト</a>へ行くと、Digital Press Kit というところから、mp3 ファイルがダウンロードできます。バルトークは第 5 番の第 4 楽章と第 5 楽章が聴けます。但し音質はいまいちです。さらに Living Archive というリンクをクリックすると、1st vn. の Kitchen 氏が開設しているサイトへ飛び、そこから "Special Streaming Video from Music@Melno / "Carte Blanche" Concert August 2008 / The Complete Quartets of Bartók" というのと、"Special Streaming Video from Tokyo / Dai-Ich Semei Hall May 2008 / String Quartet on Weekends FESTA" というリンクが現れます。上はバルトーク全曲演奏会の模様と作品解説が、下は第一生命ホールでの全 6 回のコンサートの模様がまるまる観られます。</p>

<p>　ネタもととなったサイトで話題にしている、米国議会図書館所蔵の自筆譜を用いた演奏会は、第一生命ホールでの Concert V にありました。但し、視聴しようとリンクをクリックすると、著作権に配慮して公開を見合わせるという趣旨のメッセージが表示されるばかり。ベートーヴェンとかは視聴可能でした。バルトーク全曲演奏会の方も、1, 2 番だけ観られて、他は同じ状態です。でも以前は公開されていたようだったので、もしやと思い、URL をちょっと工夫してみたら、ちゃんとページが出てくるではありませんか！！(ヒント: http://www.livingarchive.org/YYMMDD_bartok_[1-6](No)_[i-v](Mov).html という形式です。例えば 080606_bartok_5_i.html )　第一生命ホールでの演奏もしっかり観られました。そして中身は flv ファイルだったので、しっかりダウンロードさせて頂きましたとも。演奏家自らが公開していたものですし、バルトークは日本では PD になっているので問題ないでしょう。</p>

<p>　原典版の第 5 番ですが、うーんどこが違うかよくわかりませんでした。1 カ所だけ八分音符を十六分音符で弾いたように聴こえたところがありましたが、スリップかもしれませんし。演奏者の背後にスクリーンがあり、そこに自筆譜が大きく映し出されており、演奏とシンクロして見られるようになっています。ビデオでもそこそこ判読可能です。それと手持ちのスコアを比較しても、違いが発見できませんでした。上記サイトに掲載されている、違っていると指差している写真は、第 5 楽章の B のようですが、丹念にスコアと比較しても違ってなさそう (^^;。いつかペーテルさんに聞いてみたいと思います。</p>

<p>　演奏は緻密で、内声部がしっかりしていて、充実した演奏を聴かせてくれます。これでもうちょっと安定感があれば...。MP3 と違ってビデオの方は音も良いです。映像は一台の固定カメラによるものですが、それで十分です。今度また日本で演奏会があったら、聴きに行きたいと思います。</p>

<p>p.s. Borromeo はボロメーオというより、ボッロメオとかボローメオと読みそうな気もしますが、検索ではボロメーオというのが多かったので、ボロメーオとしておきます。</p>]]>
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>ペーテル・バルトーク氏のエングレーバーになる</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/bartok/bartok_engraver.php" />
    <id>tag:www.musicking.co.jp,2009:/mt/trb_cla//4.303</id>

    <published>2009-04-02T01:56:42Z</published>
    <updated>2009-04-30T08:58:45Z</updated>

    <summary>
　かねてよりペーテル・バルトーク氏 (作曲家のご子息) と親交のあった村上氏のご尽力もあり、現在《青ひげ公の城》新版のパート譜を作っています。これはその記録です。</summary>
    <author>
        <name>わたなべ</name>
        
    </author>
    
        <category term="Bartok" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="diary" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="バルトーク" label="バルトーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/">
        <![CDATA[<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><a href="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/pict/DSC05264.php" onclick="window.open('http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/pict/DSC05264.php','popup','width=507,height=676,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://www.musicking.co.jp/mt/trb_cla/archives/pict/DSC05264-thumb-120x160.jpg" width="120" height="160" alt="DSC05264.JPG" class="cd-img" style="" /></a></span><br />
　かねてよりペーテル・バルトーク氏 (作曲家のご子息) と親交のあった<a href="http://www.asahi-net.or.jp/~ZI6Y-MRKM/">村上氏</a>のご尽力もあり、現在《青ひげ公の城》新版のパート譜を作っています。</p>

<p>　事の発端は、村上さんからの「ペーテルさんがエングレーバーで困っている」という知らせ。「思うように事が運ばない。ピアノ・アルバムはなかなか進まない。最初の 3 ページを作るのに 3 ヶ月かかっている。今はもっと早い浄書家を見つけたので、多分もっと進むだろう」という連絡があったとのこと。浄書家は出版社 (Universal か Boosey) が手配するのだろうと思っていましたが、ご自分で探しているのでしょうか。</p>]]>
        <![CDATA[<p>　これはひょっとしてチャンス！？と思い、《弦楽四重奏曲第一番》の第一楽章と、《ヴァイオリン協奏曲第一番》の第一楽章のスコアをサンプルとして作り、ペーテルさんへ送ってみました。それぞれ、現行の出版譜には間違いがあり、いずれ新版が必要とされそうな作品です。</p>

<p>　しばらく返事が無く心配しましたが、後に長文のお返事を頂きました。</p>

<p>　「返事が遅くなって申し訳ない。12 月はとても忙しい月だし、年末我々は体調を崩していたのだ。</p>

<p>　今現在浄書仕事が必要なのは、歌劇《青ひげ公の城》のオーケストラパート譜だ。この 10 年間、我々は父の手稿譜に基づいたこの作品の新版の作業をしてきており、オーケストラスコアとポーカルスコアは出版できた。ところが、浄書家の問題で、これらをさらに編集することが出来ず、さらに悪いことに、ここからパート譜を作ることも出来ない状態なのだ。パート譜はあらたに起こさなければならない。こちらには昔のパート譜から起こしたパート譜のセットがある。これは最初の出版時からそのまま過去 30 年間使われていたものに、新版での変更点を付け加えたものだ。見た目は良くないのだが、これを使った公演は何度が行われている。奏者は皆これに不満を漏らしているよ。</p>

<p>新しい綺麗なパート譜が是非とも必要なんだ。もしこの仕事に興味があれば、連絡して欲しい。」</p>

<p>　いきなりこんな大作のしかもパート譜！と、こちらも尻込みしそうな内容に驚きましたが、もちろん「喜んで引き受ける」と連絡しました。先方も喜んでくれ、1 ヶ月ほど後、弦楽器の昔のパート譜と、新版のスコアが送られてきました。それまでの間、私は、弦楽器全体と、木管の大部分を入力しておき、作成に備えました。</p>

<p>　送られてきたパート譜は手書きのもので (上の写真、クリックすると拡大します)、新版で変わった部分は修正液で消して書き直してある模様 (コピーなのでよく判らない)。そして、ヴァイオリンはまだいいのですがヴィオラやチェロはかなり 1 ページの密度が高く、確かに読みにくそう。さらにキュー (長い休みの部分に他の楽器の音符を小さく書いておくことで、次の出番を判りやすくするためのガイド) がほとんど無く、それも付け加えてくれとの指示。譜割りも必然的に変更せざるを得ません。演奏用の楽譜は譜めくりの位置を考えつつ全体的なレイアウトを見やすいものにしていかなければならないので、そこから組み立て直しとなると、かなりの頭脳労働となります。さらに出力サイズが B4 版に近い大きさだったので、普通の A4 プリンタしか持ってない私は、実寸での確認にも苦労する羽目に。</p>

<p>　ともかくなんとか最初の数ページを仕上げ、サンプルとして提出しました。ここはこうして欲しいという要望を何点か受けたものの "It also look very nice." と評価して頂き一安心。現在はヴィオラ・パートを進行中。低弦に行くに従って休みが少なくなり、div. で多段にする部分も増え、レイアウトが難しくなりますが、この楽譜をもとに著名なオケが演奏したり、録音もされたりするのかと思うと作業にも力が入ります。</p>

<p>　弦楽器が終了すればひと山越えたというところでしょうが、40 近いパートの 5 つが終わったに過ぎない訳で、まだまだ先が長いと思えます。いま空き時間は全てこの作業に費やしており、全力を尽くしているところで、このブログを更新する余裕などありません。しかし、今月ペーテルさんはヨーロッパ (恐らくハンガリー) に出かけているので連絡がとれず、今月中には弦楽器は余裕で終わる予定なので、多少時間に余裕が出来そう。なので今のうちに記録を残そうと思った訳です。</p>

<p>　ペーテルさんからは報酬も頂けることになっており (実はもう既に少なくない額の報酬を頂いている)、海外からの送金顛末や所得税の事がいま私の頭を悩ませている問題です。そのことも初めての経験ばかりなので、おいおい書きたいと思っています。</p>

<p>　日本では、私のような趣味で浄書をやっているような人間に仕事がまわってくる機会などほぼあり得ませんが、海外では経歴や経験や肩書きに関係なくチャンスを与えてくれて、こんな大仕事まで任せてくれるなど、ある意味驚きもありました。日本でいろんなしがらみに雁字搦めになりながら肩身の狭い思いで細々と作業するよりも、海外で、それもホンモノを作る、しかも作曲者のご子息と協力して。まったくバルトーキアン冥利に尽きる僥倖であますが、活躍の場を海外に求めてみる、その為の努力を臆さないという姿勢こそがまず必要なんだろうなということです。</p>

<p>付記：<br />
　ペーテルさんからは、「父の著作権は日本では既に切れている。あなたの作った楽譜は、日本での公演で自由に使ってくれて構わない。」と言われています。出来れば Bartók Records の収入源になって欲しいのですが、試演していただけるという団体があれば、無料でお貸ししたいと思っています (まだ弦セクションしかありませんので、今のところ他は正規に借りて頂くしかない)。但し、プローベおよび本番に招待していただけることと、公演の録音を提供して頂きペーテルさんへ送ることを許可してくれることが条件です。興味のある団体様は、コメント欄よりご連絡下さい (コメントは非公開となります)。</p>]]>
    </content>
</entry>

</feed>


